【完結】辛口バーテンダーの別の顔はワイルド御曹司
26.お泊まり
道香はマサの言葉に甘えて部屋に戻ると、取り込んだままだった洗濯物を畳んで、布団をロフトに上げてセットする。
キッチンからいい匂いがしてくる。マサは手際よく生姜焼きを作っている。バーでも食事を出していたので料理が出来ないわけではないのだろう。むしろ得意なのかも知れない。冷蔵庫は空だったが。
道香はテレビをつけると、バラエティではなくニュースチャンネルに切り替える。
何気なくスマホを手に取ると、確かにマサからメッセージや着信が残っている。マサのメッセージを確認していると、仕事が終わったらしいめぐみからメッセージが入った。
道香が実家にマサを連れて行ったことで、めぐみの家はお前もこの見合いで結婚をと、家族が大騒ぎしていると書かれている。
すぐに、見合いに頑張れはおかしいかと思いながらも返信を打った。
「道香、皿は?」
マサが道香を呼ぶので、スマホをテーブルに置いて皿を出しに行く。狭いシンクでマサが作った生姜焼きを盛り付けると、冷凍餃子を入れたスープも温まっているようだった。
「炊飯器は早炊きにセットしたけど、まだかかるだろ。唐揚げどうするんだ」
「ああ、温めようか?」
「減らしに来たから心配すんな」
マサは笑うと道香に生姜焼きを運ぶように言い、吊り戸棚から適当な皿を出すと、冷凍庫の中から唐揚げを取り出してレンジで温める。道香はその横でポテトサラダを皿に盛り付けると、テーブルに運んだ。
「タクシーで帰るからビール良いか?」
「減らして減らして」
冷蔵庫を覗くマサに飲むように伝えると、マサは箸の場所が分からないと言いながらソファーに座る。
入れ違いで箸を取ってくると、道香もソファーに座ってビールを開けて乾杯する。
「ご飯まだだけど食べ始めようか」
「いただきます」
「おいしそう!いただきます」
マサが作った生姜焼きを頬張ってビールを飲む。美味しいと喜ぶ道香を見て笑うと、マサもポテトサラダや唐揚げを食べながらビールを飲む。
「戸熊さん、見回りの手配してくれたんだって?会社の方もだろ?」
「うん。落ち着くまでは対処してくれるみたい」
「自衛も大事だけど、それが有ると無いじゃだいぶ違うからな」
「うん。ありがたいと思う」
会話をしているうちにご飯が炊けたので、適当な器を使ってご飯と水餃子のスープを盛り付けてテーブルに運ぶ。
マサは部屋を見渡して、この色違いのテープは何なのか道香に尋ねた。
「ああ、業者に伝えるのに説明しやすいように区分したの」
「なるほど。ドレッサーは何で二色なんだ」
「処分するか迷ってる。凄く気に入ってて」
「なら持っていけよ」
「良いの?」
「道香が使う物だろ。またそこまで気にいる物が見つかるとは限らないしな」
「ありがとう」
食事中は引っ越しに絡んだ話をしながら、マサは思ったよりたくさん食べ、結局ご飯もスープも用意したおかずは全てなくなった。
「マサさん凄い食べたね」
「そうか?まだ飲んで良いなら食えるよ」
ありがたい申し出に、ニラときのこ、チーズを入れたオムレツを作ると、冷蔵庫からビールを取り出してテーブルに置く。
「コレは酒が進むな」
マサは美味いよと言いながらパクパク食べる。おかげでビールは今日中になくなりそうだ。ゴミ出しに間に合うのでホッとする。
「明日も帰りに寄るから、また飯一緒に食べような」
「忙しいのにありがとうね」
「気にすんな。泊まっても良いぞ」
「着替えがないでしょ。専務が連日同じスーツはダメでしょ」
「なら明日は着替え持って来るか」
「そっか、マサさんは引っ越しの作業がないんだもんね」
思い出して道香はビールを飲むとマサを見る。
「そうだな。せいぜい有って段ボール二、三箱だろうな。姉貴に頼んだら俺の車乗ってきてくれるらしいし、荷物は積んでもらって俺はバイクで行く予定」
