【コミカライズ】私の身体を濡らせたら
10.波乱の忘年会-8
「何言ってんのか、わかんねー」
陸が大笑いする。
私は急いでブルスケッタを噛み砕き、サワーで流し込んだ。
「なに、上から目線で言ってんの! 私は寂しくなんか――」
「――俺は寂しいよ」と言って、陸がビールを飲み干し、手を伸ばして千尋の前にあるボタンを押す。
「だから、一緒に居よう」
心臓が、頭のてっぺんくらいまで、跳ねた気がした。
驚き、喜び、不安が入り混じる。
そんな、深い意味じゃない――はず。
暴露大会か、告白ゲームか、とにかく、盛り上がったような気まずくなったような、複雑な雰囲気。
とにかく、お酒の量だけは、三次会まで行ったくらい飲んだ。
三時間後。
お開きという時に大和が言った。
「あ、ウ○ン忘れた」
全員、明日の二日酔いは確定だ。
本当に、こんなに飲んだのはいつ振りかと思うくらい、飲んだ。それでも酔わずにいられたのは、興奮が勝ったから。
さなえの妊娠、陸の離婚と渡英、龍也の告白。
みんなも、かなり飲んでいた。で、店を出ようとした時、千尋がフラつき、陸が支えた。
「俺、千尋ん家知らねーぞ?」
「私、送ってくよ」
千尋の家には、何度か行ったことがある。結構前のことだけれど。
「いや、麻衣じゃタクシーから降ろせないだろ。俺も――」
ヴーヴー、とスマホのバイブ音が聞こえた。
「あ、スマホ、千尋のじゃない?」
「だな。彼氏か? 言ったら迎えにくんじゃね?」
陸が、抱きかかえている千尋のバッグを探る。
「彼氏なんて……――」
千尋が何か呟いたけれど、聞き取れなかった。
陸が画面で着信の相手を確認し、誰にということなく差し出した。
「さすがに男が出るのはマズくないか?」
「あ、じゃあ、私が出るね」と、私はスマホを受け取り、〈応答〉をタップした。相手は、『比呂』と表示されていた。
『千尋?』
ハスキーな男の人の声。
「おい、千尋! ここで寝んなよ。ったく、珍しーな、意識跳ぶほど飲むなんて」
陸が店の入り口の椅子に千尋を座らせる。
「えっと、初めまして。私、千尋の友達なんですけど、千尋、飲み過ぎちゃって電話に出られないんです」
『まだ、店にいますか?』
「はい」
『迎えに行きます』
「お願いします。場所は――」
私は店の場所を伝えた。
近くにいたようで、十分ほどで着くと言われた。
「比呂……」
バッグにスマホを戻した時、千尋が彼の名前を呟いた。
それから、私は駿介に『これから帰ります』とメッセージを送った。
返信まで、五秒。
『すぐ近くにいるから、迎えに行くね』
なんだかモヤモヤしていた気持ちが、少し軽くなった。
陸が大笑いする。
私は急いでブルスケッタを噛み砕き、サワーで流し込んだ。
「なに、上から目線で言ってんの! 私は寂しくなんか――」
「――俺は寂しいよ」と言って、陸がビールを飲み干し、手を伸ばして千尋の前にあるボタンを押す。
「だから、一緒に居よう」
心臓が、頭のてっぺんくらいまで、跳ねた気がした。
驚き、喜び、不安が入り混じる。
そんな、深い意味じゃない――はず。
暴露大会か、告白ゲームか、とにかく、盛り上がったような気まずくなったような、複雑な雰囲気。
とにかく、お酒の量だけは、三次会まで行ったくらい飲んだ。
三時間後。
お開きという時に大和が言った。
「あ、ウ○ン忘れた」
全員、明日の二日酔いは確定だ。
本当に、こんなに飲んだのはいつ振りかと思うくらい、飲んだ。それでも酔わずにいられたのは、興奮が勝ったから。
さなえの妊娠、陸の離婚と渡英、龍也の告白。
みんなも、かなり飲んでいた。で、店を出ようとした時、千尋がフラつき、陸が支えた。
「俺、千尋ん家知らねーぞ?」
「私、送ってくよ」
千尋の家には、何度か行ったことがある。結構前のことだけれど。
「いや、麻衣じゃタクシーから降ろせないだろ。俺も――」
ヴーヴー、とスマホのバイブ音が聞こえた。
「あ、スマホ、千尋のじゃない?」
「だな。彼氏か? 言ったら迎えにくんじゃね?」
陸が、抱きかかえている千尋のバッグを探る。
「彼氏なんて……――」
千尋が何か呟いたけれど、聞き取れなかった。
陸が画面で着信の相手を確認し、誰にということなく差し出した。
「さすがに男が出るのはマズくないか?」
「あ、じゃあ、私が出るね」と、私はスマホを受け取り、〈応答〉をタップした。相手は、『比呂』と表示されていた。
『千尋?』
ハスキーな男の人の声。
「おい、千尋! ここで寝んなよ。ったく、珍しーな、意識跳ぶほど飲むなんて」
陸が店の入り口の椅子に千尋を座らせる。
「えっと、初めまして。私、千尋の友達なんですけど、千尋、飲み過ぎちゃって電話に出られないんです」
『まだ、店にいますか?』
「はい」
『迎えに行きます』
「お願いします。場所は――」
私は店の場所を伝えた。
近くにいたようで、十分ほどで着くと言われた。
「比呂……」
バッグにスマホを戻した時、千尋が彼の名前を呟いた。
それから、私は駿介に『これから帰ります』とメッセージを送った。
返信まで、五秒。
『すぐ近くにいるから、迎えに行くね』
なんだかモヤモヤしていた気持ちが、少し軽くなった。
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