TSロリとセンシティブノーで知識が時代遅れな女神の日常

下の蠍

俺、ピンチ

「うぇーい、ただいま」
「あら、おかえりなさい。早かったですね、それとそちらはお友達?」
「あぁ、前言ってた姫って子」
「は、初めまして」
ぎこちなく姫がお辞儀をする
「まぁまぁ、固くならないで。紫雨音からはよく聞いてますよ、とてもいい子って」
「おうよ、お墨付きだ」
早速ノートとプリントを広げ勉強を始めた。
「紫雨音ちゃん、ここどう解くの?」
「あぁ、これはこうして、こうやって」
「まるで姉妹ですね、微笑ましいです」
「そんな!紫雨音ちゃんのお母さんたら~」
「姫ー、止まってんぞ」
「はっ?!やらなきゃ」
「そういえば姫ちゃんは親御さんに遊びに行くって伝えたのですか?」
「おやは、おばぁちゃんしか居ないよ!それにおばぁちゃん今の時間農作業してるからいっつも夜6時くらいまで姫ひとりだし」
「そうでしたか、では帰り送る時に御挨拶に伺います」
「は、はい」
「んで、話戻すぞー、ここの場合これを使ってこうして」
「ほう、なるほど」
「ここはあれだ、さっきの式の逆でだな」
開始1時間で勉強が終わった。
「うっし!遊ぶぞー」
「おー!」
「そうだな、姫何する?」
「んー、将棋とか?」
「渋い線をつくな」
「だって私の家、そういうのしか無かったもん!」
「お、なんか悪かったな」
「でもね?おばぁちゃんは喜んでくれたからいいよ!」
「んじゃ、その姫の腕前を見させてもらおうか」
「ふふん!紫雨音ちゃん相手なら2枚落ちでもいいよ」
「ふっ、甘いぜ姫」
「では、2人とも飛車角抜きでやればいいのでは?」
「「その手があった!」」
「よーし、俺が先行だな!」
カチ、カチと将棋盤と駒の擦れる音が鳴る
「いいの?紫雨音ちゃんそっち置いて」
「ふっ、大丈夫だぜ」
時々惑わす言葉を双方掛けながら不安を煽る。
そんな局面もラストに向かう。
「王手!」
「よーし、これで……あれ」
「はい、詰みですね」
「嘘だろ……負けただと」
「にゃはっ!姫の勝利!」
「姫ちゃん強いですね、紫雨音こう見えてもそこそこ強い方なんですよ」
「そーなんですか?でもこれで姫もひとつ勝てるの増えた!」
「はっは、今回ばかりは完敗だ。まさか姫にこんな特技があるとは」
「他にも強いの多いよ!」
「うーし、なら次はベーゴマだ!」
「紫雨音、大人気ないですよ」
「ベーゴマあるの?よーし紫雨音ちゃんやろ!」
すっと、ランドセルの横に着いてた巾着からベーゴマを取り出す姫
「な、マイベーゴマ?!」
「ふっふふ、姫はこう見えて昔遊びの猛者なのですよ」
ベーゴマ、敗北
めんこ、敗北
ビー玉、敗北
結局思い当たる限り全てを試したが完敗した。
「姫強い、ここまで負け続けると潔くなるもんだ」
「ふっふふ!」
「はい、2人とも水分を取りなさいよ?」
出されたジュースを飲み女神も混じって学校トークをし、時間を迎えた。
その頃には姫が寝てしまっていた為、車に乗せ向かうことにした。
「見たか?あれだ」
「えぇ、かなり厄介ですね。あの団体は少なくとも私が管轄していた1600年代にはもうありました」
「そんな昔から?」
「えぇ、現代にあるって方が驚きです」
「名前とかわかるか?」
「名はありません。いえ、というよりも教えたら殺されるそうなので」
「名前が無い団体としてずっと確立してたっ事か?」
「はい、大主様以外名を教えられず、信仰神のなすら……」
「でも滅びたんだろ?」
「はい、宗教を特に恐れた信長や家康により消されていたはずです」
「あぁー、なんだっけあれか」
「そうですあれです」
「海外に派生があったとかかも知れねぇな」
「どちらにしろ今親と離れているのは好都合です」
「あぁ、だな」
着いたのは大屋敷、と言っても囲いが大きいだけで中は小さい家と畑、それと蔵がある程だった。
「勝手に入ったが良かったのか」
「まぁ大丈夫でしょう最悪女神なので」
「あのーすみません」
「はーい、ちょっとまってね」
奥の方から声がした。直ぐにおばあさんが出てきた
「あらあら、どな。姫?!」
女神の後ろで寝ている姫を見ておばぁちゃんが取り乱す
「すいません、うちの子と遊んでいたのですが疲れて寝てしまったようで」
「そうでしたか、すいません。取り乱してしまい」
「いえいえ、こちらこそ娘さんが連絡必要ないと言っていたので何も確認すること無く出向いてしまいすいませんでした」
