【コミカライズ原作】君とは二度、恋に落ちる〜初めましての彼に溺愛される理由〜
二度目の恋は甘くて甘い(4)
「明日も早いんだから、そろそろ寝る準備しないと」
もう一度抱えられるとソファに座らせられる。急にそんなことを言われても、体には甘ったるい余韻が残ったままだ。
「どうしたの? まだ欲しかった?」
「そ、そういうわけじゃ……ただ……」
理由を聞きたいけれど、「何でキスしないの」なんて言ったら続きをして欲しいのだと思われてしまいそうで、口ごもる。
奏は小さく笑いながら、そっと私の肩に頭を乗せた。
「体目的って思われたくないから」
「え?」
「初めてが流れでああなっちゃったから、ちょっと反省してて。強引だったよね、俺」
「ま、まあ……」
強引といえば強引だった。しかしながら、私も同意してしまった以上は、奏だけのせいにはできず言葉を濁す。
「言い訳にしかならないけど、あの日はお酒も飲んでたし、俺も我慢できなくて。あ、でも次の日駅でキスしちゃったね。あれはつい舞い上がっちゃってたから、ノーカンにしてくれる?」
「それは……」
「これからはちゃんと、花梨のこと大事にしたいんだ」
「っ……」
私が心配していたことを、しっかりとフォローしてくれてる。私からは、何も言ってないのに。
「それから、花梨は俺のことまだそんなに好きじゃないでしょ?」
「そんな……」
「無理しなくていいよ。無理やり付き合ってもらったようなもんだし、まだ実感ないんじゃないかなって。あ、でもちょっとはいいって思ってくれてる?」
まったくその通りだ。彼はやっぱり人の心を読むのが得意なのだろうか。こくりと頷けば、奏は柔らかく微笑む。
「だからゆっくり仲を深めて俺のこと好きになってもらえたらな、って。キスも、花梨がしてもいいって思ってくれるまでお預け。もちろん、俺はもっと触れたいけどね」
「……うん、ありがとう」
あくまで私の気持ちを優先して、合わせてくれている。その優しさが素直に嬉しかった。
本当にこんなにかっこよくて優しい人、私にはもったいないくらいに。一瞬でも体目的だなんて疑った自分が恥ずかしく思えてきた。
「あ、そうだ。渡したいものがあって」
しっとりとした空気のあとで、奏が立ち上がる。そして玄関から何かを持って、戻ってきた。
「え、これ……」
「いつでも部屋に来ていいから。まあ、俺は大抵家にいると思うけど」
渡されたのは、奏の部屋の合鍵。付き合って間もないというのに、こんな簡単に渡してしまうものなのだろうか。
「でも……」
「使わなくてもいいし、俺が持っててほしいから。あ、花梨の鍵もくれなんて言わないから、安心して?」
私も渡したほうがいいのではないか、という不安を消して奏が微笑む。さすがに、まだ自分の鍵を渡すのは早いと感じていたので、奏の言葉にほっとした自分がいた。
同時にこんなすぐに鍵を渡してくれるなんて、まるで遊びじゃないと言ってくれているような気がして、良いように解釈してしまう。
「……じゃあ、一応持っておくね」
「うん。それと、花梨の荷物も持ってきていいからね。同じマンション内とはいえ、面倒だろうし」
「それは、いいよ!」
「なんで? 俺の部屋広いし、大丈夫だよ」
遠慮する私に、奏は不思議そうに首を傾げる。そして、当たり前のように、「だって今日も泊まってくでしょ?」なんて誘われてしまった。
「か、帰るよ。部屋もすぐそこだし、明日も仕事だから」
「それなら尚更じゃない? 朝起こしてあげるよ」
「大丈夫だよ……!」
「朝、苦手なのに?」
「私、朝苦手なんて言った?」
「……ううん。なんとなく、そんな感じ」
なんとなくって、私とんでもなくズボラな女だと思われている……?
