【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

蒼人一色の日々24

 私がご褒美なのか。
 あれ。
 今、『好き』って言われたのだろうか。

 誇らしいやら、照れくさいやら。
 もやしとキャベツの肉炒めを山盛りにしすぎて皿のフチから溢れるところだった。

 蒼人が腹ばいのままずりずりと部屋の中に入ってきた。

「……今度は蛇にでもなるつもりなの?」

 灯里は恐る恐る聞いてみた。

 脳筋から爬虫類にまで変態を遂げてしまったのだろうか。
 服を脱ぐときに『脱皮!』とか叫ばれてしまうのだろうか?

 蒼人がぷ、と吹き出した。

 灯里の発想て面白いね、と言われてしまう。

「訓練でさ、ダクトの中を腹ばいですすむってのがあるんだ」

『怪奇! 蛇男』は灯里の杞憂だった。

 食べ終わって一息つくと、今度は腹筋である。

「灯里、俺の太ももに乗ってて」

 言われるまま、座ると。
 ぐん!
 寝そべっていた蒼人がいきなり目の前に現れた。

「一回」 

 灯里の唇を啄んでから仰向けに戻る。
 あわわ、とみじろぎした際に、「動かないで」と蒼人から叱責が飛ぶ。

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