【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

俺のことを考えて16

 いつもは時間に追われてひたすら前を見て歩いているだけだが、夜に高いところから見ると別の場所に思える。

 普段、慣れ親しんでいる町は今、宝石のようにキラキラとしている。

 あるいはプラネタリウムの満点の星、もしくはテーマパークのパレード。

 住んでいる人、働いている人、観光にきた人。それぞれの思いが照明の一つ一つに宿っているのかもしれない。

 その中には灯里と蒼人のために灯された、この部屋の照明もある。

 蒼人がそっと後ろから灯里を抱きしめてきた。

「灯里、好きだ」

 胸の下で組まれた蒼人の腕に触れる。頭を彼の胸にもたせた。

「私も蒼人が好き」

 蒼人の顔が灯里の顔におおいかぶさってきた。

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