社長は身代わり婚約者を溺愛する
第28話 君が好き②
信一郎さん。その言葉、一番……
欲しかったものだよ。
私は信一郎さんの身体に、腕を回した。
「礼奈……」
信一郎さんの顔が、近くにある。
あっ……キスする……?
「仲直りしたのか?」
私と信一郎さんの身体が、ビクッとなる。
「お、お父さんっ!」
私達は慌てて、身体を放した。
「やり直したのかって、聞いてるんだよ。」
「は、はい!」
信一郎さん、お父さんの前で緊張している。
「ふーん。礼奈は、いいのか?」
「あっ……」
私は、信一郎さんをふと見た。
その時、信一郎さんは温かい笑顔をくれた。
この笑顔……最初に会った時と同じだ。
「うん。そうだね。」
すると信一郎さんは、お父さんに頭を下げた。
「改めまして。礼奈さんとお付き合いさせて頂いています、黒崎信一郎と言います。」
「黒崎?どこかで、聞いた事あるな。」
信一郎さんは、頭を上げて不思議がっている。
「信一郎君。お父さんの名前は?」
「黒崎……純一です。」
お父さんは、頭を抱えた。
「あいつの息子か。」
って、えっ お父さん、信一郎さんのお父さんの事、知ってるの?
私と信一郎さんは、顔を見合わせた。
「父をご存じですか?」
「知ってるも何も、中学の時の後輩だ。」
「後輩 」
中学の時の後輩が、信一郎さんのお父さんって、どんな交友関係してるのよ!
「若い時に結婚したって聞いていたが、まさかこんな大きな息子がいたなんて。」
待って。お父さん、感慨深そうに言っている?
もしかしたら、私達の事、認めてくれそう?
「仕方ない。まあ、仲良くやれよ。」
「はいっ、お父さん。」
信一郎さんのお父さん呼ばわりで、お父さんは複雑な表情だ。
そして、お父さんがお母さんの元に、戻ろうとした時だ。
「お父さん、折り入ってご相談があります。」
「いっ!」
お父さんの足が止まった。
そして、ゴクンと息を飲む。
「いや、今はいい。」
「今がいいんです。」
信一郎さんは、お父さんの腕を掴んだ。
「いや、まだ早いだろ。」
「早くありません。むしろ、遅い方です。」
「礼奈は、まだ25だぞ。」
「はい?」
信一郎さんとお父さんが、見つめ合う。
「何の話をしているんだ?」
「お父さんの方こそ、話がずれていませんか?」
お父さん、もしかして……
「結婚の話だと、思ってたの?」
私が代わりに言ってあげると、信一郎さんはえっ!と驚いた。
「そうじゃないのか。」
「はい。なんか、すみません。」
信一郎さん、悪くないのに謝っているよ。
「じゃあ、何なんだ。話って。」
「はい。」
信一郎さんは、一枚の書類をお父さんに渡した。
「これは?」
「我が社との、業務提携の提案書です。」
「業務提携 」
私とお父さんは、口を揃えて言った。
「お父さん、この工場を僕に援助させて下さい。」
「援助 」
私は、だんだん事が大きくなると察した。
「援助させて頂ければ、工場も倒産を免れるでしょう。」
「それはそうだけど……どうして、こんな工場に?」
「礼奈さんがいるからです。」
待って!信一郎さん、それはこの工場に、魅力を感じてないんじゃないの?
「ダメだよ!信一郎さん!」
私は、信一郎さんの腕を掴んだ。
「そんなの、ダメ!無駄にお金を使うなんて。」
「おい、礼奈。」
「お父さんには悪いけれど、もう工場は成長しないよ。」
私は半泣きだった。
信一郎さんに、これ以上迷惑掛けたくない。
「礼奈。いいんだ。」
信一郎さんが、私の肩を掴む。
「それに俺は、無駄な投資をしようなんて、思ってない。」
「だって、ここは……」
「調べさせてもらったが、この工場は設備がいい。もっといい物を作れば、もっと売れる。」
「でも、そんな資金なんて……」
「だから、俺が援助するんだろ。」
信一郎さんのあまりの優しさに、涙がほろりと出た。
「泣くな、礼奈。」
信一郎さんが、私を抱きしめる。
「俺は、礼奈が好きだ。幸せにしたい。礼奈のご両親にもそうなって欲しい。」
「信一郎さん……」
今、信一郎さんに出会って、本当によかったって、心の底から思っているよ。
「信一郎君。」
「はい。」
お父さんは、書類を折りたたんだ。
「一度、考えさせて貰うよ。」
「はい。良い返事をお待ちしてます。」
信一郎さんは、にこりと笑った。
欲しかったものだよ。
私は信一郎さんの身体に、腕を回した。
「礼奈……」
信一郎さんの顔が、近くにある。
あっ……キスする……?
