悪役令嬢にはブラック企業で働いてもらいます
迷子を探しています
私は理沙と違って泳げるのよ!
海にじゃぶじゃぶやってきてあたりを見回すけれど、子供も多いし大人も多いし厄介ね。
男の子がどんな顔かもわからないし、そもそもどうやって探せっていうのよ。
海に入って呆然としていると、沖で心配そうにこっちを見ている男の子のお母さんが視界に入った。
「仕方ないわね...」
分かったわよ、ちゃんと探すわよ。
一人で遊んでいる男の子とか、お母さん探してる男の子とか探してみるわよ。
頭をガシガシとかいてあたりをキョロキョロ。
海の中にいる女達は、相変わらず八木杉や総司を見てきゃあきゃあ言ってるわ。
八木杉はともかく総司は毒舌悪魔よ。
まぁあの見た目じゃ、アイツが毒舌悪魔ってことはわかんないわよね。
そうだ、あの二人にサーフィン?しながら男の子を探すのに協力してもらえばいいんだわ。
私は、二人の元へとじゃぶじゃぶ泳いで向かった。
丁度陸に降りていた二人に駆け寄って、迷子を探していることを告げると、
「そりゃあ大変だ!オレも探すのに協力するよ!」
八木杉は思った通り乗り気だった。
「特徴が少なすぎる。しかも、今海にいるかもしれないんでしょう?この広い海で探せますかね」
総司は冷静に思った事を言った。
腕を組みながら海を見つめて眉をひそめている総司はきっと難しいと考えているのだわ。同感よ。
「でもやるって言っちゃったんだもの」
「できないことをやるっていうのは会社だけにしてください。会社はできないことでもやれって言いますけどね」
「いいわよ。私一人で探すわ。二人はもし見つけたら私に教えて」
「どうやって教えるか、とか考えてないんでしょうね。じゃあ、スタッフに言って放送とかかけてもらいますよ」
「お願い!」
「ところで、松下さんはどうしたんです?」
「え?」
あ、忘れてたわ!!
「ジュースを買いに行くから待っててって言われてたんだったわ!」
「あんたが迷子じゃないですか」
呆れ顔の総司に、背を向けて走り出した。
「ちょっと理沙に話をつけてくるわ!」
「いいよね、溝沼さん」
八木杉は、総司に微笑んだ。
「え...暑さで頭やられちゃいましたか?...あっ」
「あははっ、溝沼さん限定の毒舌が出ちゃってるよ」
「すいません」
「いいよいいよ。迷子、できるだけ探すのに協力してあげたいな」
***
「そうだわ、海に潜りながら理沙の方に向かえば探せるし一石二鳥じゃないの!」
陸には子供は少ない。スイカを割ったり砂のお城を作ったり女の子の方が多い。
男の子は泳ぎに行ってるからだろう。
海に入ると、なんだか変な視線が私に向けられている気がする。
「あの子、さっきあのサーファーイケメンと話してた」
「大したことないじゃん」
「どういう関係?友達?」
聞こえてるわよ。
何くだらない事言ってんのよ。バカじゃないの。
私は人から避けて少し海の深い方へじゃぶじゃぶ進んだ。
「きゃあああ!!」
冷めた視線で女達を見ていく中、突然叫び声が上がった。
「見て!だれか溺れてるわ!」
指をさした方を見ると少し遠くの方に人影がバタバタしているのが見える。
ありゃ助からないわね。でも、私が今一番あそこに近い所にいるわ。
人混みを避けて深い所に進んだおかげで。いや、進んでしまったせいで。
どくんと心臓が跳ねた。
あれ、何。
もしあの人影が、私の探している子供だったら?
いやいや、あるわけないじゃない。
もしこのまま戻って一日子供が見つからなくて、あの人影が探していた子供だったら、後味が悪いったらありゃしないじゃないの!
私ははぁとため息をついて人影に向かって泳ぎ始めた。
海にじゃぶじゃぶやってきてあたりを見回すけれど、子供も多いし大人も多いし厄介ね。
男の子がどんな顔かもわからないし、そもそもどうやって探せっていうのよ。
海に入って呆然としていると、沖で心配そうにこっちを見ている男の子のお母さんが視界に入った。
「仕方ないわね...」
分かったわよ、ちゃんと探すわよ。
一人で遊んでいる男の子とか、お母さん探してる男の子とか探してみるわよ。
頭をガシガシとかいてあたりをキョロキョロ。
海の中にいる女達は、相変わらず八木杉や総司を見てきゃあきゃあ言ってるわ。
八木杉はともかく総司は毒舌悪魔よ。
まぁあの見た目じゃ、アイツが毒舌悪魔ってことはわかんないわよね。
そうだ、あの二人にサーフィン?しながら男の子を探すのに協力してもらえばいいんだわ。
私は、二人の元へとじゃぶじゃぶ泳いで向かった。
丁度陸に降りていた二人に駆け寄って、迷子を探していることを告げると、
「そりゃあ大変だ!オレも探すのに協力するよ!」
八木杉は思った通り乗り気だった。
「特徴が少なすぎる。しかも、今海にいるかもしれないんでしょう?この広い海で探せますかね」
総司は冷静に思った事を言った。
腕を組みながら海を見つめて眉をひそめている総司はきっと難しいと考えているのだわ。同感よ。
「でもやるって言っちゃったんだもの」
「できないことをやるっていうのは会社だけにしてください。会社はできないことでもやれって言いますけどね」
「いいわよ。私一人で探すわ。二人はもし見つけたら私に教えて」
「どうやって教えるか、とか考えてないんでしょうね。じゃあ、スタッフに言って放送とかかけてもらいますよ」
「お願い!」
「ところで、松下さんはどうしたんです?」
「え?」
あ、忘れてたわ!!
「ジュースを買いに行くから待っててって言われてたんだったわ!」
「あんたが迷子じゃないですか」
呆れ顔の総司に、背を向けて走り出した。
「ちょっと理沙に話をつけてくるわ!」
「いいよね、溝沼さん」
八木杉は、総司に微笑んだ。
「え...暑さで頭やられちゃいましたか?...あっ」
「あははっ、溝沼さん限定の毒舌が出ちゃってるよ」
「すいません」
「いいよいいよ。迷子、できるだけ探すのに協力してあげたいな」
***
「そうだわ、海に潜りながら理沙の方に向かえば探せるし一石二鳥じゃないの!」
陸には子供は少ない。スイカを割ったり砂のお城を作ったり女の子の方が多い。
男の子は泳ぎに行ってるからだろう。
海に入ると、なんだか変な視線が私に向けられている気がする。
「あの子、さっきあのサーファーイケメンと話してた」
「大したことないじゃん」
「どういう関係?友達?」
聞こえてるわよ。
何くだらない事言ってんのよ。バカじゃないの。
私は人から避けて少し海の深い方へじゃぶじゃぶ進んだ。
「きゃあああ!!」
冷めた視線で女達を見ていく中、突然叫び声が上がった。
「見て!だれか溺れてるわ!」
指をさした方を見ると少し遠くの方に人影がバタバタしているのが見える。
ありゃ助からないわね。でも、私が今一番あそこに近い所にいるわ。
人混みを避けて深い所に進んだおかげで。いや、進んでしまったせいで。
どくんと心臓が跳ねた。
あれ、何。
もしあの人影が、私の探している子供だったら?
いやいや、あるわけないじゃない。
もしこのまま戻って一日子供が見つからなくて、あの人影が探していた子供だったら、後味が悪いったらありゃしないじゃないの!
私ははぁとため息をついて人影に向かって泳ぎ始めた。
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