【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

俺のことを考えて17

「ん……」

 眩しい。

「おはよ」

 男の声に何とか瞼を持ち上げる。

 すると愛おしい男が目の前にいて、微笑んでいた。

「蒼人。おはよう。いつ、起きたの?」

 自分はいつ眠ってしまったのだろうか。

「少し前かな。灯里がいびきかいてて、目が覚めた。見たら、よだれ垂らしててさ」

「うそっ」

 灯里は慌てて口の周りを拭った。
 蒼人がニヤリと笑う。

「う、そ」
「もーっ」

 ポカポカと彼の裸の胸を叩いていると、蒼人は灯里の拳にキスをしたあと起き出した。

 朝日の中、見事な裸体を隠すことなくバスルームへと向かう。
 彼の背中を見て、灯里はしゅんとなった。

「もう、行くの」
「うん、八時前には着いてないとね」

 灯里は時計を見た。六時少し前。

「あー……」

 蒼人が自分の頬を掻いた。 

「七時にルームサービスを頼んであるんだけど、……灯里もシャワー一緒に浴びないか。なんかシちゃわないとは約束しないけど」

「ん」

 灯里はシーツを巻いて起き出し。

 七時十五分。
 豪華な朝食を前にして、バスローブを着込んだ二人は無口だ。

「その、ごめん」

 蒼人がぼそ、とあやまった。

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