【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを
連れ出したくて、付き合いたかった2
とはいえ、彼がどこに行きたいかはわからないので、まるで大人の服の裾を掴んでついて行っている子供のような気持ちである。
それでも、さっきよりは彼に声が届く。
喧騒に負けないよう、声を張り上げた。
「イタズラではなく間違ったんです、悪気はなかったんです……」
言いかけて灯里は口をつぐむ。
世の中、悪気がない事故や事件などたくさんある。
灯里の事故も、主催者達は天候のせいだと謝罪もしてこなかった。
海野が止まる。
見渡せば、自分たちがいるのはキャバレーやバー、そしてラブホが建っているような一角だ。
海野が入ろうとしているのは、またしてもラブホの入り口だった。
ようやく彼女を振り返った海野はじっとみる。
ゴクリ。
ここで別れると言う選択肢は灯里にはなかった。
彼女がハンドルを押しながら一歩踏み出すと海野はすっと入り口に入った。
スロープで圧がかかり、一瞬押し戻されそうになると、海野がぐん!と車輪を動かしたので灯里は手放してしまった。
彼女が追いつけば、すでに海野は部屋を選んで鍵を受け取っていたところだった。
彼が車椅子に座ったまま、鍵の受け取り口に屈んでいるのを見て気づく。
それでも、さっきよりは彼に声が届く。
喧騒に負けないよう、声を張り上げた。
「イタズラではなく間違ったんです、悪気はなかったんです……」
言いかけて灯里は口をつぐむ。
世の中、悪気がない事故や事件などたくさんある。
灯里の事故も、主催者達は天候のせいだと謝罪もしてこなかった。
海野が止まる。
見渡せば、自分たちがいるのはキャバレーやバー、そしてラブホが建っているような一角だ。
海野が入ろうとしているのは、またしてもラブホの入り口だった。
ようやく彼女を振り返った海野はじっとみる。
ゴクリ。
ここで別れると言う選択肢は灯里にはなかった。
彼女がハンドルを押しながら一歩踏み出すと海野はすっと入り口に入った。
スロープで圧がかかり、一瞬押し戻されそうになると、海野がぐん!と車輪を動かしたので灯里は手放してしまった。
彼女が追いつけば、すでに海野は部屋を選んで鍵を受け取っていたところだった。
彼が車椅子に座ったまま、鍵の受け取り口に屈んでいるのを見て気づく。
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