【コミカライズ原作】君とは二度、恋に落ちる〜初めましての彼に溺愛される理由〜
都会からの来訪者(3)
「それでは、引き続きよろしくお願いいたします」
一時間ほどの打ち合わせを終え、小鳥谷さんがオフィスを去って行った。最後の最後まで、後ろ姿にもキラキラのエフェクトを残して。
見送りが終わったあとでオフィスに戻ると、最初に部屋を案内した中里ちゃんが、未だ興奮を抑えられないといった様子で近づいてきた。
「とんでもないイケメンでしたね! なんかもう、キラキラ~ってオーラが!」
やはり彼がキラキラして見えるのは、私だけではなかった模様。中里ちゃんが言うのだから、間違いない。
「うん、確かに。仕事もできるって感じだったね」
「東京ってあんなイケメンがたくさんいるんでしょうか……。ぜひ、一度飲みに連れてってもらいたいくらいです……!」
「はは、そうだね~」
特別後ろめたいことはないけれど、念のため明日のことは伏せておいて――
「涼しい顔して。社長、小鳥谷さんとコソコソやりとりしてませんでした?」
真顔でツッコミを入れたのは、隣にいた葛巻くんだ。
「え!?」
「後で連絡します~とか、楽しそうに話してたじゃないですか」
「ちょっと何ですかそれ! 社長、抜け駆けですか!?」
隠すも何も、葛巻くんにはバレバレだったらしい。やはり隠し事は良くないと反省しつつ、先ほどの出来事を話すことにした。
「え~! 小鳥谷さんに観光案内!? 私も行きたいです~! けど、予定あるんだった……」
「僕はパスです。明日は新作のゲームが届くんで、それやらないと」
案の定、葛巻くんは乗り気じゃない。この様子だと、どちらにしろ小鳥谷さんと二人きりになっていただろう。
「でも、わざわざ社長と二人希望なんて怪しいですね。仕事と言いつつプライベートなお誘いだったり」
「さすがにそれはないでしょ~」
「いえいえ、ありえますよ! だって丸一日観光案内なんてデートみたいですし、しかも休日にですよ? いくら取引先でも、ほぼ初対面でいきなり長時間一緒に居るなんて、苦痛じゃないですか」
「ま、まあ確かに……」
「もしかして、小鳥谷さん、社長のこと狙ってるのかも!?」
中里ちゃんは、私と小鳥谷さんの関係性にすっかり興味がすり替わったようで、どこかウキウキとした様子。
「いや、本当にないから! だって初対面だよ?」
「初対面とか関係ないですよね。一目惚れだってありえますし」
ないない。あんな都会のイケメンがこんな田舎のアラサー女なんて、さすがに眼中にないだろう。彼も仕事の為だとはっきり言い切っていたし。
「変なこと言ってないで。小鳥谷さん、東京から来てこの辺りのこと知らないだろうから案内するだけだよ。仕事の為にね」
「あ〜そっか、東京から来たってことは、すぐ帰っちゃうんですもんね。残念です。社長にもせっかく男の影がって思ったんですけど」
「同感です。社長、浮いた話ないですもんね」
普段、色恋話に首を突っ込んでこない葛巻くんにまで言われるなんて。従業員には、私が過去に恋人を亡くしたことは伝えていないが、あまりにも男性の気配がないからか、いつも心配されていたのだ。
みなみといい、従業員にまでプライベートを心配させてしまうなんて。やっぱりそろそろ仮の彼氏くらい作っておいた方がいいだろうか。いや、仮の彼氏ってなんやねん。
……と、安っぽいツッコミはほどほどにして。
気持ちを切り替えると、コホンと咳ばらいをした。
「はい、無駄話はおしまい。何度も言うけど、小鳥谷さんには仕事で案内するだけだからね? みんな、仕事に戻る!」
「「はーい」」
ぞろぞろと席へ戻っていく中里ちゃんたちを見て、胸をなでおろす。すると、ポケットの中でスマートフォンが震えた。
表示は、知らない番号からのショートメール。見切れたメッセージに『小鳥谷奏』の文字が浮かび、一瞬反応してしまうが、あくまで平然を装う。
もちろん驚くほどイケメンだな、とは思ったけれど、それは男性としてというよりも、芸能人みたいな……そんな感覚だ。
どうせ明日会えばもう直接は会わない相手だろうし、あまり気にせずにいこう。
