血筋の子

帆船

プロローグ

少女は見た。数人の少年少女達が今まで見た事もない黒いもやのようなものと戦っているところを。
そしてもやが少女のところへ来て少女の体を包み込んみ少年の声を最後に少女の意識はそこで途切れた。


目が覚めると蝶野ちょうのかこはどこか広い場所のベッドへいた。
周りは白ばかりだからどこかの病院か医務室なのだろうか。
隣からはよく病院で聞くピッピッ、、という電子音。
少し時間がたった頃だろうか。
目の前で仕切られていたカーテンが開き、白い白衣を着てくすんだ青色の髪、そしてくすんだ黄色の瞳。右側のもみあげの髪を三つ編みにした肩にかかるぐらいの髪の毛をした170近い身長をした男性と、先程の少年少女たちが心配そうな顔をして覗き込んでいた。


「お、起きて数分って感じかな?精神への異常はこれから調べるとして、身体への外傷はなし。
普通に動いても大丈夫だよ。」

男性が優しげなそれでいて少しお調子者のような声で話しかける。

「よかった。さっきは巻き込んじゃってごめんね?ウチがちゃんと浄化できなかったから、」

「そんなこと、、私もお二人の足を引っ張ってしまいましたし、、」

2人の少女の中の1人と少年がしょんぼりしながら謝っている。
そんな2人をもう1人の少女が静止する。

「そんなこと言っててもなっちゃったものは仕方ないし、あの後浄化もできたでしょ?でも医療班も早く来てくれて、貴女が無事でよかったよ!」

少女は安心したように笑うと近くに来て何か痛いところとか気になるところとかあったら言ってね?と優しく声をかけてくれる。

彼らは男性から話し始めた順に
関根 翠せきね みどり御里 琉兎みさと ると瑠ノ 命るの めい、最後に阿部 晴那あべ せなというらしい。

かこも自己紹介をするとまだ何があったのか理解出来ていないながらもどうやら助けてくれたのだと分かりお礼を言う。

すると関根翠が口を開き

「んー、多分一番キミが気になってることを教えるよ?」

3人は黙り、かこはゴクリと唾を飲み込む

翠が言うにはあの黒いもやは悪魔だということ。
そして1部ではあるがその悪魔を浄化することが出来る能力持ちがいること。
その中のもうひと握りの中に陰陽師の血筋の子たちもいるということも教えて貰った。
最後に教えてくれたのは悪魔の浄化を主とする組織があるということ。

「それで上層部のオジサンたちが言うには、キミの家計は元々は縁結びの神社だったらしい。
キミにはっきりとした能力は無くても多少の力はあるみたい。」

続けて翠は例として、かこに恋愛の相談をしてきた子達はみんなカップルになったりしたのでは?と聞き、かこには何度もカップルを見送ってきた経験があるためコクリと頷くと正直にそれを話す。

「やっぱりね。そこでなんだけどキミには、1つ、悪魔が見える。2つ、組織のことを知ってしまった。3つ、多少の力はある。この3つのことでこの組織に入ってもらう。
もしいつ秘密がバレるか心配だから拒否権はないからね。」

そして断る間もなく組織に迎え入れられ琉兎たちに歓迎されながら仕事の説明をされた。

1つ、悪魔の情報を調べてそれを組織の本部の方に伝えること。
2つ、その情報を手に、前線部隊(悪魔と戦う人達)と共に悪魔の所へ行って彼らを援護すること。
3つ、悪魔浄化後に数珠を手にしてなんでもいいから世界平和に繋がることを祈ること。
(これをすると悪魔が浄化した後に行く場所があるらしく、そこで幸せに暮らせるとの事。他にも、悪魔の出た場所に再び悪魔が出る回数が減るらしい。)

この3つを頼まれたかこは「誰かの力になる。」という決心を胸に戦いの道へと1歩を踏み出す。


さあ。これから彼女達の不可思議で楽しい物語が始まる。

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