TSロリとセンシティブノーで知識が時代遅れな女神の日常

下の蠍

俺、買い物に行く

朝、まだ明るさの差し込まない天井に叫びを放ちながら目覚めた
「だぁぁ!!はぁ。はぁ…何つー夢だ」
汗が出すぎて服を濡らしていたので風呂場に駆け込んだ。シャワーのヘッドから冷たい水があふれ出た、夏だが鳥肌の立つ初手の冷水に体を馴染ませていく
「いいぐらいになってきたな、ぷはー生き返るわ」
さっぱりしたところでお湯に切り替え浴び、また水に戻しを繰り返していた。
「紫雨音、朝から資源の無駄使いは厳禁ですよ?」
ふいに声が聞こえ、その方を向くと水の張られていない浴槽に寝転がる女神が居た。
「うわぁぁぁ!!でたぁ!」
「ひゃっ、何をするんですか紫雨音!私はここで寝ていただけですよ?」
驚いて水をかけたことに怒りと驚きを表す女神
「い、いや普通そんなとこで寝ないだろ!風呂場だぞ分かるか」
「えぇわかりますよ?この溝が寝るのに程良かったんですよ」
「酔って寝て気づいたらここに居たんだろ?そこの空のボトルが物語ってんぞ」
女神の下に二本程空になった瓶が転がっていたのだ。
「そ、それはですね。別に紫雨音の成長が嬉しくてお酒が進んだとかないですよ?!」
「まったくだ、いつの時代のヒロインだよ!だからこの、へっくし!うぅ、さぶ」
女神に気を取られ水を浴び忘れたせいで体が冷えていたようだ。
「子供ですね、貴方は。ほら少し待っててください」
女神が軽く杖を振ると風呂場がポカポカしだした
「おぉ、あったけぇ」
「紫雨音、今更ですがどうして今時分にお風呂に入ろうと思ったのですか?ほら、じっとしてください。髪の毛が拭けませんよ」
「あぁ、それはだな。悪い夢を見てうなされてたせいか汗だくで。べたべたしてきもちわりーだろ。だからさっぱりしたくてな」
「そうですか、それは悪いことをしました。では少し早いですが朝ご飯にしましょうか」
風呂から出て女神の料理音をBGMにゆったりとソファーに沈んでいた。
スマホを起動し、なんとなく日々のニュースを見るがめぼしい物がなく黙々と御飯ができるのを待っていた。
数分ほどして女神が皿に盛りつけられた料理をテーブルに並べ始めた。
「お、できたのか?量が多そうだし運ぶの手伝うぞ」
「そうですね。では食べる道具を運んでください、それとコップも頼みます」
「ほーい。ポッドはおろすか?」
「大丈夫ですよ。重いので私がおろします」
全ての配膳が終わり、席に着いた。
「いただきます!」「いただきます」
最後に水を飲みほし、食器を下げ始めた。
「ふぅ、沢山食ったな。今日ってなんか予定とかあるのか?」
「そうですね、買い物をする予定ですが。どこか行きたい場所でありますか?」
「いや、なんもねぇ。なら買い物ついてくわ」
「それはありがたいですね、知らないものがまだ多いので聞けますね」
「おう、荷物持ちはできねぇーが教えるくらいなら目をつぶってもできるぞ」
「では、10時ごろに出かけますのでいつでも出れるように支度をしていてください」


支度をし、鍵をかけて車に乗り込んだ。
「では、行きますよ?しっかり掴まってってくださいね?紫雨音」
「お、おう?うぉぉおぉ、お前が捕まるぞぉぉ」
車が歪むのではと思うくらいに異音が鳴り響いた。走る車は、煙を上げながら公道を駆けていく
「いいですね、自分で動くのと違った速さが感じられます。ほら見てください!車が火を纏い始めましたよ」
「見てください、じゃねぇよ!お前ふざけるなよ?!ちびるぞ俺」
「汚いですよ?ほら、今カーブミスって天に上がってしまいました。最近の車は丈夫ですね」
「んなわけあるか!おい!地球から遠ざかってくぞ」
感じるスピード感、どんどん小さくなる街並み。に反して車の中はそこまで変わらなかった。女神が何かしているのだろうと思ったがかなり危険なことに間違いはない
「あ、落下しますね」
「ンにゃろぉぉぉ!さっきまでなんもなかったのに何で落下だけ無重力感あるんだよ」
昇った時より早く落下していく車、車体がきしみ始める
「ねぇ女神さん?これって大丈夫なの?頭蓋骨打ち抜かれて死ぬより幻想的な死とかごめんだよ?!」
「大丈夫ですよ、少しアクセルふり絞りすぎただけですから」
また何事もなかったように道に戻る車、時速150オーバーなのを除けば。
