【電書化】運命のイタズラ電話に甘いおしおきを

水田歩

出会いはケアハウス2

 探せばあるもので、自衛隊・消防士・海保専門の合コン会社があった。
 灯里はそこに会員登録しているのだが、開催された試しがない。

 というのも、入会費用も会員費用もタダなのだが会則がふるっていた。

『国の為、愛する人の為、日夜闘う公務員との合コンです。緊急事態があれば現場へ飛んでいってしまう人達なので、ドタキャン・リスケに強い女性向き』

 ……こんな文言で集まる女性も少ない。
 けれどいつの間にか、女子だけのグループが出来上がっていた。 
 男性側にドタキャンされると、そのまま女子会に移行する。 
 それぞれが語る推しへの愛を肴に飲む酒もオツである。

 ……出会えないことにれた人から順に脱会していく。そして、なんらかの動画を見て感動した女性が一人入るという具合。

 たまたま女子会の中で、消防士と結婚したい女子が同じコールセンターに働いていることがわかった。

 彼女に付き合って、消防士との婚活パーティに参加したことがある。
 当日、パーティ会場の近隣でビル火災が発生したこともあり、参加した消防隊員の人数はおよそ女性の三分の一だった。

 隊員を囲む女子の群れを見つめながら、マニア女子は争いに参加しようともせず諦め口調だった。

『開催されただけ、マシだよ。合コンだとお流れになるケースが少なくないもん』

 激しく同意したものだ。

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