「まぁまぁ、宜しければ家で御飯でもどうですか」
「ご飯ですか」
「えぇ、仏に祈りを居たら、客が来るで多めにこしらえなさいとあったので。宜しければと」
「めが、ママ、どうすんだ?」
「ではお言葉に甘えましょう」
「狭い家ですが」
畳部屋に通された。
姫もその頃には起きて俺の紹介をおばぁちゃんに始めていた。
「そうかいそうかい、最近よぅに明るいと思ったら神の申し子と共に居たのかい」
「おい、女神正体バレてねぇか?」
「いえ、そんなはずは」
「ホントうちの子が世話になっております」
「いえいえこちらこそ」
では、と御飯の支度を始めようとした姫の祖母に女神が手伝いますと台所に向かう。
しばらくすると女神と姫の祖母が御飯を運んできた。
「紫雨音、ご飯が終わったらしばらく話すので姫ちゃんと近場に銭湯があるそうなので浸かって来なさい」
「姫、紫雨音ちゃんをしっかり案内しなさいよ」
「なんだ、俺はのけもんか?」
「いえ、子供の場で腹を割って話す方は居ないでしょ?それに姫ちゃんのトラウマを抉る気ですか?」
「わかったわかった」


女神に気圧されたのもあってこっそり聞き耳を立てようとかも無く姫と歩いていた
「この先だよー!」
「姫はよく銭湯行くのか?」
「うん!おばぁちゃんとよく行くよー。紫雨音ちゃんは?」
「俺は初めてだな。少し緊張するぞ」
何分、汗臭い脱衣所に、模様だらけの人達の浸かる湯、そして毎日開催の我慢比べ。そんな経験しかないから
「緊張って!」
「いやー、恥ずかしいな」
ガラガラと昔ながらの戸を引くとすぐ番台が見えた。
「姫ちゃん、よっす!あれ今日は美代みよ さんおらんのか?」
頭にねじり鉢巻きが印象のおっさんが番台から声を掛けてくる
「今日は友達ときたよ!土気おじさん」
「おぉ、そうかいそ。おっとそっちのこだね」
「えっと、初めまして」
「まぁ固くなんな!俺はここの主人の土気とけ 蓮俊はすとし ってんだよろしくな」
「紫雨音です」
「はっはは!姫に勝る別嬪さんだな!」
「もぉー!姫だって可愛いよ!」
「さて、子供は料金無料だからほら、入った入った」
土気とやらに通される。
前世では幾度と無く想像したが決してくぐる事のなかった花園への入口をくぐった。
「わー、今日ガラガラだよ!紫雨音ちゃん」
「お、おう」
嬉しかったような悲しかったような。
まぁノボせても困るしな
「あれ、鍵とかないのか?ロッカーの」
「基本カゴに入れるよ?だってここら辺みんな顔見知りだからそんなことないし」
「なのか、かなりあんてーくだな」
「ほらほら!紫雨音ちゃん早く着替えて入ろ」
姫に急かされ服を脱いで扉を開けた。
「うぉー、圧巻」
「ささ、最初は体を洗わなきゃ」
「お、おう」
姫に連れられシャワーへと向かう。その途中姫の体をちろっと見るがDVの痕跡はなく安心した。決して疚しさ上ではない。
「ぷはぁー、生き返る」
「紫雨音ちゃんおっさんみたい」
「あぁ?いんだよ!ひゃー」
冷水をいっぱい浴び頭を振る
「きゃっ、紫雨音ちゃん冷たいって!」
客が少ないから少し暴れていた
「はぁはぁ……よし、落ち着くか」
「だね、土気おじさんに怒られちゃう」
「さて、浸かるかね」
「だねー」
前世では慣らさなくても入れたが今回は熱耐性が低いのかお湯に浸かるのには時間を要する。みんなそんなもんかと思ったら姫はもう漬かって泳いでいた
「紫雨音ちゃん!はやくはやく!」
「えぇい!やけだ」
少し熱いのを我慢して肩まで入る。
「くぅぅ~」
「ふふ、紫雨音ちゃん大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。ちっと熱いくらいかな」
「ほら!紫雨音ちゃんここ来てよ!熱いのくるよ」
「やだ、熱いの無理」
湯を出す木の板の所ではしゃぐ姫と、手すり付近でだらァとしている俺。
「なんか、こういうのもありなんだなぁ」
「どうしたの紫雨音ちゃん急に」
「いや、幸せってこういう時間を指すものなのかなって」
「確かに!私もこうして王子様と巡り会って──」
「姫、どうした?」
「紫雨音ちゃん、ちょっと背中貸して……」
「ん?あぁ」
突然姫が近付いてきて後ろに隠れる
「何かわからんがタオルも被っとけ」
タオルを広げて姫にかける
「あ、ありがと」
熱いほどの湯に使っているはずの姫の体が震えていた。
「何があったかは聞かねぇが。あの女か」