「そうか!バイク。私見たことないや」
「そういえばそうだな」
何気ない会話をしながら、道香はメモしてあった新居の住所をマップアプリで検索して移動時間を確認する。
「ああ、姉貴が道香拾って行こうかって」
「ん?」
「引っ越しの当日だよ。引き渡し終わったら乗せて行ってあげたいってさ」
「ありがたいけど緊張する」
「まあ、木曜は姉貴も実家に顔出すらしいから、その時に決めても良いんじゃないか?」
ビールはまだ有るか尋ねながら、マサが道香に提案する。残り二本と答えてビールを取ってくると、マサはオムレツを頬張って缶ビールを開ける。
「顔出すって、わざわざ来てくださるの」
うちなんか誰も来なかったのにと驚くと、マサはそんな大したことじゃないと続ける。
「道香の家には取り急ぎ同棲の報告を兼ねた挨拶に伺っただけで、きちんとした挨拶の時に会えるだろ。姉貴は単純に暇なのと、俺の彼女が気になるだけだよ」
「ご両親だけでも緊張するのにお姉さんまでいらっしゃるの……」
「大丈夫だよ。うちも彼女連れて行くって言ったらお袋が張り切ってたよ。道香の母ちゃんみたいに」
マサは慶子のマシンガントークが既に懐かしいと笑う。
「昨日なのに懐かしいって」
「キャラが強いんだよ。チャキチャキ系って言ってたの分かるわ」
「確かに。喋ると止まらないし話がどんどんすり変わってくからね」
慶子を思い出して道香は苦笑いする。
「道香」
「ん?」
「俺やっぱり泊まって良いか」
「え、なんで」
道香は、あのロフトに二人はキツいよ?と困ったように言う。
「俺の疲れが吹っ飛ぶ」
「なにそれ」
「朝早めに出て家でちゃんと着替えるから」
「でも寝る時なに着るの?」
「コンビニで下着買う」
道香の家のすぐ裏手にコンビニがあるのをマサは知っているらしい。
「仕方ないなぁ」
そう答えると、マサは嬉しそうに道香をハグする。昨日一緒に過ごしたのに、なんだか久々にその香りを嗅ぐ気がして頭がクラクラした。
キッチンからいい匂いがしてくる。マサは手際よく生姜焼きを作っている。バーでも食事を出していたので料理が出来ないわけではないのだろう。むしろ得意なのかも知れない。冷蔵庫は空だったが。
道香はテレビをつけると、バラエティではなくニュースチャンネルに切り替える。
何気なくスマホを手に取ると、確かにマサからメッセージや着信が残っている。マサのメッセージを確認していると、仕事が終わったらしいめぐみからメッセージが入った。
道香が実家にマサを連れて行ったことで、めぐみの家はお前もこの見合いで結婚をと、家族が大騒ぎしていると書かれている。
すぐに、見合いに頑張れはおかしいかと思いながらも返信を打った。
「道香、皿は?」
マサが道香を呼ぶので、スマホをテーブルに置いて皿を出しに行く。狭いシンクでマサが作った生姜焼きを盛り付けると、冷凍餃子を入れたスープも温まっているようだった。
「炊飯器は早炊きにセットしたけど、まだかかるだろ。唐揚げどうするんだ」
「ああ、温めようか?」
「減らしに来たから心配すんな」
マサは笑うと道香に生姜焼きを運ぶように言い、吊り戸棚から適当な皿を出すと、冷凍庫の中から唐揚げを取り出してレンジで温める。道香はその横でポテトサラダを皿に盛り付けると、テーブルに運んだ。
「タクシーで帰るからビール良いか?」
「減らして減らして」
冷蔵庫を覗くマサに飲むように伝えると、マサは箸の場所が分からないと言いながらソファーに座る。
入れ違いで箸を取ってくると、道香もソファーに座ってビールを開けて乾杯する。
「ご飯まだだけど食べ始めようか」
「いただきます」
「おいしそう!いただきます」
マサが作った生姜焼きを頬張ってビールを飲む。美味しいと喜ぶ道香を見て笑うと、マサもポテトサラダや唐揚げを食べながらビールを飲む。
「戸熊さん、見回りの手配してくれたんだって?会社の方もだろ?」
