【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

視察3

「昨日、美咲ちゃんがベッドで濃密なコミュニケーションしている時に。あらん、別の場所だったかしら? ヤダ、アニマルちっく!」

「おんどれぁ、いい加減にせいよ」

 灯里はTVでみた悪者のセリフを真似して凄むと、上司であるが清水の脳天にチョップをかました。

 いたたた……と頭を抱えた後、清水は目をキラキラにさせて叫んだ。

「うちの大株主が、このコールセンターの見学にくることが通達されたの!」

 今日、訪れるらしい。

 独身、イケメン、三十代との未確認情報に女子スタッフが舞い上がった。

 自主的なオフィスの大掃除の後、皆残業を断りダッシュで退勤。
 おそらく家で必死のボディとフェイスのお手入れ大戦争、そして勝負服での出勤となったと言う。

「へーえー」

 気のない返事を灯里がすれば、これだから男ができたばっかりの女は、と上司がもう一度言う。

「そういえば、むーちゃんもおしゃれしているじゃない」

 いつもこの上司はおしゃれではあるのだが。

 今日はネクタイ不要タイプのワイシャツで上から二つほど外し、暗色系のスーツを身につけている。

 髪を少しワイルドめにして、ちょい悪だが出来る男オーラを醸し出している。

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