鼻歌交じりに楽しそうに運転をする女神。流石に車のげんかいを悟ったのか徐々に速度が下がっていく
「ふーん、これですと馬車とかとさして変わらない気がするのですが。仕方ありませんね」
「あほかおまえひゃ!」
「噛みましたね?ふふ、すこしおびえる姿が見たかったので」
「サイコパスだろ、よく女神出来てんな!」
「えぇ、時に残酷さや非情さ。また楽しむ気持ちは必要ですよ?」
土曜だからかちまちまとしか居ない車たちを、すいすいと抜かしていく女神
「信号が煩わしいですね。私を止めるなんていい度胸です。でも寛大なのですこしまちましょうか」
「おぅ、おぅそうしてくれると助かるよ。お前マジで頭飛んでるのかと思ったわ」
「怒りを抱えた人がこちらに向かっていてものは止まっていてないといけないのを除けばですが」
「え?なにそれ」
「どうやら私の車に抜かされたことが怒りの要因でしょうか?ここはどうするべきでしょうか」
「あおりってやつだな、軽自動車で運転手が女ってなると余計なぁ」
「そうですか、私もてれびで見ました。思い出しました、たしかこのあと車から引き吊り出してぼこぼこにされるのでしたっけ」
「それは野蛮なケースだな。ってか怒ってる人とかわかるの?」
「えぇ、近付いてきていますね。多分ですが徒歩で向かっています」
「絡まれたくないけど、さっきみたいに空飛ばれるのは嫌だしなぁ。ワープとかできるの?」
「そうですね、人の目に入る場所で使うのは気が引けますね。では、こうしましょう」
サイドミラーにガラの悪そうな二人組が近付いてくる様子が映る
「今ですね」
女神が信号に指を向けると赤の信号が青色に変わった。それと同時に走り出す女神。
「やっほー!やったな。だけど歩行者とかいたらやばくねぇか?轢いてたぞおまえ」
「大丈夫ですよ?私はしっかり見ていますので」
「まぁ、ならいいか。っておい!あいつらだよな?追ってくるぞ!」
紅いオープンカーに乗り、すごい勢いで迫ってくるDQN二人組。
「そうですね、少し遊んであげますか。幸いこの近辺には人が居ませんので」
「車をロボットにして戦うとかそんな展開か?」
「おかしなことを言いますね、最近テレビでみたアニマメイションで車を戦わせるのがありました。古くはチャリオットで多く敵兵を薙ぎ払う文化がありましたが、それに類似でしょうか」
「たまに現代っぽいこと言うと思ったら相変わらずだったな……」
女神がカーブを直角に曲がる。遠心力でシートベルトをしているのに外に飛ばされそうになる
「うぁぁぁ、おまえ!さっきとおなじじゃねぇか?!ってかもう車の機能じゃなくて浮かしてるだろ!」
「えぇ、賢いですね。女神の素質在りますよ!では更に加速しますね」
狭い路地を車二台が爆走していく。何回か同じ道を通るが、壁に、地面に赤い塗装や破片が落ちているのを見る度そこまでするか?と思っているとサイレンが聞こえ始め、後ろからこれでもかと追ってきていた赤い車が止まった
「あれ?どうかしたんでしょうか、それにこの音は苦手ですね」
「げぇ、ポリ公だ……後ろのやつらがガンガン暴れてたもんなぁ」
「どうしますか?後ろの人たちは止められていますが。私たちは逃げますか?」
「逃げるな!とりあえず向こうが悪いしこっちは普通に走ってただけっていえばいい。っておまえ免許とか車の保証書とかあるのか?それないと別の意味で捕まるぞ」
「必要書類ですか?たしか、前に来たスーツの人たち覚えていますよね?彼らに何かあればとこれを貰っています」
「なんだこのカードは、見たことないぞ」
「たしか一部特別待遇なんとかっていうなんちゃらのあれですと。最近は造語とやらで覚える言葉が多くて大変ですね」
「どれどれ、ん?文字もなんもないな。んー、薄さ的にICチップとかで認識か?ほーん、でもこれって結局連行とかはされるよな」
「そうですね、でも困ったときのアニマルもあります!」
「マニュアルな?うげぇ……取り調べとかめんどいぞ」
しばらく止まっていると警官二人が車に近付いてきた。
「窓を開けとけよ、ってしらんよな。ほらここを押せ」
ウィーンと音を立て開く窓に感動する女神。それを他所に質問に入る警官たち
「あのすいません~~~~」
しばらくして女神がさっきのカードを見せた
「あの、困ったらこれを見せろと聞きましたが」
「なんですかこれは?免許証ではないですね」
