【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

出会いはケアハウス3

 灯里は長期戦の構えで、それでもツテを求めて聞き回っている。
 ふとしたはずみに、同期入社で上司でもある清水宗矩しみず むねのりが海保の友人を持っていることがわかった。

『はぁ〜? 会ってどうすんのよ』

 合コンをセッティングしてほしいと拝み倒した時に聞かれた。

『それは』

 清水としては当然の質問だ。
 けれど、なんと答えればいいのだろう。

 言い淀んでしまったら、単なるファンと思われたようで苦言を呈された。

『なんでそこまでして海保の人と会いたいのよ。美咲ちゃん、映画とかの影響なら、にわか過ぎ。マッチョファンなら、もっと会いやすい職種にすればいいじゃない』

 ご尤もであるが、ひけない理由がこちらにはある。

『いいこと? からっからのミイラ女の美咲ちゃんに、僕としてはオトコを紹介するのはやぶさかじゃないの』

『……ありがとう?』

 その通りだが。
 うちの上司は、毒舌もとい正直すぎないだろうか。

『どういたしまして、美味しい焼き肉定食のためですもの』


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