【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

視察

 蒼人と別れてから一時間後。

「おっはよー……あれ?」

 灯里はオフィスを見渡した。
 ロッカーでも思ったが、今日はやけにキラキラな人が多くないだろうか。
 ただし、女性に限る。

 気のせいか、オフィスの照明も普段より明るい。

 おまけに、普段はかなり雑然としたオフィスも。
 元々、書類などは情報漏洩防止の為に鍵付き書棚に収められているのだが、OA機器もデスクもピカピカである。

「おっはよ、美咲ちゃん」

 本日分の仕事の精査だろうか。
 すでにパソコンに向かっていた上司の清水が、にこやかに挨拶をしてくれた。

「どうしたの? なんかオフィスが眩しくない?」

 こっそりと聞くと、はあああと清水は大袈裟なため息をついてみせた。

「これだから、ニブチンは。しかも彼氏ができてはっちゃけてる女はほんと、無神経」

「ニブチンは認めるけど、はっちゃけてなんか」

 なんとなく赤面していえば、上司からズビシ!とばかりに指を刺された。

「どこがよっ。『さっき彼氏と同じベッドから起きてきたばかりですぅ〜』みたいな風情満々よ?」

「え、そうかな」

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