「えっと大本に見せてください」
女神が大本に見せろというと警官二人が固まった。
「おい、意味ないんじゃないのか?」
困惑する警官が他の質門をしばらく続けていると黒い車が数台やってきた
「おぉ、見てください紫雨音!さいきんみましたA画?でしたか、すぱいといわれる奴ですね!」
警官そっちのけではしゃぐ女神と、事態把握のできない俺と警官
「万年さんですね、異常検知があったので参りましたが」
「あ、えぇ?はい、向こうにある赤い車に追尾されていました。そのあとぴーぽーかーがきて」
頓珍漢な回答を黒いスーツの男にする女神。黒いスーツの男がぞろぞろ増えて現場を見まわったりしだした
「あ、あの。困りますよ」
何も知らない警官が困惑しだすが、黒いスーツの男が何かを見せると敬礼をして撤退していった。
「赤い車の乗り主はどうされますか?」
「そうですね、ひどくなくていいのでこっ酷くお灸をすえてください」
ぽんと手を打ち何か提案をしだす女神
「はい、わかりました。ですがこれからは大事になる前に我々を呼んでください。警察の方々に事情を説明するのは大変なので」
「そうでしたね?はい、ところでみなさん誰ですか?」
「我々は、どの国にも組織にも属さない世界における重要人物を保護・監視する機関です」
クエスチョンマークを沢山浮かべる女神
「まぁ簡単に言うと、俺ら一般人は日本なら日本、アメリカならアメリカの法律で守られているが。これは等しく人を守る手段だ。だがお前は違う。法だけでは守り切れない存在だ、言い方を悪くすれば歩く危険兵器だ」
「?」
「俺も良く分からないが、簡単に言うと見守られているって感覚だ。神であるお前が人に見守られてるんだよ」
「なんと!すごいですね」
「少し違いはありますが、わかりやすく言うとそうでしょう。万年さんの日常生活を壊してしまう事はしません。我々はあくまでも異常時だけです」
「しっかし、子供が居る前でこんな機密をべらべら言っていいのか?俺ならこんなことあったって言いふらしたりするかもしれないぞ」
少しながらの疑問を投げつけると一番厳つそうな男が近付いてきた
「それは心配いりませんよ、お嬢ちゃん。仮に漏れても問題がないようになっています。それがいい例でインターネットにあのカードを掲載しても我々は削除に動かなければそれに言及する文言も問題視しない」
「それって陰謀論扱いで終わるからとかか?だがもしも全貌が明るみに出る事態になったらどうするんだ?」
「我々に守られているものは世界で4人、その4人を保護・監視する者は70人といない。少なければ少ないほど出にくい、それに解体もしやすい」
「ちゃんとしてんな、ところで残りの三人とか聞けるのか?」
「残念ながら知らない。いや、そのおかげもあって機密性も高い」
「成程なぁ、仮に俺が話しても陰謀で終わる。仮に実態を暴いてもそこのバカに対する処遇の撤廃と機関解体。徹底してるな」
撤退していく黒い車。
「まさかあんな権限があるなんて驚きですね。どうしましょうか、私」
「何喜んでんだ?」
「ほら、私守られているんですよ?かつて人々に愛されていました。全能であれ私も心は在ります、時に他者に恨まれ眠る間もないことがあります。でも私が弱みを見せれば人々は疑心に餓えます」
「知らねぇーよ。まぁそうか神様に守られたい人は居ても守りたいなんてならないわな」
「ですです、これが守られるという感覚ですか」
「あぁ、ほら行くぞ。そもそも買い物しに来たんだろ?!」
「あ、そうでした。では行きますよ!」
大道を抜け、立体駐車場に入っていく。
「では、行きましょうか。と言ってももうすぐお昼ですので先にお昼にしますか?」
「あぁ、そうだな。何喰いに行く?」
「風土京都ですか?たくさん食事処があるのでそちらに参りましょうか」
「フードコートだろ?どんな間違えしてんだ」
「確か二階でしたよね?では二階のほうに止めましょう」
二階に車を止め、店内に入っていった。
店内はざわざわと大勢の人でにぎわいを見せていた
「時間も時間ですし、人が多いですね。ですが安心してください、席のほうは空いていますので」
「またお前何かする気か?やめとけよ」
「いえ、神様特権ですよ」
注文が終わり席に着く人や、いまちょうどついた人。席は女神の言う通りいくつか開いていた
