乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?
59話 魔獣
「ううーん……。いいお天気だなぁ……」
私は背伸びをして、気持ちの良い空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
王都からほど近い場所にある森の中。
私達三人は、現地訓練中だ。
「はい、絶好のお出かけ日よりです。今日は本当に良かったです」
アリシアさんが同意してくれる。
「薬草採取の依頼も上手くいきましたしね」
オスカーが微笑みながら言った。
「そうね。これもアリシアさんとオスカー様のご協力のおかげですわ」
「そんなことはありませんよ。全てイザベラ様の力によるものではありませんか。わたしなんて、教えていただいた場所で採取しただけですもの」
「ううん。アリシアさんの手際の良さがなければ、ここまで集めることはできなかったわ」
私はアリシアさんの言葉を否定する。
入学試験の順位は、私が主席で、オスカーが次席。
アリシアさんはかなりギリギリの合格だったはず。
でも、ここ最近の努力もあって、今では私やオスカーの次くらいに優秀な生徒となっている。
それに、アリシアさんは『ドララ』での主人公だからね。
きっと何か特別な才能を持っているに違いない。
「ふふっ。そう言ってもらえると、わたしも嬉しいです。イザベラ様に少しでも近づけるように頑張ります!」
アリシアさんの笑顔につられて、私も自然と笑ってしまう。
ああ……なんて可愛いのだろう。
こんなに可愛い女の子と一緒に過ごせるなんて、なんて幸せ者なんだ。
私は心の中でガッツポーズをした。
「ふふふ。アリシア殿は本当にお元気ですね。……おや?」
オスカーが声を上げる。
「どうかなさいまして? オスカー様」
「いえ。あちらの茂みの辺りが揺れているように見えて。ちょっと見てきます」
そう言うなり、彼はスタタタッと駆けていった。
「まあ! わたしも行きます!」
アリシアさんもそれについて行く。
「二人とも気をつけてくださいませ」
私はハラハラしながら見守る。
だって、ここはゲームの世界。
どんな危険があるのかわからない。
「グルルアァッ!!」
すると、突然唸り声が上がった。
「アリシア殿! 下がってください!!」
オスカーの声。
「こ、これは!?」
続いて聞こえたのは、驚愕するアリシアさんの声。
一体何が起きたというの?
嫌な予感が全身を包み込む。
私は急いで二人の下へと走った。
「どうしましたの!?」
「イザベラ様!! 逃げてください!!!」
アリシアさんが叫ぶ。
彼女の視線を辿ると、そこには一頭の巨大な熊がいた。
「グオオォオオッ!!!」
ビリビリと大気を震わせるような雄叫びを上げ、こちらに向かって突進してくる。
「くっ……!!」
私はとっさに避ける。
ギリギリで回避に成功した。
「何でこんなところに魔獣がいるのよ!?」
思わず叫んでしまう。
「おそらく、どこかから迷い込んできたんだと思います。普段は人里離れた山奥にいるはずなのですが……」
オスカーが冷静に答えた。
「とにかく、今は逃げることが先決です。わ、わたしが囮になりますので、イザベラ様達は早くここから離れてください!」
アリシアさんが震える声でそう提案してきたのだった。
私は背伸びをして、気持ちの良い空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
王都からほど近い場所にある森の中。
私達三人は、現地訓練中だ。
「はい、絶好のお出かけ日よりです。今日は本当に良かったです」
アリシアさんが同意してくれる。
「薬草採取の依頼も上手くいきましたしね」
オスカーが微笑みながら言った。
「そうね。これもアリシアさんとオスカー様のご協力のおかげですわ」
「そんなことはありませんよ。全てイザベラ様の力によるものではありませんか。わたしなんて、教えていただいた場所で採取しただけですもの」
「ううん。アリシアさんの手際の良さがなければ、ここまで集めることはできなかったわ」
私はアリシアさんの言葉を否定する。
入学試験の順位は、私が主席で、オスカーが次席。
アリシアさんはかなりギリギリの合格だったはず。
でも、ここ最近の努力もあって、今では私やオスカーの次くらいに優秀な生徒となっている。
それに、アリシアさんは『ドララ』での主人公だからね。
きっと何か特別な才能を持っているに違いない。
「ふふっ。そう言ってもらえると、わたしも嬉しいです。イザベラ様に少しでも近づけるように頑張ります!」
アリシアさんの笑顔につられて、私も自然と笑ってしまう。
ああ……なんて可愛いのだろう。
こんなに可愛い女の子と一緒に過ごせるなんて、なんて幸せ者なんだ。
私は心の中でガッツポーズをした。
「ふふふ。アリシア殿は本当にお元気ですね。……おや?」
オスカーが声を上げる。
「どうかなさいまして? オスカー様」
「いえ。あちらの茂みの辺りが揺れているように見えて。ちょっと見てきます」
そう言うなり、彼はスタタタッと駆けていった。
「まあ! わたしも行きます!」
アリシアさんもそれについて行く。
「二人とも気をつけてくださいませ」
私はハラハラしながら見守る。
だって、ここはゲームの世界。
どんな危険があるのかわからない。
「グルルアァッ!!」
すると、突然唸り声が上がった。
「アリシア殿! 下がってください!!」
オスカーの声。
「こ、これは!?」
続いて聞こえたのは、驚愕するアリシアさんの声。
一体何が起きたというの?
嫌な予感が全身を包み込む。
私は急いで二人の下へと走った。
「どうしましたの!?」
「イザベラ様!! 逃げてください!!!」
アリシアさんが叫ぶ。
彼女の視線を辿ると、そこには一頭の巨大な熊がいた。
「グオオォオオッ!!!」
ビリビリと大気を震わせるような雄叫びを上げ、こちらに向かって突進してくる。
「くっ……!!」
私はとっさに避ける。
ギリギリで回避に成功した。
「何でこんなところに魔獣がいるのよ!?」
思わず叫んでしまう。
「おそらく、どこかから迷い込んできたんだと思います。普段は人里離れた山奥にいるはずなのですが……」
オスカーが冷静に答えた。
「とにかく、今は逃げることが先決です。わ、わたしが囮になりますので、イザベラ様達は早くここから離れてください!」
アリシアさんが震える声でそう提案してきたのだった。
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