乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

169話 断罪イベント1

「イザベラ、お前との婚約を破棄する!」

 エドワード王子がそう宣言すると、会場は騒然となった。
 誰もが、彼の言葉の意味を理解しようと必死になっているようだ。

「はい? えっと……どういうことでしょうか?」

 イザベラは困惑している様子だ。
 無理もない。
 乙女ゲーム『ドララ』における婚約破棄イベントは、第六学年のイザベラが卒業するパーティーで発生する。
 今の彼女はまだ第二学年だ。
 今日の卒業パーティーは、あくまで卒業生を見送るだけの消化イベントに過ぎない。
 彼女はそう思っていた。

「まったく、白々しい! お前のように性格の悪い女とは結婚できないと言っているのだ。アリシア嬢こそ俺にふさわしい」

 イザベラは混乱していた。
 どうしてこんなことになっているんだろう。
 だって、私の計画通りなら―――。

(どうしよう。このままじゃ、エドワード様と婚約破棄されちゃう)

 イザベラは動揺を隠しきれなかった。
 顔色が真っ青になり、唇がわなわな震えている。
 それでも何とか、彼女は口を開く。

「お言葉ですが殿下、どうしてそのようなことを仰るのです? 私達、うまくいっていたではありませんか」

「ふんっ、どの口が言うのだ。今までの俺はどうかしていた。アリシアへの嫌がらせの数々、俺の耳に入っていないと思っているのか?」

 イザベラは冷や汗を流す。
 エドワード王子に、虐めの現場を直接目撃されたことはない。
 しかし、噂くらいは届いている可能性は考慮すべきだった。

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