「この窓際にするか。注文はどうするよ、並んでいる間に席が取られることもあるからな」
「それでしたら大丈夫ですよ。この席を視認できないようにしました」
「まじか、そんなことできるのね」
女神が楽しそうにうどん屋の看板を見ていたのでうどん屋でお昼を済ますことにした
「どれが食べたいか指さしてくれたら俺が買ってくるぞ。ってか現金持ってるか?こういう店はクレジット非対応な場所あるからな」
「現金ですか?そうですね、5000円が二枚と1000円が三枚ありますが足りますか」
「十分足りる。その5000円の奴一枚で足りるぞ」
ぎりぎり届くくらいの台で支払いを終え女神と席に戻った。
「これってなんですか?おふだ?」
「商品ができたらこれがなるシステムなんだ。なったらこれと引き換えに商品を受け取るんだ」
「画期的ですね!」
紫雨音がスマホでニュースをあさっている間、ずっと呼出機を眺めている女神。
音を鳴らしながら振動をする呼出機にびっくりする女神。周りの視線がないのが幸いだろうか
女神に両方持ってもらい席に戻った。
「すまんな、俺には重いからな」
「いいですよ、それにしても不思議ですね。そのうちにロボットが運んでくるとかもありそうですね!」
「あるぞ、焼き肉屋とかその辺だと一部だが」
「見てみたいです、ろぼっとはテレビの中だけと思っていました」
「まぁ、俺も昔はロボットなんて無理だろって思ってたけど。そうだなここ20年前後じゃねーか?どんどん増えてる」
「さらに学ぶことが増えそうです……」
「気にすんな、俺もそこまで詳しくはないからな。それより麺が伸びるぞ、早く食べようぜ」
「そうですね」
食べ終え、返却口に食器を返した。
「紫雨音は行きたい場所とかありますか?」
「ゲーセン行きたいな。ってもわからないか、簡単に言うならゲームセンターっていう娯楽施設かな」
「娯楽!おんせんとかさうなとかまっさーじとかですか?」
「そっちじゃねーよ、ゲームセンターってんだろ?メダルを使った遊びが沢山あるんだよ」
「楽しそうですね、一興交えますか」
ゲームセンターに入ると大きな音で女神がひっくり返りそうになった。
「大丈夫か?無理そうなら買い物に戻るか」
「い、いえ。これは試練です、任せてさい」
メダルを買い席に着いた。
「このメダルをここに入れると、ほら。それで光っているところに入るとイベントが始まるんだ」
「これ動くのは意味があるんですか?なるほど、こうしてやると」
「そんな感じだ、どうだ?うまくいくとイベント、それに勝とほら沢山降ってくる。フィーバーだな」
「ひーばー?100枚も手に入れました。ですが出てきませんよ」
「あぁ、このガラスの中でメダルが増えるんだ。それで押されたメダルが落ちて、こっちに出てくると」
「おぉ、20枚も戻ってきました」
「その調子だ、こうしてこうすればもっと出る」
「紫雨音もうまいですね」
じゃらじゃらとメダルが戻ってくる。女神のメダル捌きが神業過ぎたのだ
「軌道計算を行うと簡単にできますね。横に落ちちゃうのが問題ですが、そのおかげで遊びの調節が取れているのですね」
「おうよ、地味だけど楽しいだろ?たまーにこうしてだらだら流れるメダルと、がやがやした音が心に浸透するんだ」
「このゲーム以外にもありますか?もっと楽しみたいです」
「いいぞ、例えばベットして条件クリアするとその分もらえるじゃんけんとか」
「これですか、メダルを一定数かけて勝と上の倍率に応じた報酬をえれると?ふーん簡単そうですね」
「ならやってみろ、意外と難しいぞ。俺はやったことねぇーが」
メダルを入れ遊び始める女神。すぐ負けて飽きるだろうと予想していたが、景気よく勝っていく女神に若干あきれていた
「お前まじか、強くね?ってか先読んでない?」
「ばれましたか、すこし遊びに本気を出してしまいました。ですがいいですね」
「お、おぅこの遊びに汗かくくらいやってるやつは初めてだぞ」
「ふぅ、次はあちらのゲームをしましょう!メダルはたくさんありますよ」
「あれはクレーンゲームって言ってメダルではなくて現金で遊ぶゲームだ。といっても一回百円で遊べるし手軽だがな」
「そうなんですね!やってみたいです」
「いいぞ、じゃぁメダルは。どうするよこれ、六百枚くらいあるぞ」
「そうですね、人にあげるのはどうでしょうか」