見るからにやばめの女、細く、背中に掘られた逆十字が印象的な、そんな人。
「う、うん。どうしてお母さんが……」
「っ?!」
「きっと今日紫雨音ちゃんの家にずっと居たからそのせいで疑ってるって思われたのかも……」
「くっ、どうすりゃいいんだ」
向きを変えて姫を抱く。
「安心しろ、絶対にどうにかするから」
「う、うん」
怪しい動きさえしなければバレないなんて子供には分からないよな。
「よし、今のうちに動くぞ」
女が立ち用のシャワーへと向かったタイミングで姫を隠しながら脱衣所に戻る。
「ほら、しゃっと。って無理かしゃーね!」
「ありがとう……」
パッと体を拭いて姫と銭湯を出た
「ふぅー、疲れた」
「うん、ほんとにごめんなさい……ごめんなさい」
「いいってば。とりあえず姫、帰るぞ」
逃げきれた?いやそもそも相手は偶然あの場に居合わせただけ?
「姫、お前の親ってあそこよく来るのか?」
「初めて見た……」
「となると、あぁ姫、こっちだ」
「え、ちょっと」


よーし、後はこれでと。
「なぁ、付けてんだろ?撒かれたからってそうカッカすんなよ」
イラついて自販機に当たる姫の母親に言い放った
「あんた!確か姫と一緒にいたガキね」
「あぁ、そうだ。全く親としてどうかしてるぜ」
「なにがよ!アンタには分からないでしょうね!偉大なるあの御方のご意志は」
「知らねぇよ、生憎と家のとこの神様はもっと優しいからな」
「まぁいいわ、黄泉槻の儀に指定はない。姫の代わりにアンタにしてやるわ。犯罪をしたくないから態々あんなクソ野郎との間に子を儲けたのに邪魔しようってんならしょうがないわね」
「な、なんだそれは」
「ほら、いいから来なさい!そうすれば姫は見逃してやるから」
「ちっ、わかったよ」
姫の母親に近付く。
「ほら、いい子だね。ふふふ!こうして私はまたひとつ徳を積めるわ!」
「なんてなるわけねぇだろ!」
鳩尾に一か八かの拳を叩き込んだ。
少し怯んだ隙に走りだす
「あぶねぇ、ってかなんだ黄泉槻??」
どんっ!何かにぶつかった
「いってて、なんだ」
「おぉ、ぢぃせぇこがこんな夜にで歩いでるとは」
「や、ヤバめのやつか!失礼するぜ」
「待つんだ、この辺りでおめぇぐれぇの女の子みねがったか?」
「し、知らない。じゃっ!俺は先を」
「おめ、嘘ついてるだ」
「しまっ───」
足を捕まれひっくり返る
「おめぇ、姫といっじょによくいるやづ」
「ぐっ……」
「ナイス!さすが私の旦那!姫の代わりにそいつ使うことにしたから」
捕まったタイミングで運悪くあの女が現れる
「っ!離せってんだ」
「よーし、そいつ車まで運びな」
「へへ、少し遊んでってやるか」
「あんた、やめときな。贄は純を好むだろ」
「ぐふふ、未だそんな古いじきたりなのが?」
「あぁ、とりあえずとった乗せるんだね」
車に放り込まれた。
「あんた、運転頼むよ」
「あいよ」
「おっと、逃げるなよ?大人しくしてないと旦那があんたを殺しちゃうかもしれないからね」
「な、なんだよホントに」
「あんたは黄泉槻の儀の贄となるんだよ!」
「だからそれってのは」
「私の徳を高める善行なのよ!」
「なんで姫や俺が必要になるんだよ!!」
「いいかい?儀には6歳から9歳までの穢れなき少女がいるんだよ。悪行を積み善行を積むと薄れるから態々作ったんだよ!それを邪魔して!」
「訳わかんねぇよ……」
車は山の方から住宅地に向かいまた山奥へと入っていった。
「なぁ、ひとつ聞くが。姫を祖母の家に託したのはお前らの唯一の優しさなのか?」
「は?何言ってんだい。旦那が姫をそっちの目で見るからだよ」
「っ、とことんクズ野郎だな」
「さーて、もうすぐ着くから目隠しをつけるよ」
「やめろ!おら!」
暴れて反抗するが、運転席のゴリラに睨まれ竦んだ隙に両手両足と視界を拘束された。
「おい!外せ」
「うるさいわね、その減らず口も塞ぐわよ」
「ちっ」
車が止まったようだ。
少し揺れて扉の閉まる音がした。ゴリラが降りたようだ
「おっと、あんたは上に贄の準備を頼んどいてくれ。私がコイツは運ぶよ」
「え、おで遊びだかった」
「だから贄だってんでしょ!」
「はい……」
「さぁ着いてきな、っても足使えないもんね。よいしょっと」
担がれたまま何処かに連れてかれた。
シュルっと目の布が解かれ暗黒から目を指すほどの光に視界が変わる
「んだ、ここは」
辺り一面に並ぶロウソク
「SMぷ──────」
わっつ?!センシティブ!
