七日間オナ禁すれば転生できるけど、現代のエロが強すぎるせいで我慢できない

Yoshua

第3話 オナ禁1日目

 オナ禁1日目
 朝食を終えた俺はあいも変わらず自室に籠る。
 いつもと違うのは、頭の中に女神の声が──

『はぁぁぁぁぁあ(クソデカため息)』

「ん? どうしました?」

『「どうしました?」ってよく聞けましたね! また1日目! また最初からじゃないですか!』

 朝っぱらから女神に怒られちゃったよ。
 神の声を聞きたくて堪らない人が、ごまんといるのに、俺はオナ禁失敗するだけでこんなに話しかけてもらえる。
 あ〜ぁ、俺って罪な男……。

『ホント罪深すぎてマリアナ海溝とタメ張れますよ』

 俺はゲーミングチェアにこれでもかと寄り掛かると、頭の後ろで手を組んだ。

「いやー、なんかもういいかなぁ、ってなるんだよね」

『急にフランクになるやん。それと何も良くないですよ』

「なんかさ、夜になるとさ、性的衝動に襲われるんだよ。その時思うわけ。明日があるさって」

『今日頑張れない人に、明日は来ませんよ?』

 女神ちゃんの退屈な正論に、俺は深いため息を吹きかける。

『いや、クッサ! 朝ごはんのあと歯磨きました?』

 格の違いを思い知らせたところで、俺は口を開く。

「だって転生の期限って死ぬまででしょ?
 なら、そんなに急ぐ必要ないじゃん。100歳まで生きれるなら、当然俺は99歳11ヶ月まで"性"を謳歌するね。だから女神ちゃんはさ、俺の死ぬ1週間前に来てくれたらいいよ。そこからオナ禁するから」

『1週間前? ならちょうどいいです。このままここにいますね』

「え?」

『え?』

 顔が引き攣り、頭の血が一気に引くのを感じる。
 しばらくの静寂の後、女神が笑い出す。

『フフッ。アハハハハ! 冗談に決まってるじゃないですかぁ! そんな変な顔しないでくださいよぉ』

「ア……アハ……ハ……そ、そうですよね。アハ! アハハハ!」

『ただ……これだけは言っておきますね』

 俺の壊れたような笑いが続く中、頭の中に女神の冷たく低い声が響いた。

『今みたいに笑って死ねるとは思わないでください。死はいつも突然です。後悔は残さないように生きてくださいね』

「……はい」

 俺は椅子の上で正座し、頷いた。

『ホント反省してくださいよぉ。で? いつですか?』

「いつって?」

『貴方が欲求に負けた時のことです』

 俺は目を泳がせて、昨日の記憶を辿る。

「えっと……昨日の夜寝る前に、俺トイレに行ったじゃないですか」

『はい、行きましたね』

「その時、女神様に聞いたじゃないですか"トイレにまでついくるのですか"って」

『私はそれを肯定したはずです。そしたら貴方はこう言いましたよね"女神様に見られていると思うと興奮してしまいます。禁欲させたいのなら、トイレの間、自分の頭から離れて欲しい"と』

「……はい」

『騙しましたね』

「……てへっ!」

『明日生きていられるといいですね』

「ヒェッ…」

 こうして3回目のオナ禁1日目がすぎていくのであった。

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