乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?
46話 大食い
秋祭りが続いている。
「うう……。もう動けませんわ……」
私はベンチに座り、グッタリとしていた。
別に体調を崩したわけでもなければ、疲れてしまったわけでもない。
ただ単に、食べ過ぎてしまっただけだ。
「ま、まさかあれほどの量をお一人で完食してしまうとは……!」
オスカーが驚いた様子で呟いた。
「はははっ! イザベラ嬢は、本当によく食べるな! 俺も負けるぜ!」
カインが楽しそうな声を上げる。
「すまない。俺が止めなかったばかりに……。イザベラの食い意地を侮っていたようだ。あればあるだけ食べてしまうのだな……」
エドワード殿下が申し訳なさそうに謝ってきた。
どうやら私は、皆の予想を上回る量を食べてしまったらしい。
でも、仕方ないじゃないか。
せっかく用意してくれたんだもの。
残すなんて失礼なことはしないよ。
「いえ、私こそ調子に乗ってしまいました。皆さんが持ってきてくださったものがどれも美味しかったものですから、ついパクパクと食べてしまって。ごめんなさい。残せばよかったですよね……」
私がシュンとしながら言うと、エドワード殿下が慌ててフォローしてくる。
「いや、違うぞ! イザベラは何も悪くない。悪いのは俺達だ」
「だな! 俺達がイザベラ嬢の大食いっぷりを見誤ったせいで、このような事態を招いてしまったんだ。すまねえ。許してくれ」
「そうです。イザベラ殿は全く悪くありませんよ。量を見誤った我々が悪いのです。ですから気に病むことはありませんよ」
カインとオスカーまでもがそんなことを言う。
言っている内容は、私を慰めるものだ。
だけれど、よく聞いてみれば結構失礼なことを言われている気がする。
「……カイン? 誰が大食いですって? オスカーも。喧嘩を売っているのかしら?」
私がギロリと睨みつけると、二人はビクッと震える。
「じょ、冗談だって! 怒るなって。なぁ、オスカー」
「え、えぇ、もちろんですよ。イザベラ殿を侮辱したわけではないんです。ただ、イザベラ殿は見た目に反して、かなりたくさん食べられるのだなと、感心していただけでして……」
「ふーん。本当かしら?」
疑わしげに問い詰めると、二人はブンブンと首を縦に振った。
「ほ、ほんとうだぜ!?」
「嘘ではありませんよ!」
「それならいいけれど……。もし次言ったら、承知しないわよ」
「分かったぜ。気を付ける」
「分かりました」
二人が神妙に返事をする。
それを確認してから、私はホッと息を吐く。
良かった……。
これ以上、大食いキャラ扱いされるのは嫌だからね。
「くくく。オスカーもカインも、イザベラの前では形無しなのだな。仲が良いようで何よりだよ」
エドワード殿下が可笑しそうに笑う。
「へっ。そりゃあそうだろ。イザベラ嬢は俺の恩人なんだ」
「私も同じく。今の私があるのは、イザベラ殿のおかげだと思っています。感謝してもしきれませんよ」
カインとオスカーが誇らしげに語る。
……なんだろう。
少し恥ずかしいな。
「そ、そんなに大袈裟なものじゃないわよ。私の力なんて微々たるものでしょう?」
照れて視線を逸らす。
すると、オスカーが首を横に振る。
「いいえ。イザベラ殿がいなければ、今頃私はここにはいなかったでしょう。私は、イザベラ殿のおかげで命拾いをしたようなものです。イザベラ殿にはいくら感謝しても足りません。イザベラ殿は、私の恩人です」
真剣な表情で告げられる。
その瞳はどこまでも真っ直ぐで、彼の言葉が偽りではないことが伝わってくる。
「……ありがとうございます。そこまで言ってもらえるなんて、光栄です。私も、あなたに救われた一人なのですから、お互い様ですね」
微笑んでお礼を言うと、オスカーが嬉しそうな顔をする。
エドワード殿下やカインも優しい目で私たちのことを見ていて、余計に顔が熱くなる。
オスカーは天然タラシなのかな?
