【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

蒼人一色の日々5

「よし! あんたたち全員、今日は早昼だからねっ」

 清水が高らかに宣言する。

 灯里達のいるコールセンターは複合施設に入っている。

 色々な企業が入っているため、十二時から十三時はエレベーターおよびレストランやフードコートなどが非常に混み合う。
 
 また、コールセンターにとってこの時間帯は戦場のため、鶴亀通販ではその時間帯に昼休憩を取らせない。
 十一時半から一時間の『早昼』組と十四時からの『遅昼』組に別れて昼休憩をとるのだ。

「ええっ」

 灯里は抗議の叫びをあげた。
 早昼組はゆったりした店内に入れるし、フードコートで売っているお弁当の種類は豊富にあり選び放題なのだが、人気はない。

 昼が早すぎるので、終業時間まで長いからだ。

 また、戦場タイムがあれば、暇タイムもある。
 鶴亀でいうと、平日は十四時から十五時くらいは電話の鳴りが少ない。

 その間、経理部からの要請で入金遅れの督促電話。しくは購買部からのリストで定期購入をしている客への促進電話も発信している。

 が、出てくれる客も少ないのであっというまにかけ終えてしまう。
 となると、入電がないとひたすらに眠い時間帯となる。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品