俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

謎の女【5】 《side 芹》

《side 芹》

 今日は、朝からついていない…

 会社の最寄り駅では、チャージ不足で改札が開かず恥ずかしい思いをした。まあ、これは私の不注意だ。

 会社についてエレベーターに乗ると、定員オーバーでブザーがなり、みんなの視線が自分へ向けられた。まあ、これも無理して乗ろうとしたから仕方ない。

 そして何より最悪だったのが、休憩時間にコンビニに行った帰り、エントランスで大胆に転けてしまった。転けただけでも恥ずかしいのに、最悪な事にわが社の社長の前だった…

 しかも社長からは、社長の気を引くためにわざと転けたと疑われる始末。極力目立たないように生活をしているのに、本当に最悪だ。誰が好きで社長に近づくのよ。勘弁してほしい…

 何か言われる前に謝罪し立ち去った。きっと、私が誰かはバレないだろう。

 オフィスに戻り一息つくが、気が気じゃない。

 私は、残業はしない主義だ。なんとしても、時間内に終わらせる。定時後は、自分の好きな事を存分に楽しみたい。

 朝からついていなかったが、仕事は残業せずに終われた。定時の合図と共に席を立つ。

「お疲れ様でした〜」

 誰にも文句を言われない完璧な仕事をしたはずだ。

 いつも通りロッカーに寄る。制服から、私服に着替えプライベートモードに変身する。化粧を直し、コンタクトを装着するのだ。普通は反対だと言われるが、会社ではヒッソリとが私の方針。ややこしい女子の付き合いは好まない。

 そして大事なのが厚底の靴だ。小柄は、人の印象に残りやすい。靴だけで少し印象が変わる。あとは、私服と化粧で私だと気づく人はいなくなる。

 今日もバッチリ変身してロッカーを出た。

 エレベーターで一階に降りると、何やらいつもと違いざわついている。

 今日の私はついていないのだ。これ以上は何もないことを祈りたい。

 そして、ざわつきの原因がすぐにわかった…



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