悪役令嬢にはブラック企業で働いてもらいます
相談をされました
海も終わってしばらくして、相変わらずの仕事の日々。
私は、あの海の出来事で実感したわ。
私、この世界で少しずつ考え方が変わってきているんだわ。
あの他人の事を一切考えなかった私が。赤の他人の人助けなんて。
「はぁ...」
「大丈夫ですか?八木杉さん」
「うん...」
八木杉が、酷く落ち込んだ様子だった。
さっきハゲ上司に呼ばれていたから何か言われたのかしら?八木杉が怒られるわけないし。
「ちょっと、怒られちゃって...」
「珍しいですね...」
「八木杉もミスとかするの!?」
「あはは...」
八木杉は、力なく笑った。
「まぁ、ミスなんて誰にでもある事ですからね。溝沼さんなんて」
「私の事は関係ないでしょう!」
総司を叱りつけて仕事に集中集中。
でも、なんだか八木杉の様子おかしい気がするわ。
気のせい...かしら?
トイレに行こうと席を立った時、総司がついてきた。
「なんか、最近八木杉さんの悪い噂が広まってるみたいですね」
「何よそれ!」
「橘先輩、まぁ女の先輩が、海から帰ってきた次の日に、八木杉さんに告白したらしいんですよ」
「告白?すごいじゃない八木杉」
確か橘先輩って、この会社でも美人な人だったわ。
「八木杉さんは告白を断ったみたいなんですけどね。それで、プライドの高い橘先輩が逆恨みして八木杉さんの悪い噂を広めてるらしいんですよね」
「なんですって!?」
綺麗な顔して子供みたいなことしてんじゃないわよ。
「それ誰から聞いたの」
「女の先輩達が話してる中に入っていって聞きました」
総司、よくそんな話に入っていけるわね。
「八木杉さんからは、相談とかする様子もないし、今日怒られたのは橘先輩が広めた悪い噂のせいだと思います。八木杉さん、顔もいいし女性の先輩社員にも人気だから男性社員に恨まれているだろうし」
「あんたが、人の心配するなんてどうしちゃったの」
総司は、首を傾げて微笑んだ。
「まぁ、八木杉さんにはお世話になっているので」
「それで、そんな事を私に話してどうするのよ」
総司は、キョトンとして腕を組んだ。
うーん、と考えている様子だ。
「何よ」
「どうするんでしょうね?」
「は?」
「いえ...赤の他人を、自分が溺れそうになりながらも助けているようなお人好しの溝沼さんが、この話を聞いてどうするのか気になっただけですよ」
「まるで私が八木杉を助けるのを誘導しているみたいじゃない」
「いえいえ、そんなそんな。じゃ、俺は仕事に戻りますね」
くるりと背を向けた総司に、私ははっきりと言った。
「あんたが助ければいいじゃない」
まるで、私に助けろって言っているみたい。バレバレなのよ。
いつもの総司らしくもない。
こんな事今までなかったわ。
「俺には、無理ですよ」
「なんでよ」
「彼に、相談されてませんし、相談されていたとしてもこういう時、どうしたらいいかわからないんで」
総司は、ぽつりとそう言って行ってしまった。
私は、あの海の出来事で実感したわ。
私、この世界で少しずつ考え方が変わってきているんだわ。
あの他人の事を一切考えなかった私が。赤の他人の人助けなんて。
「はぁ...」
「大丈夫ですか?八木杉さん」
「うん...」
八木杉が、酷く落ち込んだ様子だった。
さっきハゲ上司に呼ばれていたから何か言われたのかしら?八木杉が怒られるわけないし。
「ちょっと、怒られちゃって...」
「珍しいですね...」
「八木杉もミスとかするの!?」
「あはは...」
八木杉は、力なく笑った。
「まぁ、ミスなんて誰にでもある事ですからね。溝沼さんなんて」
「私の事は関係ないでしょう!」
総司を叱りつけて仕事に集中集中。
でも、なんだか八木杉の様子おかしい気がするわ。
気のせい...かしら?
トイレに行こうと席を立った時、総司がついてきた。
「なんか、最近八木杉さんの悪い噂が広まってるみたいですね」
「何よそれ!」
「橘先輩、まぁ女の先輩が、海から帰ってきた次の日に、八木杉さんに告白したらしいんですよ」
「告白?すごいじゃない八木杉」
確か橘先輩って、この会社でも美人な人だったわ。
「八木杉さんは告白を断ったみたいなんですけどね。それで、プライドの高い橘先輩が逆恨みして八木杉さんの悪い噂を広めてるらしいんですよね」
「なんですって!?」
綺麗な顔して子供みたいなことしてんじゃないわよ。
「それ誰から聞いたの」
「女の先輩達が話してる中に入っていって聞きました」
総司、よくそんな話に入っていけるわね。
「八木杉さんからは、相談とかする様子もないし、今日怒られたのは橘先輩が広めた悪い噂のせいだと思います。八木杉さん、顔もいいし女性の先輩社員にも人気だから男性社員に恨まれているだろうし」
「あんたが、人の心配するなんてどうしちゃったの」
総司は、首を傾げて微笑んだ。
「まぁ、八木杉さんにはお世話になっているので」
「それで、そんな事を私に話してどうするのよ」
総司は、キョトンとして腕を組んだ。
うーん、と考えている様子だ。
「何よ」
「どうするんでしょうね?」
「は?」
「いえ...赤の他人を、自分が溺れそうになりながらも助けているようなお人好しの溝沼さんが、この話を聞いてどうするのか気になっただけですよ」
「まるで私が八木杉を助けるのを誘導しているみたいじゃない」
「いえいえ、そんなそんな。じゃ、俺は仕事に戻りますね」
くるりと背を向けた総司に、私ははっきりと言った。
「あんたが助ければいいじゃない」
まるで、私に助けろって言っているみたい。バレバレなのよ。
いつもの総司らしくもない。
こんな事今までなかったわ。
「俺には、無理ですよ」
「なんでよ」
「彼に、相談されてませんし、相談されていたとしてもこういう時、どうしたらいいかわからないんで」
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