「うん。落ち着くまでは対処してくれるみたい」
「自衛も大事だけど、それが有ると無いじゃだいぶ違うからな」
「うん。ありがたいと思う」
会話をしているうちにご飯が炊けたので、適当な器を使ってご飯と水餃子のスープを盛り付けてテーブルに運ぶ。
マサは部屋を見渡して、この色違いのテープは何なのか道香に尋ねた。
「ああ、業者に伝えるのに説明しやすいように区分したの」
「なるほど。ドレッサーは何で二色なんだ」
「処分するか迷ってる。凄く気に入ってて」
「なら持っていけよ」
「良いの?」
「道香が使う物だろ。またそこまで気にいる物が見つかるとは限らないしな」
「ありがとう」
食事中は引っ越しに絡んだ話をしながら、マサは思ったよりたくさん食べ、結局ご飯もスープも用意したおかずは全てなくなった。
「マサさん凄い食べたね」
「そうか?まだ飲んで良いなら食えるよ」
ありがたい申し出に、ニラときのこ、チーズを入れたオムレツを作ると、冷蔵庫からビールを取り出してテーブルに置く。
「コレは酒が進むな」
マサは美味いよと言いながらパクパク食べる。おかげでビールは今日中になくなりそうだ。ゴミ出しに間に合うのでホッとする。
「明日も帰りに寄るから、また飯一緒に食べような」
「忙しいのにありがとうね」
「気にすんな。泊まっても良いぞ」
「着替えがないでしょ。専務が連日同じスーツはダメでしょ」
「なら明日は着替え持って来るか」
「そっか、マサさんは引っ越しの作業がないんだもんね」
思い出して道香はビールを飲むとマサを見る。
「そうだな。せいぜい有って段ボール二、三箱だろうな。姉貴に頼んだら俺の車乗ってきてくれるらしいし、荷物は積んでもらって俺はバイクで行く予定」
「そうか!バイク。私見たことないや」
「そういえばそうだな」
何気ない会話をしながら、道香はメモしてあった新居の住所をマップアプリで検索して移動時間を確認する。
「ああ、姉貴が道香拾って行こうかって」
「ん?」
「引っ越しの当日だよ。引き渡し終わったら乗せて行ってあげたいってさ」
「ありがたいけど緊張する」
「まあ、木曜は姉貴も実家に顔出すらしいから、その時に決めても良いんじゃないか?」
ビールはまだ有るか尋ねながら、マサが道香に提案する。残り二本と答えてビールを取ってくると、マサはオムレツを頬張って缶ビールを開ける。
「顔出すって、わざわざ来てくださるの」
うちなんか誰も来なかったのにと驚くと、マサはそんな大したことじゃないと続ける。
「道香の家には取り急ぎ同棲の報告を兼ねた挨拶に伺っただけで、きちんとした挨拶の時に会えるだろ。姉貴は単純に暇なのと、俺の彼女が気になるだけだよ」
「ご両親だけでも緊張するのにお姉さんまでいらっしゃるの……」
「大丈夫だよ。うちも彼女連れて行くって言ったらお袋が張り切ってたよ。道香の母ちゃんみたいに」
マサは慶子のマシンガントークが既に懐かしいと笑う。
「昨日なのに懐かしいって」
「キャラが強いんだよ。チャキチャキ系って言ってたの分かるわ」
「確かに。喋ると止まらないし話がどんどんすり変わってくからね」
慶子を思い出して道香は苦笑いする。
「道香」
「ん?」
「俺やっぱり泊まって良いか」
「え、なんで」
道香は、あのロフトに二人はキツいよ?と困ったように言う。
「俺の疲れが吹っ飛ぶ」
「なにそれ」
「朝早めに出て家でちゃんと着替えるから」
「でも寝る時なに着るの?」
「コンビニで下着買う」
道香の家のすぐ裏手にコンビニがあるのをマサは知っているらしい。
「仕方ないなぁ」
そう答えると、マサは嬉しそうに道香をハグする。昨日一緒に過ごしたのに、なんだか久々にその香りを嗅ぐ気がして頭がクラクラした。
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