【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

御曹司との見合い

「見合いぃぃっ?」

 上司の清水と二人だけのミーティングルームで灯里はすっとんきょうな声をあげた。

 個人面談は契約更新の時。
 あるいはオペレーターの対応に対して顧客からのクレームが入り、注意される時だ。

 更新時期ではないので、灯里はなにをやらかしたのだろうとビクビクしながら上司の後ろをついて部屋に入り。

 そして大きな声をつい出してしまった訳である。

「しぃぃぃっ。これはトップシークレットなのよう」

 清水が大慌てなアクションをしてくる。

 確かに、鶴亀グループの大株主との見合い話となればそうだろう。
 それにUNNO海運の御曹司とやらが、前日コールセンターを見学していたのも事実。

 イケメン・独身・大会社の御曹司と音速で情報がかけ廻り、就業中だという」のに通路が見える場所にスタッフが鈴なりになりそうな勢いだった。

「なんか、みんなが首をひょこひょこさせてたり、座ったまま座高を一生懸命伸ばしたり椅子ごと移動してたから、よくわかんないけど。御曹司サマ、嫁探しにきてたの」

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