そう言い聞かせながら、自席へと戻った。
一時間ほどの打ち合わせを終え、小鳥谷さんがオフィスを去って行った。最後の最後まで、後ろ姿にもキラキラのエフェクトを残して。
見送りが終わったあとでオフィスに戻ると、最初に部屋を案内した中里ちゃんが、未だ興奮を抑えられないといった様子で近づいてきた。
「とんでもないイケメンでしたね! なんかもう、キラキラ~ってオーラが!」
やはり彼がキラキラして見えるのは、私だけではなかった模様。中里ちゃんが言うのだから、間違いない。
「うん、確かに。仕事もできるって感じだったね」
「東京ってあんなイケメンがたくさんいるんでしょうか……。ぜひ、一度飲みに連れてってもらいたいくらいです……!」
「はは、そうだね~」
特別後ろめたいことはないけれど、念のため明日のことは伏せておいて――
「涼しい顔して。社長、小鳥谷さんとコソコソやりとりしてませんでした?」
真顔でツッコミを入れたのは、隣にいた葛巻くんだ。
「え!?」
「後で連絡します~とか、楽しそうに話してたじゃないですか」
「ちょっと何ですかそれ! 社長、抜け駆けですか!?」
隠すも何も、葛巻くんにはバレバレだったらしい。やはり隠し事は良くないと反省しつつ、先ほどの出来事を話すことにした。
「え~! 小鳥谷さんに観光案内!? 私も行きたいです~! けど、予定あるんだった……」
「僕はパスです。明日は新作のゲームが届くんで、それやらないと」
案の定、葛巻くんは乗り気じゃない。この様子だと、どちらにしろ小鳥谷さんと二人きりになっていただろう。
「でも、わざわざ社長と二人希望なんて怪しいですね。仕事と言いつつプライベートなお誘いだったり」
「さすがにそれはないでしょ~」
「いえいえ、ありえますよ! だって丸一日観光案内なんてデートみたいですし、しかも休日にですよ? いくら取引先でも、ほぼ初対面でいきなり長時間一緒に居るなんて、苦痛じゃないですか」
「ま、まあ確かに……」
「もしかして、小鳥谷さん、社長のこと狙ってるのかも!?」
中里ちゃんは、私と小鳥谷さんの関係性にすっかり興味がすり替わったようで、どこかウキウキとした様子。
「いや、本当にないから! だって初対面だよ?」
「初対面とか関係ないですよね。一目惚れだってありえますし」
ないない。あんな都会のイケメンがこんな田舎のアラサー女なんて、さすがに眼中にないだろう。彼も仕事の為だとはっきり言い切っていたし。
「変なこと言ってないで。小鳥谷さん、東京から来てこの辺りのこと知らないだろうから案内するだけだよ。仕事の為にね」
「あ〜そっか、東京から来たってことは、すぐ帰っちゃうんですもんね。残念です。社長にもせっかく男の影がって思ったんですけど」
「同感です。社長、浮いた話ないですもんね」
普段、色恋話に首を突っ込んでこない葛巻くんにまで言われるなんて。従業員には、私が過去に恋人を亡くしたことは伝えていないが、あまりにも男性の気配がないからか、いつも心配されていたのだ。
みなみといい、従業員にまでプライベートを心配させてしまうなんて。やっぱりそろそろ仮の彼氏くらい作っておいた方がいいだろうか。いや、仮の彼氏ってなんやねん。
……と、安っぽいツッコミはほどほどにして。
気持ちを切り替えると、コホンと咳ばらいをした。
「はい、無駄話はおしまい。何度も言うけど、小鳥谷さんには仕事で案内するだけだからね? みんな、仕事に戻る!」
「「はーい」」
ぞろぞろと席へ戻っていく中里ちゃんたちを見て、胸をなでおろす。すると、ポケットの中でスマートフォンが震えた。
表示は、知らない番号からのショートメール。見切れたメッセージに『小鳥谷奏』の文字が浮かび、一瞬反応してしまうが、あくまで平然を装う。
もちろん驚くほどイケメンだな、とは思ったけれど、それは男性としてというよりも、芸能人みたいな……そんな感覚だ。
どうせ明日会えばもう直接は会わない相手だろうし、あまり気にせずにいこう。
そう言い聞かせながら、自席へと戻った。
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