社長は身代わり婚約者を溺愛する
第48話 どうして邪魔するの②
確かに、お母さんが病気になって、1億必要で。
お金持ちと結婚したら、1億入ると言われたら、私だって結婚してしまうかもしれない。
でも……
「そんなの、芹香らしくない。」
芹香は、もっと自分を持っている人だ。
「芹香だったら、何かいい方法で、1億稼ぐ事はできると思う。」
「いい方法?何よ、それ。」
「例えば、事業とか。」
「はあ?働いた事もない私が、事業?」
無理なのかな。
本当に、1億稼ぐってできないのかな。
「とにかく、私の邪魔をしないで!」
芹香が叫んだ。
「どうして、信一郎さんなの?」
私は逆に、聞いてみたかった。
なぜ、そんなに芹香は、信一郎さんにこだわるのか。
「芹香だったら、他にいい人がいるじゃない!」
「元は私のお見合い相手よ!」
「でも、芹香は断ってって言ったじゃない!」
「こんなに優しい人だって知っていたら、断らなかったわよ!」
私と芹香は、息切れをする程言い合った。
「諦めて。信一郎さんの事。」
芹香が、ニヤッとした。
「何?もう婚約者気取り?」
「もう、婚約者だから。」
「はあ?」
芹香は、首を傾げた。
「さっき、車の中で信一郎さんから、プロポーズをされた。」
「何ですって?」
「私はそれを受けた。私達は、結婚の約束をしたわ。」
芹香の手が、わなわなと震える。
「それで、信一郎さんの両親からも認められたってわけね。」
「そうよ。」
芹香は、クルッと背中を見せた。
「こうなったら、黒崎家との取引、止めさせてもらうわ。」
「えっ?」
信一郎さんが、驚いた。
「結婚はなしになったんだもの。取引もなしよ。」
「待って、芹香さん。」
信一郎さんは、焦るように芹香の腕を掴んだ。
「それとこれは、別な話だ。」
芹香は、ニヤッとしながら振り向いた。
「何?沢井家と縁がなくなったら、困るの?」
信一郎さんは、静かに頭を横に振った。
「むしろ、困るのは沢井家の方だろう。」
「馬鹿にしないで!」
芹香は、信一郎さんの手を振り払った。
私は芹香が可哀想になった。
芹香は、ちゃんと家の現状を、把握してるんだろうか。
「沢井は沢井で、やっていくわよ!また新しい相手を見つければいいんだから!」
私の胸に不安が過った。
「芹香!」
私は芹香の側に行った。
「新しい相手って?」
「援助してくれる家の人だったら、誰でもいいわよ!」
「そんなの、芹香らしくない!」
その瞬間、芹香に睨まれた。
憎しみが私を刺す。
「私らしいって、何 」
これが芹香?全くの別人だ。
「本当の私を見た事ないくせに!偉そうに言わないで!」
確かに、信一郎さんと芹香が出会ってから、彼女の知らないところばかりを見ている。
「でも……」
それでも、私は信じたい。芹香のいいところ。
「私の知っている芹香は、自分を持っていて、決して周りに流されない人だよ。」
「ふふふ。」
芹香が意味深な笑いをする。
「そして、自分の母親を犠牲にする人?」
「そんな事っ!」
ないって言えない。
芹香から、お母さんの事聞いた事ないけれど、大切にしているって思っていた。
「芹香……」
涙が出て来た。
彼女にとって最良の道が何なのか。
一緒に考えてあげたい。
そう思ったら、彼女を抱きしめていた。
「私、芹香の力になりたい。」
芹香は、何も言わない。
「だって、私達友達でしょ!」
私の訴えは、芹香に届くのか。
「……いい加減にして。」
私はハッとした。
「私の人生、邪魔しておいて、何が力になりたい?何が友達なの?」
「芹香……」
「もう離れて!」
芹香が私の身体を引き離した。
「本当に力になりたいなら!友達だって思うんだったら!黒崎さんを頂戴よ!」
「落ち着いて、芹香……」
「できないんだったら、友達面しないで!」
胸がズキズキ痛い。
「芹香、それが芹香の求める友達なの?」
芹香がハッとする。
「私、信一郎さんの事好きだから、芹香には渡せない。」
芹香が一歩、下がったところを、信一郎さんが受け止めた。
「芹香さん、礼奈に負けましたね。」
「はあ?私が負け?」
「話を聞いている側としては、礼奈の意見に完敗ですよ。」
信一郎さんの顔を見ると、ほっと安心した。
「いいわよ。寄ってたかって、私を虐めて。」
「そんなんじゃないよ、芹香。」
「いいって、言ってるでしょ!」
その時、芹香が私から離れて行くような気がした。
「その代わり、黒崎家が潰れたら、礼奈のせいだからね。」
「えっ……」
「取引が無くなるって事は、そういう事よ!」