ますます奏にとっての自分の良さが分からなくなったけれど、そんな杞憂も吹き飛ばすかのように、彼がもう一度距離を詰めてきた。
「俺が花梨といたいから。ダメ?」
誘うように、懇願するように。もう唇が触れているんじゃないかと錯覚するほどの至近距離で覗き込む。そうすれば私は断ることなんてできなくて、小さく頷いた。
「……もはや一緒に住んじゃう?」
「それは早い!」
「はは、だよね。それもおいおい、か」
本当にそのうち丸め込まれてしまいそうだ。
だけど、もしかしたら、奏とならまた恋愛できるかもしれない。そんな微かな期待を胸に抱きながら、全身に彼の抱擁を受けたのだった。
もう一度抱えられるとソファに座らせられる。急にそんなことを言われても、体には甘ったるい余韻が残ったままだ。
「どうしたの? まだ欲しかった?」
「そ、そういうわけじゃ……ただ……」
理由を聞きたいけれど、「何でキスしないの」なんて言ったら続きをして欲しいのだと思われてしまいそうで、口ごもる。
奏は小さく笑いながら、そっと私の肩に頭を乗せた。
「体目的って思われたくないから」
「え?」
「初めてが流れでああなっちゃったから、ちょっと反省してて。強引だったよね、俺」
「ま、まあ……」
強引といえば強引だった。しかしながら、私も同意してしまった以上は、奏だけのせいにはできず言葉を濁す。
「言い訳にしかならないけど、あの日はお酒も飲んでたし、俺も我慢できなくて。あ、でも次の日駅でキスしちゃったね。あれはつい舞い上がっちゃってたから、ノーカンにしてくれる?」
「それは……」
「これからはちゃんと、花梨のこと大事にしたいんだ」
「っ……」
私が心配していたことを、しっかりとフォローしてくれてる。私からは、何も言ってないのに。
「それから、花梨は俺のことまだそんなに好きじゃないでしょ?」
「そんな……」
「無理しなくていいよ。無理やり付き合ってもらったようなもんだし、まだ実感ないんじゃないかなって。あ、でもちょっとはいいって思ってくれてる?」
まったくその通りだ。彼はやっぱり人の心を読むのが得意なのだろうか。こくりと頷けば、奏は柔らかく微笑む。
「だからゆっくり仲を深めて俺のこと好きになってもらえたらな、って。キスも、花梨がしてもいいって思ってくれるまでお預け。もちろん、俺はもっと触れたいけどね」
「……うん、ありがとう」
あくまで私の気持ちを優先して、合わせてくれている。その優しさが素直に嬉しかった。
本当にこんなにかっこよくて優しい人、私にはもったいないくらいに。一瞬でも体目的だなんて疑った自分が恥ずかしく思えてきた。
「あ、そうだ。渡したいものがあって」
しっとりとした空気のあとで、奏が立ち上がる。そして玄関から何かを持って、戻ってきた。
「え、これ……」
「いつでも部屋に来ていいから。まあ、俺は大抵家にいると思うけど」
渡されたのは、奏の部屋の合鍵。付き合って間もないというのに、こんな簡単に渡してしまうものなのだろうか。
「でも……」
「使わなくてもいいし、俺が持っててほしいから。あ、花梨の鍵もくれなんて言わないから、安心して?」
私も渡したほうがいいのではないか、という不安を消して奏が微笑む。さすがに、まだ自分の鍵を渡すのは早いと感じていたので、奏の言葉にほっとした自分がいた。
同時にこんなすぐに鍵を渡してくれるなんて、まるで遊びじゃないと言ってくれているような気がして、良いように解釈してしまう。
「……じゃあ、一応持っておくね」
「うん。それと、花梨の荷物も持ってきていいからね。同じマンション内とはいえ、面倒だろうし」
「それは、いいよ!」
「なんで? 俺の部屋広いし、大丈夫だよ」
遠慮する私に、奏は不思議そうに首を傾げる。そして、当たり前のように、「だって今日も泊まってくでしょ?」なんて誘われてしまった。
「か、帰るよ。部屋もすぐそこだし、明日も仕事だから」
「それなら尚更じゃない? 朝起こしてあげるよ」
「大丈夫だよ……!」
「朝、苦手なのに?」
「私、朝苦手なんて言った?」
「……ううん。なんとなく、そんな感じ」
なんとなくって、私とんでもなくズボラな女だと思われている……?
ますます奏にとっての自分の良さが分からなくなったけれど、そんな杞憂も吹き飛ばすかのように、彼がもう一度距離を詰めてきた。
「俺が花梨といたいから。ダメ?」
誘うように、懇願するように。もう唇が触れているんじゃないかと錯覚するほどの至近距離で覗き込む。そうすれば私は断ることなんてできなくて、小さく頷いた。
「……もはや一緒に住んじゃう?」
「それは早い!」
「はは、だよね。それもおいおい、か」
本当にそのうち丸め込まれてしまいそうだ。
だけど、もしかしたら、奏とならまた恋愛できるかもしれない。そんな微かな期待を胸に抱きながら、全身に彼の抱擁を受けたのだった。
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