「なんか言ったか?」
「特殊な性思考を満たす為の空間に類似したここはなんですか」
「??あぁ、儀式の間だよ」
「これからどうするつもりなんだ」
「あんたは最終的に死ぬから教えてあげるわ」
「え?死ぬのか」
「贄だって言ってんでしょ」
「と、とりあえず落ち着こうか」
「えぇ、落ち着いてるわよ」
「はぁ……」
「儀式はね、三日三晩に渡って行われるのよ。初夜、100人徳僧接待、次に鬼面苦難。そして最後の番は主様に食べられちゃうのよ」
「飛んだ思考してんな」
「いい?これは徳を積む行いなの!神聖なのよ!」
「わかった、わかった。そいで、最後にひとつ頼みがあるがいいか?」
「まさか今更姫を差し出すから助けてとかじゃないでしょうね」
「まさかね、トイレ、トイレ貸してくれん?」
「へ?」
「トイレ!漏れそう。なんなら今漏らす」
「ば、馬鹿っ!神聖で漏らしたら私が殺されるよ!」
「なら早く紐解いて連れてけ」
「わかったよ!」
紐を解いたら逃げるって思考より汚されるのは困るってのが先か。あのゴリラじゃなくて助かったような
「ほら、こっちだよ」
外にある厠に通された。紐を体に巻き付けた状態で、まるでペットを扱うような感じで……
「流石に扉くらい閉めさせてくれよ」
「いいから早くしな」
トイレに入ってまずは紐から抜けた。
「さて、次は。昔話であったよな、鬼婆から逃げるために3枚の札を使うってやつで。確かそんときゃ壁を押したら」
一縷の望みをかけ押したら3枚ほど剥がれた。
「よしこの調子で、よっし。俺でも通れるぞ、あとは紐を確か。便器の金具でいっか。よーしあとは、ごめんなさい!おっきい方も出そうなの」
便器に紐を巻いてそのまま脱走した。
「しょうがないわね……早くしなよ?」
トイレの裏は壁だった。
「しまったー、いや一か八か」
近くに正門があった。女を確認すると未だに紐を持ってトイレを睨んでいる
「よしっ!」
ダッシュで正門をくぐり外へと出た
「あとは、ここがどこかだな」
急な下り坂が見えた。
「ここで捕まって死ぬくらいならっ!!」
何度も転けて転がり落ちながら坂道を下りある程度舗装された山道に出た。
「どっちだ、どっち向きだ」
よし、なんとなくだが下向きだ
「うぉぉぉぉ!!!」
ギア!MAX!
ドン!
「へっ?」
視界が宙を舞う
キィーー!
車が凄い音を立てて止まる。
「あ、あんた大丈夫かい!」
「うっ、あぁ」
「すぐ、救急車呼ぶから」
「いい、即座に連れてってくれ」
「で、でも」
「いいから!」
「はい!」
轢いたおっさんは慌てながら車に乗せ病院に連れてってくれた。
その間に女神に連絡を取って来てもらった。
「紫雨音、今回ばかりは攻めようがありませんが。怪我をするなとあれほど言ったのに……」
「ははっ、世話ねぇぜ。それで姫は大丈夫なのか?」
「今はちょっと隠れて貰っています」
「そうか、それは良かった」
「あの車の人は記憶と車の傷を無くしてそのまま元の道に戻しておきましたよ」
「サラッとすごいことすんな」
「紫雨音、とりあえず貴方の傷は治りましたが。病院に居る以上経過観察で置かれることは覚悟してくださいね」
「分かってるって」
「私は今から奴らに神の何たるやを教えてきます」
「ははっ、流石だぜ。本当、ホントに今回ばかりは怖かった……」
「泣かないでください。この病院は安全ですから」
「あぁ、ホントに」
そこで意識は途絶えた。

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