【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

蒼人一色の日々22

「ヤンチャはするけど無理はしない」
「ん」

 灯里が微笑むと、蒼人も笑みを浮かべた。

「灯里。リハビリに付き合ってもらっていい?」

 蒼人が遠慮がちにきくと、灯里はぱあっと顔を輝かせた。

「いいよ!」


 二日後、初めてのデートはリハビリ兼用になった。

 灯里は休み、蒼人は勤務明け。
 彼女の自宅の最寄り駅で待ち合わせ。

 蒼人は駅から灯里の家まで、杖を使って休みながらゆっくり歩く。

 途中、灯里のアパートの近くにある公園に寄っていく。
 鉄棒があり、蒼人が懸垂をしたがったからだ。

「本当は雲梯も大人用があるといいのになー」

 などと言いながら、ヒョイヒョイと鉄棒より上に頭が持ち上がるくらいの懸垂をたて続けに行う。

 が、終わってみれば背筋や腰に響いていたようで、さらにゆっくりと灯里の家を目指す。

 灯里の家にようやくたどり着くと、玄関にへたりこんだ。

「うおおー、きついー」

 唸りながら廊下につっぷしている。

「懸垂、しなければよかったのに」

 うっかり口にしてしまった。

 蒼人が目をまんまるくして灯里を見上げて、ニッと微笑んだ。

「だって懸垂をしてる俺、かっこいいだろ」

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