乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

109話 三対一

 正気を失ったフレッドに対して、エドワード殿下、カイン、オスカーの三人が対峙している。
 フレッドの戦闘能力は高い。
 三対一とはいえ油断はできない。

「おい、フレッドよ。俺達の質問に答えろ。お前はどうしてしまったんだ?」

「……」

 フレッドは無反応だ。

「へっ。やはり、闇の瘴気とやらに汚染されちまっているようだぜ」

「仕方ありません。ここは実力行使で無力化しましょう」

 カインとオスカーがそれぞれ構える。
 そして、二人が同時に踏み込んだ瞬間――
 ドゴォッ!
 凄まじい轟音を立てて、地面から石柱が現れた。
 それは、カインとオスカーに向けて一直線に伸びていく。

「な、なんだ!?」

「くっ!」

 二人は慌てて回避した。
 なんとか直撃は免れたが、二人共、腕に傷を負ったようだ。
 血を流している。

「おらぁあああっ!!」

 カインがフレッドに向かっていく。
 身体能力強化魔法と剣術を修めている彼なら、多少の傷では怯まないよね。
 頼りになる。
 だけど――

「【グラウンド・クラッシュ】」

「ぐわあああっ!!!」

 フレッドの土魔法によって地面が隆起し、カインを跳ね飛ばす。
 そのまま、彼は地面に叩きつけられてしまった。

「はああぁっ!! 【アイスブレード】」

「【ストーン・ジャベリン】」

 今度は、オスカーとエドワード殿下から攻撃魔法が放たれる。
 オスカーは氷魔法。
 エドワード殿下は土魔法だ。
 それらはフレッドを正確に狙っていたが――

「【プラントガード】」

 地面から生えた蔓や蔦に阻まれてしまう。
 さすがに二人がかりの魔法を防ぐほどの強度はないみたいで、何本かは切断されている。
 それでも、ほとんどの魔法を防いでしまった。

「くっ。馬鹿な! 私の氷魔法が……」

「ふん。フレッドがこれほどの実力を持っていたとはな」

 オスカーとエドワード殿下が驚愕する。
 無理もない。
 私も予想外だ。
 フレッドは第一学年としては優秀だけれど、オスカーは第二学年、エドワード殿下は第三学年だ。
 オスカーの氷魔法は学年トップクラス。
 エドワード殿下は防御魔法に比べれば攻撃魔法を少し苦手とはしているけれど、一般生徒なんかと比べると遥かに出力が高い。
 その二人がかりでも突破できないとなると、フレッドの防御魔法はかなりのものということになる。

(フレッドって、あんなに魔法が得意だったかしら?)

 彼の専門分野は毒だ。
 次点でポーションの知識や調合技術。
 さらにその次に、護身術や座学全般、魔法がある。
 土魔法や植物魔法は、幼い頃の私が優先的に取り組んでいた魔法だ。
 ポーションの材料を栽培するための畑仕事を通して、フレッドにも伝授していた。
 それなりに得意としていたことは知っているけど、今のオスカーやエドワード殿下の攻撃を防ぎ切るほどとは認識していなかった。

「ちっ! やるじゃねぇか。どうやら見くびってしまっていたようだぜ」

「そうだな。作戦を練り直す必要がある」

「今度こそ、油断せずにいきましょう」

 カイン、エドワード殿下、オスカーが態勢を立て直す。
 フレッドの実力は想定以上だったが、さすがに三対一。
 こちらが負けてしまうことはないだろう。
 私の可愛い義弟を、無傷で無力化してほしいものだ。

「乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く