「あぁーまぁ俺してはいいけど。だがメダルはなんちゃら法で店が現金取引ではなく店内通貨として認可してるやつだから渡すのは犯罪になるんじゃね?」
「でしたら使い切りますか?私の能力をもってすればこの枚数、秒で処理できますよ」
「あえて負けまくるのか?それもいいけど負けやすくてメダルが落ちないゲームって大抵一回に入る量は足りないぞ」
「最初の奴でうまくやって見せますよ」
女神がメダルをどんどん投入していく。綺麗に積み重なり落ちる気配が見えない
「おぉー芸術品みたいだな!よくこんなことできるな」
「えぇ、この機械内部に発生している重力を変更しました」
「なるほど、じゃぁ、俺が入れても大丈夫?」
「えぇ、見ていてください、すべて落ちないようにしていますので」
5分ほど経っただろうかメダルも消え、中にはメダルの山が完成していた
「ふーこれで終わりだな」
「ですね、では行きましょうか」
席を離れクレーンゲームに向かった。
「これはお札入らないですか?」
「あぁ、これは硬貨で手軽に遊べるんだよ。っても最近のはけっちーから取りにくいけどな」
「そうなんですか?とりあえずさっきのおつりで百円が三枚あるから三回やってみましょ!」
「俺が一回見本見せるわ、っても久々だしとれるか知らんけど参考にはなるだろ?まずは、お金を入れてると」
レバーを操作しうまく位置を合わせボタンを押した。
「こうするとアームが下りて、景品をとるって寸法だ」
「おお!取れましたよ紫雨音」
「あぁ、騒ぐなって恥ずかしいだろ。ほれ、次やってみろ」
女神が硬貨を入れ操作を開始した。アームがゆっくり降りて景品を掴みかけるが外れて終わった。
「惜しかったなー、初めてにしては上出来だ。下手な奴は商品はおろか虚空を掴むからな」
「もう一回やってみます!こうして、こうして……取れました!!見てくださいかわいいオオカミさんですよ」
「あ、あぁ。だからはしゃぐなよ。周りの目線が怖いだろ」
「失礼しました。ですが取れました」
「まぁいいじゃねぇーか、他にやりたいことあるか」
「あれはなんですか?あの変わった形の機械ですか?」
「機械じゃないぞ。あれは電気が通っていないのにあそこのツマミを回すと景品が手に入るんだよ」
「やってみたいです」
「一回三百円くらいでやれるが、小銭もう残ってないだろ?」
「えぇ、お札しかありませんけどどうすればよいでしょうか」
「そこで出てくるのが我々の強い味方な両替機だよ。お札入れると、ほら!小銭に代わる」
「錬金術ですか?ちゃんと10枚あります!」
「当たり前だろ、足りんかったら犯罪じゃ!」
「それでどうやってやるのですか?」
「三枚入れて、こうやって回すと…ほれカプセルが出てくる」
「なるほど、これ画期的ですよ!」
「ガチャって言われてるんだがな、これがまたハマるんだよ。だって金いれたら景品が手に入るんだぜ」
「そうなんですか?確かに先ほどのクレーンゲームよりは確実性がありますよね」
「それにさ、ほれ。おかしな景品が多いからな、ついつい引きたくなるんだよ」
「でもだめですよ?散財しては」
「知ってるよ。そもそも最近小遣い貰ってないんだが?!」
「今日はだめですね。見て回りましたが子供には危険な娯楽です」
「危険って!別にガチャコンプとかするつもりないし」
「なら余計だめですね」
落ち込む紫雨音をほっといて買い物に向かいだす女神
「あ、待てよ。おいてくな」
女神に付いていきカートと籠を用意した。
「俺が押すからゆっくり買い物してけ」
二時間ほど経つと買い物かご二つ分程に商品が乗っていた
「だいぶ買い物しましたね、あとはお会計ですね」
「ようやくかー、あと飲み物かっていい?」
「いいですよ、私も何か飲み物を」
ペットボトルを二本追加してレジに向かった。
会計を終え段ボール3箱分の買い物をカートに乗せ車に向かった。
「すげぇ買ったな。何人分だこれ?」
「二週間分ですかね?最近紫雨音の行動観察が面白いので買い物に行く時間が減ってしまいまして」
「いや、絶対それの時間いらないよね」
車に荷物を積んでホルダーにペットボトルを差し込んだ。
「では帰りますか。他は大丈夫ですか?」
「おう、大丈夫だ」



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