恋と遺伝子~相性98%のおためし同居生活~
新生活は社長宅にて(5)
暗闇の中、うっすらと瞼を開く。一瞬夢かと思ったのも束の間、見知らぬ天井が、すべては夢ではなかったという証拠だ。
それにしても、いつの間に眠ってしまったのだろう。スマートフォンの画面で時間を確認すると、深夜一時を回っている。
新着メッセージを開くと、それは七滝さんからで、会社までの地図や周辺のおすすめの飲食店情報などがまとめられていた。
「……面倒見いいな」
さすが社長秘書といったところだろう。想像以上の対応に感心してしまう。
メッセージが届いた時刻は夜の十時。少なくとも四時間以上は眠っていたことになる。
夕方、簡単な荷解きを終えた私は、近くの定食屋で夕飯を済ませ再びここへ戻ってきた。
明日からの仕事に向け、せめてお風呂だけは入っておきたい。
最低限の洗面セットを段ボールから取り出すと、シャンプー類を切らしていたことを思い出す。こっちに来て新調しようと思っていたのだ。
それくらいは借りてもいいだろうか……。
悩みながら廊下に出ると、リビングから小さく光が漏れていることに気が付いた。
社長には話しかけづらいけれど、勝手に使うのも躊躇われる。
覚悟を決めて、リビングのドアをおそるおそる開けた。
漏れていた光の正体は、ソファサイドの間接照明。社長は、ソファの上で無防備にも目を閉じていた。
眠っているのか、そっと覗き込んでみるけれど、私に気付いている様子はない。
テーブルの上にはグラスとウィスキーのボトルが置かれていて、おそらくお酒を飲んでいたのだろうと想像できた。
それにしても、綺麗な顔。でも、整い過ぎてまるで作り物のような……。
って、私は何を考えているんだろう。
一瞬、見惚れてしまっている自分に気付き、はっと我に返った。
起こすのは申し訳ないと思いながらも、時間が時間だ。声くらいはかけたほうが良いかもしれない。
「あ、あの……」
迷った末、風邪でも引いたらいけないからと、言い訳を並べて声をかけてみる。
けれど、彼はピクリとも反応しない。
「あの……失礼します……」
もう一度声をかけながら、小さく肩に触れてみる。
私なんかが触れてしまっては恐れ多いような、不思議な感覚に陥っていると、彼が小さく声を漏らした。
「……ん」
「あ、すみません――わっ!」
顔を覗き込んだところ、彼の肩をゆすった腕を強く引かれる。
ふわりとアルコールの匂いが鼻腔を掠めた後、唇に柔らかいものが触れた。
それが彼の唇だと分かった時には、時すでに遅く、重なった唇から温かいものが伝わる。
「んっ……」
侵入してきた彼の舌が、素早く口内を犯していく。
抵抗しようとしたけれど、彼に強く引かれた腕がそうはさせてくれなかった。
それに、まるで吸いついては離れない彼の唇に、思うように体の力が入らない。
相当なお酒を飲んだのか、こちらまで酔ってしまいそうなアルコールの味に頭がくらくらとした。
「っ……」
息継ぎを忘れるほど、だけどどこか優しく濃厚なキスを交わした後で、彼の唇が離れていく。
ごく自然に、再び唇が重なろうとした寸前、我に返り彼の体を押し返した。
「お、起きてください……!」
「ん……」
突き飛ばされソファに沈んだ社長は、やっと目が覚めたのか、頭をかきながら瞼を開ける。
「な、何するんですか……!?」
彼が酔っていたとはいえキスをされたのは事実。
思い出すだけで羞恥がこみ上げてきて、彼の意識が覚醒してしまう前にと部屋へと戻った。
それにしても、いつの間に眠ってしまったのだろう。スマートフォンの画面で時間を確認すると、深夜一時を回っている。
新着メッセージを開くと、それは七滝さんからで、会社までの地図や周辺のおすすめの飲食店情報などがまとめられていた。
「……面倒見いいな」
さすが社長秘書といったところだろう。想像以上の対応に感心してしまう。
メッセージが届いた時刻は夜の十時。少なくとも四時間以上は眠っていたことになる。
夕方、簡単な荷解きを終えた私は、近くの定食屋で夕飯を済ませ再びここへ戻ってきた。
明日からの仕事に向け、せめてお風呂だけは入っておきたい。
最低限の洗面セットを段ボールから取り出すと、シャンプー類を切らしていたことを思い出す。こっちに来て新調しようと思っていたのだ。
それくらいは借りてもいいだろうか……。
悩みながら廊下に出ると、リビングから小さく光が漏れていることに気が付いた。
社長には話しかけづらいけれど、勝手に使うのも躊躇われる。
覚悟を決めて、リビングのドアをおそるおそる開けた。
漏れていた光の正体は、ソファサイドの間接照明。社長は、ソファの上で無防備にも目を閉じていた。
眠っているのか、そっと覗き込んでみるけれど、私に気付いている様子はない。
テーブルの上にはグラスとウィスキーのボトルが置かれていて、おそらくお酒を飲んでいたのだろうと想像できた。
それにしても、綺麗な顔。でも、整い過ぎてまるで作り物のような……。
って、私は何を考えているんだろう。
一瞬、見惚れてしまっている自分に気付き、はっと我に返った。
起こすのは申し訳ないと思いながらも、時間が時間だ。声くらいはかけたほうが良いかもしれない。
「あ、あの……」
迷った末、風邪でも引いたらいけないからと、言い訳を並べて声をかけてみる。
けれど、彼はピクリとも反応しない。
「あの……失礼します……」
もう一度声をかけながら、小さく肩に触れてみる。
私なんかが触れてしまっては恐れ多いような、不思議な感覚に陥っていると、彼が小さく声を漏らした。
「……ん」
「あ、すみません――わっ!」
顔を覗き込んだところ、彼の肩をゆすった腕を強く引かれる。
ふわりとアルコールの匂いが鼻腔を掠めた後、唇に柔らかいものが触れた。
それが彼の唇だと分かった時には、時すでに遅く、重なった唇から温かいものが伝わる。
「んっ……」
侵入してきた彼の舌が、素早く口内を犯していく。
抵抗しようとしたけれど、彼に強く引かれた腕がそうはさせてくれなかった。
それに、まるで吸いついては離れない彼の唇に、思うように体の力が入らない。
相当なお酒を飲んだのか、こちらまで酔ってしまいそうなアルコールの味に頭がくらくらとした。
「っ……」
息継ぎを忘れるほど、だけどどこか優しく濃厚なキスを交わした後で、彼の唇が離れていく。
ごく自然に、再び唇が重なろうとした寸前、我に返り彼の体を押し返した。
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