うっかり惚れてしまいそうになるから、そういうこと言うのは止めて欲しいんだけど……。
……まあいいか。
こんなやり取りをしている間に、何とかお腹の調子も良くなってきた。
秋祭りの続きを楽しむことにしよう。
「うう……。もう動けませんわ……」
私はベンチに座り、グッタリとしていた。
別に体調を崩したわけでもなければ、疲れてしまったわけでもない。
ただ単に、食べ過ぎてしまっただけだ。
「ま、まさかあれほどの量をお一人で完食してしまうとは……!」
オスカーが驚いた様子で呟いた。
「はははっ! イザベラ嬢は、本当によく食べるな! 俺も負けるぜ!」
カインが楽しそうな声を上げる。
「すまない。俺が止めなかったばかりに……。イザベラの食い意地を侮っていたようだ。あればあるだけ食べてしまうのだな……」
エドワード殿下が申し訳なさそうに謝ってきた。
どうやら私は、皆の予想を上回る量を食べてしまったらしい。
でも、仕方ないじゃないか。
せっかく用意してくれたんだもの。
残すなんて失礼なことはしないよ。
「いえ、私こそ調子に乗ってしまいました。皆さんが持ってきてくださったものがどれも美味しかったものですから、ついパクパクと食べてしまって。ごめんなさい。残せばよかったですよね……」
私がシュンとしながら言うと、エドワード殿下が慌ててフォローしてくる。
「いや、違うぞ! イザベラは何も悪くない。悪いのは俺達だ」
「だな! 俺達がイザベラ嬢の大食いっぷりを見誤ったせいで、このような事態を招いてしまったんだ。すまねえ。許してくれ」
「そうです。イザベラ殿は全く悪くありませんよ。量を見誤った我々が悪いのです。ですから気に病むことはありませんよ」
カインとオスカーまでもがそんなことを言う。
言っている内容は、私を慰めるものだ。
だけれど、よく聞いてみれば結構失礼なことを言われている気がする。
「……カイン? 誰が大食いですって? オスカーも。喧嘩を売っているのかしら?」
私がギロリと睨みつけると、二人はビクッと震える。
「じょ、冗談だって! 怒るなって。なぁ、オスカー」
「え、えぇ、もちろんですよ。イザベラ殿を侮辱したわけではないんです。ただ、イザベラ殿は見た目に反して、かなりたくさん食べられるのだなと、感心していただけでして……」
「ふーん。本当かしら?」
疑わしげに問い詰めると、二人はブンブンと首を縦に振った。
「ほ、ほんとうだぜ!?」
「嘘ではありませんよ!」
「それならいいけれど……。もし次言ったら、承知しないわよ」
「分かったぜ。気を付ける」
「分かりました」
二人が神妙に返事をする。
それを確認してから、私はホッと息を吐く。
良かった……。
これ以上、大食いキャラ扱いされるのは嫌だからね。
「くくく。オスカーもカインも、イザベラの前では形無しなのだな。仲が良いようで何よりだよ」
エドワード殿下が可笑しそうに笑う。
「へっ。そりゃあそうだろ。イザベラ嬢は俺の恩人なんだ」
「私も同じく。今の私があるのは、イザベラ殿のおかげだと思っています。感謝してもしきれませんよ」
カインとオスカーが誇らしげに語る。
……なんだろう。
少し恥ずかしいな。
「そ、そんなに大袈裟なものじゃないわよ。私の力なんて微々たるものでしょう?」
照れて視線を逸らす。
すると、オスカーが首を横に振る。
「いいえ。イザベラ殿がいなければ、今頃私はここにはいなかったでしょう。私は、イザベラ殿のおかげで命拾いをしたようなものです。イザベラ殿にはいくら感謝しても足りません。イザベラ殿は、私の恩人です」
真剣な表情で告げられる。
その瞳はどこまでも真っ直ぐで、彼の言葉が偽りではないことが伝わってくる。
「……ありがとうございます。そこまで言ってもらえるなんて、光栄です。私も、あなたに救われた一人なのですから、お互い様ですね」
微笑んでお礼を言うと、オスカーが嬉しそうな顔をする。
エドワード殿下やカインも優しい目で私たちのことを見ていて、余計に顔が熱くなる。
オスカーは天然タラシなのかな?
うっかり惚れてしまいそうになるから、そういうこと言うのは止めて欲しいんだけど……。
……まあいいか。
こんなやり取りをしている間に、何とかお腹の調子も良くなってきた。
秋祭りの続きを楽しむことにしよう。
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