俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜

せいとも

謎の女【2】

「それが、社長が成宮さんを捕まえると、エントランスへ向かいまして…」

「えっ…」

「止めたんですが、全く聞く耳持たず社長室を出て行きました」

「すみません。今は社長と社長秘書じゃなく、いつもの友人としてひと言言わせて下さい」

「どうぞ」 

「あいつは、バカなのか?」

「ですね。昔からこうと思ったら突っ走るところは変わらないですが、なんせ女性には全く興味がなかったんで。こんな事になるとは」

「「はぁ…」」

 ふたりして思わず漏れてしまうため息。

「ちなみに、成宮さんはもうすぐ定時ですが、仕事はどんなご様子で」

「特に、社内でのトラブルの報告もないので、彼女の事だからきっちり終わらせて定時に帰ると思いますよ」

「そうですか」

「どうします?我々も向かいますか?」

「退社のラッシュが過ぎてから様子を見にいきましょう」

「わかりました。では後ほど」

 一旦会話が終了した。


 一方、本能のままに動いている暁は、専用のエレベーターで最上階から一階を目指していた。頭の中は、もうあの時見た芹の姿しかない。

 メガネの下には、少女漫画のような素顔が隠れていたのだ。思い出しても、内側から震えるような感覚。暁のオスの部分を刺激するのだ。

 芹の心も身体も自分のものにしたい。

 あっという間に一階に着いた。たくさん並ぶエレベーターの最奥、専用エレベーターが開いた瞬間、エレベーターを待っていた人達の視線が暁に注がれる。

 そして、一瞬静まり返った後は、ザワつきだす。退社時間には少し早いため、まだマシだがこれから退社のラッシュが始まる。

 暁は、周りの視線を全く気にすることなく、自分がどこで待ち伏せしようかと辺りを見回す。 

 受付とは反対に数個のベンチ。その奥には、パーテーションで区切られた簡単な商談スペースがあるが、商談スペースから顔を出し眺めるのは流石に怪しいだろう。



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