悪役令嬢にはブラック企業で働いてもらいます
写真を撮ってもらいます
「ありがとうございました!」
「気をつけてな」
お爺さんは、にっこり微笑んで手を振っていた。時刻は朝の6時。
早朝だというのにお爺さんは朝ごはんを作ってくれた。
ご飯に味噌汁に漬物に焼き魚にサラダ。
久々に食パンとヨーグルト以外の朝ごはんを食べたわ。このお爺さん料理もできるのね。昨日の夕飯も美味しかったけど。
昨日深夜の3時くらいに山を降りようかと相談したりもしたけれど、疲れと睡魔で限界だったので気づいたら寝てしまった。
朝6時に総司に叩き起こされ、山を降りることになった。
外はピリつく寒さ。
4月の終わりっていうのに寒いわね。
朝日が顔を出しかけている。
「山登りは登ってから帰るまでが山登りだからね!張り切って降りよう!おー!」
八木杉が元気よく拳を振り上げたけど、私達は眠気とこんな早朝からそんなテンションで来られてもノれる程元気じゃなかった。
「そうだ!そうだ!」
お爺さんが血相変えて出てきたので、首を傾げる。何か忘れ物でもあったのかしら。
「せっかく頂上まで登ったんだ。写真を撮ってやろう」
「しゃしんー?」
お爺さんは、目をキラキラさせてカメラを構えている。
「ほら、そこに並んで!」
「これから出発...」
私がそう言いかけたのを、八木杉が笑顔で止めた。
「ありがとうございます!」
お爺さんに言われた通り、朝日が昇りかけ光が後光のように山から差し込む絶景の場所をバックに私達は写真を撮ることになった。
「ほら、皆もっと寄って寄って」
私と理沙、総司と八木杉の並び。
私は今まで写真というものを撮ったことがなかったので、こういう時どうしたらいいのかわからない。
「こ、こういう時どうすれば、私クラス写真でも端っこであんまり目立たないようにしてたから...」
わたわたする理沙に、いつもなら何か言葉をかけてあげるのだろうけど、今の私は理沙と同じ。写真を撮る時ってどうすればいいのかしら。
「女性二人とも!表情がかたいぞ!ピースしてチーズ!」
お爺さんがニィッと笑ったが、
「何言ってんの?」
ふざけている場合じゃないのよお爺さん。私は真剣にどうしたらいいかわからなくて困ってるの。
総司と八木杉は、指を二本立てて微笑んでいた。
理沙も控えめに指を二本立てて顔を引きつらせて笑っている。
写真撮るときは二本指を立てないといけないのね。私は見よう見まねでポーズをとった。
「いくぞー!ハイチーズ!」
写真は、八木杉の所に送ってくれるらしい。
「ありがとうございました!」
「いいんだよ。気をつけて下山してな」
大きく手を振って今度こそバイバイね。
私達はこれからこの山を下山しないといけないんだから...。
***
7:00なら、上司は起きているだろうと八木杉が、今山を降りている旨を伝える電話をかけた。
私と理沙は、その様子を震えながら見守っていた。
「大変申し訳ございません.....」
電話なのにお辞儀までしている八木杉をみて、理沙もつられてお辞儀をしていた。
「え...?本当に山の頂上まで登ったの?って?え?そんな新入社員は何十年ぶりだって?え?」
八木杉の表情に焦りが見られる。
どういうこと?私と理沙は顔を見合わせた。
「気をつけてな」
お爺さんは、にっこり微笑んで手を振っていた。時刻は朝の6時。
早朝だというのにお爺さんは朝ごはんを作ってくれた。
ご飯に味噌汁に漬物に焼き魚にサラダ。
久々に食パンとヨーグルト以外の朝ごはんを食べたわ。このお爺さん料理もできるのね。昨日の夕飯も美味しかったけど。
昨日深夜の3時くらいに山を降りようかと相談したりもしたけれど、疲れと睡魔で限界だったので気づいたら寝てしまった。
朝6時に総司に叩き起こされ、山を降りることになった。
外はピリつく寒さ。
4月の終わりっていうのに寒いわね。
朝日が顔を出しかけている。
「山登りは登ってから帰るまでが山登りだからね!張り切って降りよう!おー!」
八木杉が元気よく拳を振り上げたけど、私達は眠気とこんな早朝からそんなテンションで来られてもノれる程元気じゃなかった。
「そうだ!そうだ!」
お爺さんが血相変えて出てきたので、首を傾げる。何か忘れ物でもあったのかしら。
「せっかく頂上まで登ったんだ。写真を撮ってやろう」
「しゃしんー?」
お爺さんは、目をキラキラさせてカメラを構えている。
「ほら、そこに並んで!」
「これから出発...」
私がそう言いかけたのを、八木杉が笑顔で止めた。
「ありがとうございます!」
お爺さんに言われた通り、朝日が昇りかけ光が後光のように山から差し込む絶景の場所をバックに私達は写真を撮ることになった。
「ほら、皆もっと寄って寄って」
私と理沙、総司と八木杉の並び。
私は今まで写真というものを撮ったことがなかったので、こういう時どうしたらいいのかわからない。
「こ、こういう時どうすれば、私クラス写真でも端っこであんまり目立たないようにしてたから...」
わたわたする理沙に、いつもなら何か言葉をかけてあげるのだろうけど、今の私は理沙と同じ。写真を撮る時ってどうすればいいのかしら。
「女性二人とも!表情がかたいぞ!ピースしてチーズ!」
お爺さんがニィッと笑ったが、
「何言ってんの?」
ふざけている場合じゃないのよお爺さん。私は真剣にどうしたらいいかわからなくて困ってるの。
総司と八木杉は、指を二本立てて微笑んでいた。
理沙も控えめに指を二本立てて顔を引きつらせて笑っている。
写真撮るときは二本指を立てないといけないのね。私は見よう見まねでポーズをとった。
「いくぞー!ハイチーズ!」
写真は、八木杉の所に送ってくれるらしい。
「ありがとうございました!」
「いいんだよ。気をつけて下山してな」
大きく手を振って今度こそバイバイね。
私達はこれからこの山を下山しないといけないんだから...。
***
7:00なら、上司は起きているだろうと八木杉が、今山を降りている旨を伝える電話をかけた。
私と理沙は、その様子を震えながら見守っていた。
「大変申し訳ございません.....」
電話なのにお辞儀までしている八木杉をみて、理沙もつられてお辞儀をしていた。
「え...?本当に山の頂上まで登ったの?って?え?そんな新入社員は何十年ぶりだって?え?」
八木杉の表情に焦りが見られる。
どういうこと?私と理沙は顔を見合わせた。
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