「仲直りしたのか?」
私と信一郎さんの身体が、ビクッとなる。
「お、お父さんっ!」
私達は慌てて、身体を放した。
「やり直したのかって、聞いてるんだよ。」
「は、はい!」
信一郎さん、お父さんの前で緊張している。
「ふーん。礼奈は、いいのか?」
「あっ……」
私は、信一郎さんをふと見た。
その時、信一郎さんは温かい笑顔をくれた。
この笑顔……最初に会った時と同じだ。
「うん。そうだね。」
すると信一郎さんは、お父さんに頭を下げた。
「改めまして。礼奈さんとお付き合いさせて頂いています、黒崎信一郎と言います。」
「黒崎?どこかで、聞いた事あるな。」
信一郎さんは、頭を上げて不思議がっている。
「信一郎君。お父さんの名前は?」
「黒崎……純一です。」
お父さんは、頭を抱えた。
「あいつの息子か。」
って、えっ お父さん、信一郎さんのお父さんの事、知ってるの?
私と信一郎さんは、顔を見合わせた。
「父をご存じですか?」
「知ってるも何も、中学の時の後輩だ。」
「後輩 」
中学の時の後輩が、信一郎さんのお父さんって、どんな交友関係してるのよ!
「若い時に結婚したって聞いていたが、まさかこんな大きな息子がいたなんて。」
待って。お父さん、感慨深そうに言っている?
もしかしたら、私達の事、認めてくれそう?
「仕方ない。まあ、仲良くやれよ。」
「はいっ、お父さん。」
信一郎さんのお父さん呼ばわりで、お父さんは複雑な表情だ。
そして、お父さんがお母さんの元に、戻ろうとした時だ。
「お父さん、折り入ってご相談があります。」
「いっ!」
お父さんの足が止まった。
そして、ゴクンと息を飲む。
「いや、今はいい。」
「今がいいんです。」
信一郎さんは、お父さんの腕を掴んだ。
「いや、まだ早いだろ。」
「早くありません。むしろ、遅い方です。」
「礼奈は、まだ25だぞ。」
「はい?」
信一郎さんとお父さんが、見つめ合う。
「何の話をしているんだ?」
「お父さんの方こそ、話がずれていませんか?」
お父さん、もしかして……
「結婚の話だと、思ってたの?」
私が代わりに言ってあげると、信一郎さんはえっ!と驚いた。
「そうじゃないのか。」
「はい。なんか、すみません。」
信一郎さん、悪くないのに謝っているよ。
「じゃあ、何なんだ。話って。」
「はい。」
信一郎さんは、一枚の書類をお父さんに渡した。
「これは?」
「我が社との、業務提携の提案書です。」
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私とお父さんは、口を揃えて言った。
「お父さん、この工場を僕に援助させて下さい。」
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私は、だんだん事が大きくなると察した。
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「それはそうだけど……どうして、こんな工場に?」
「礼奈さんがいるからです。」
待って!信一郎さん、それはこの工場に、魅力を感じてないんじゃないの?
「ダメだよ!信一郎さん!」
私は、信一郎さんの腕を掴んだ。
「そんなの、ダメ!無駄にお金を使うなんて。」
「おい、礼奈。」
「お父さんには悪いけれど、もう工場は成長しないよ。」
私は半泣きだった。
信一郎さんに、これ以上迷惑掛けたくない。
「礼奈。いいんだ。」
信一郎さんが、私の肩を掴む。
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「だって、ここは……」
「調べさせてもらったが、この工場は設備がいい。もっといい物を作れば、もっと売れる。」
「でも、そんな資金なんて……」
「だから、俺が援助するんだろ。」
信一郎さんのあまりの優しさに、涙がほろりと出た。
「泣くな、礼奈。」
信一郎さんが、私を抱きしめる。
「俺は、礼奈が好きだ。幸せにしたい。礼奈のご両親にもそうなって欲しい。」
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今、信一郎さんに出会って、本当によかったって、心の底から思っているよ。
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「はい。」
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信一郎さんは、にこりと笑った。
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