【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを
誤解と怒りと運命の人11
『お名前は? ……美咲灯里さん。綺麗な名前ですね。お年は? 二十六歳。俺より二つ年上だ。職業は? ……ビヨウブイン? なんですか、それ。ああ、デパートで化粧をする人ですか。じゃあ、うちの祖母に化粧してやってくださいよ。ばあちゃん、ケアハウスに入ってるんですけど、化粧すると気分が華やぐっていうんです。けど俺、不調法で口紅も選べないんですよね』
化粧という言葉が引き金になったのか灯里の意識は一瞬クリアになり、『彼』の祖母にメイクをしに行くと約束した。
PTSDに悩まされる日々、『彼』との約束が励みだった。
「まさか」
蒼人が名前よりも青くなった。
「で? なんで美容部員じゃなくてコールセンターに勤めているかだっけ?」
カーン。
――ラウンドスリー。
入院して退院して、しばらくは空の青さも海啼りのような音も怖くて家から出られなかった。
ようやく体調が回復すると、灯里は海ぎわのケアハウスを調べた。
電話をかけてはメイクのボランティアを申し込んだ。
化粧という言葉が引き金になったのか灯里の意識は一瞬クリアになり、『彼』の祖母にメイクをしに行くと約束した。
PTSDに悩まされる日々、『彼』との約束が励みだった。
「まさか」
蒼人が名前よりも青くなった。
「で? なんで美容部員じゃなくてコールセンターに勤めているかだっけ?」
カーン。
――ラウンドスリー。
入院して退院して、しばらくは空の青さも海啼りのような音も怖くて家から出られなかった。
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