乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

153話 フレッドの悩み

 女生徒達の誘いを、フレッドはキッパリと断った。

「残念ですわ……」

「で、では、またの機会にいたしましょうね?」

「はい。それじゃあ失礼します」

 フレッドは丁寧に頭を下げてから、その場を去った。
 そして、周囲に誰もいなくなったタイミングで――

「ちっ。みすぼらしい雌猿共め」

 フレッドは舌打ちをしながら吐き捨てるように言った。
 彼の顔からは先ほどのさわやかさは消え去り、醜悪なものへと変わっていた。

「僕とお前らが釣り合うとでも思っているのか。ブス共が」

 フレッドは苛立った声で呟く。

「僕には姉上さえいればそれでいいんだよ。邪魔をするんじゃねえ」

 フレッドにとってイザベラが全てであった。
 イザベラ以外の存在は、彼にとってどうでもいい存在だった。

「だが、姉上め……。あんなクソカス野郎と……!」

 フレッドは歯ぎしりする。
 クソカス野郎――つまりはエドワード王子のことだ。
 最愛の人を奪っていったエドワード王子に対して、フレッドは憎悪の念を抱いていた。
 イザベラに近づこうとする者は、例え王子であっても許さない。
 それが、今のフレッドの心境だ。

「姉上にまとわりつくゴミ虫がぁ……! 今すぐ殺してやりたい……!!」

 フレッドは憎しみに満ちた表情を浮かべる。
 だが、それはできないのだ。
 エドワード王子は言うまでもなく王族。
 それも、次期国王の身である。
 暗殺などすれば、即刻処刑されるだろう。
 それだけではない。
 連座制が適用されて一族郎党全員死刑となる可能性すらある。
 いくらフレッドが優秀な人材とはいえ、単独で王家全体をどうにかできるはずがなかった。
 だから、フレッドは我慢するしかない。

「くそぉ……。どうすればいいんだ……」

 フレッドは悲痛な面持ちでそう呟くのだった。

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