【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

私は貴方の灯台だから6

 一瞬、白い輝きに支配されたあと、灯里のまぶたの裏に太陽を浴びて輝く蒼い波が揺らいでみえた。

 灯里が悦に溺れれば、蒼人も飛び込んできた。
 二人は快楽の海に一緒に沈んでいく。 
 水中に吐き出した呼気の泡のように、二人はもつれあい絡み合って快楽の頂上へと登っていく。
 やがて余韻の砂浜に打ち上げられた。




「愛してる」
「私も」

 気だるい余韻を抱いた二人は、交互にささやきながら口づけを交わした。


「そうだ、これを渡しにきたんだった」

 蒼人が裸のまま起き上がると、ジーンズのポケットを探ってなにかを取り出すと灯里のもとに戻ってきた。

「俺が錨を下ろした証し」

 彼女の左手を取ると、なにかを嵌めた。

 見れば、淡いピンクと濃い目のピンクの宝石が交互に並んでいる指輪だった。

「なんか、灯里らしいなと思って」

 照れた表情を浮かべながら、淡い方がピンクダイヤモンド、濃い方がピンクトルマリンと説明してくれた。

「綺麗」

 灯里はうっとりと指輪を見つめた。
 蒼人がニヤリと笑う。

「予約したからな、今日からこの指は俺だけの場所だぞ。返品は受け入れないからな?」

 灯里は目をぱちくりした。

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