そして芹香は、走って行ってしまった。
「礼奈、安心しろ。ウチは簡単に潰れないから。」
「うん……」
私はその時、芹香を遠く感じていた。
お金持ちと結婚したら、1億入ると言われたら、私だって結婚してしまうかもしれない。
でも……
「そんなの、芹香らしくない。」
芹香は、もっと自分を持っている人だ。
「芹香だったら、何かいい方法で、1億稼ぐ事はできると思う。」
「いい方法?何よ、それ。」
「例えば、事業とか。」
「はあ?働いた事もない私が、事業?」
無理なのかな。
本当に、1億稼ぐってできないのかな。
「とにかく、私の邪魔をしないで!」
芹香が叫んだ。
「どうして、信一郎さんなの?」
私は逆に、聞いてみたかった。
なぜ、そんなに芹香は、信一郎さんにこだわるのか。
「芹香だったら、他にいい人がいるじゃない!」
「元は私のお見合い相手よ!」
「でも、芹香は断ってって言ったじゃない!」
「こんなに優しい人だって知っていたら、断らなかったわよ!」
私と芹香は、息切れをする程言い合った。
「諦めて。信一郎さんの事。」
芹香が、ニヤッとした。
「何?もう婚約者気取り?」
「もう、婚約者だから。」
「はあ?」
芹香は、首を傾げた。
「さっき、車の中で信一郎さんから、プロポーズをされた。」
「何ですって?」
「私はそれを受けた。私達は、結婚の約束をしたわ。」
芹香の手が、わなわなと震える。
「それで、信一郎さんの両親からも認められたってわけね。」
「そうよ。」
芹香は、クルッと背中を見せた。
「こうなったら、黒崎家との取引、止めさせてもらうわ。」
「えっ?」
信一郎さんが、驚いた。
「結婚はなしになったんだもの。取引もなしよ。」
「待って、芹香さん。」
信一郎さんは、焦るように芹香の腕を掴んだ。
「それとこれは、別な話だ。」
芹香は、ニヤッとしながら振り向いた。
「何?沢井家と縁がなくなったら、困るの?」
信一郎さんは、静かに頭を横に振った。
「むしろ、困るのは沢井家の方だろう。」
「馬鹿にしないで!」
芹香は、信一郎さんの手を振り払った。
私は芹香が可哀想になった。
芹香は、ちゃんと家の現状を、把握してるんだろうか。
「沢井は沢井で、やっていくわよ!また新しい相手を見つければいいんだから!」
私の胸に不安が過った。
「芹香!」
私は芹香の側に行った。
「新しい相手って?」
「援助してくれる家の人だったら、誰でもいいわよ!」
「そんなの、芹香らしくない!」
その瞬間、芹香に睨まれた。
憎しみが私を刺す。
「私らしいって、何 」
これが芹香?全くの別人だ。
「本当の私を見た事ないくせに!偉そうに言わないで!」
確かに、信一郎さんと芹香が出会ってから、彼女の知らないところばかりを見ている。
「でも……」
それでも、私は信じたい。芹香のいいところ。
「私の知っている芹香は、自分を持っていて、決して周りに流されない人だよ。」
「ふふふ。」
芹香が意味深な笑いをする。
「そして、自分の母親を犠牲にする人?」
「そんな事っ!」
ないって言えない。
芹香から、お母さんの事聞いた事ないけれど、大切にしているって思っていた。
「芹香……」
涙が出て来た。
彼女にとって最良の道が何なのか。
一緒に考えてあげたい。
そう思ったら、彼女を抱きしめていた。
「私、芹香の力になりたい。」
芹香は、何も言わない。
「だって、私達友達でしょ!」
私の訴えは、芹香に届くのか。
「……いい加減にして。」
私はハッとした。
「私の人生、邪魔しておいて、何が力になりたい?何が友達なの?」
「芹香……」
「もう離れて!」
芹香が私の身体を引き離した。
「本当に力になりたいなら!友達だって思うんだったら!黒崎さんを頂戴よ!」
「落ち着いて、芹香……」
「できないんだったら、友達面しないで!」
胸がズキズキ痛い。
「芹香、それが芹香の求める友達なの?」
芹香がハッとする。
「私、信一郎さんの事好きだから、芹香には渡せない。」
芹香が一歩、下がったところを、信一郎さんが受け止めた。
「芹香さん、礼奈に負けましたね。」
「はあ?私が負け?」
「話を聞いている側としては、礼奈の意見に完敗ですよ。」
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「いいわよ。寄ってたかって、私を虐めて。」
「そんなんじゃないよ、芹香。」
「いいって、言ってるでしょ!」
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