【コミカライズ】私の身体を濡らせたら
7.彼の嫉妬と元カノとの再会-3
そう言っても鶴本くんの腕は緩まず、私は身動きが取れない。
無音の部屋で聞こえるのは、正確には、感じるのは、鶴本くんの鼓動だけ。
彼の髪が肌をくすぐる。
抱き締められているだけ。
それだけなのに、キスされて胸を揉まれたさっきよりも緊張する。
「麻衣さん……」
耳元で名前を囁かれ、首筋に彼の唇を押し当てられた時、恥ずかしいほど甲高い声を発してしまった。
「んっ……」
自分の声に驚き、慌てて口を塞ごうにも、両手ごと彼にホールドされて出来なかった。
「その声、ヤバい」
鶴本くんの声の方がよっぽどヤバい。
鶴本くんと付き合い始めて、わかったことがある。私はどうやら、甘えられるのが嬉しいようだ。
年下と付き合ったことがない私は、男が女に甘えるのはセックスの時限定だと思っていた。基本的に男は女の前を歩きたがり、食事にしても行き先にしても決定権は男にある。私自身がそんなもんだと思って何も言わなかったせいかもしれないけれど、これまでの恋人はそんな感じだった。
けれど、鶴本くんは違う。
まずは私の希望を聞いてくれる。
私が食べたいものや行きたい場所を言うと、大抵は叶えてくれる。でも、時々『俺は○○の気分なんだけどな』とか言って、私の顔を覗き込む。
最近では、私がその子供っぽい表情に弱いと気づかれているよう。
母性本能をくすぐられる、とはこんな感じじゃないだろうか。
それでいて、今日のように強引に求められたりしたら、拒めるわけがない。
「鶴本くん……?」
チュッ、チュッ、と音を立てて私の首や肩にキスを繰り返すけれど、手は私を抱き締めたままどこにも行かない。シたがっているのは確かなのに、ちゃんとは触れてこない。
「南事務所は、どう?」
「え!?」
「仕事、順調?」
額をぐりぐりと肩に押し付けたり、耳朶を軽く噛んだりしながら、聞かれた。
けれど、その内容は全く頭に入ってこない。
「いつ帰って来れんの」
「鶴本くん」
「南事務所の方が居心地良くなっちゃった?」
「鶴本くん!」
「なに?」
「押し付けないで……」
腰のあたりで存在感を現し、それを私に知らしめんと押し付けられ、擦りつけられ、ソコに意識が集中する。
「ごめん」
そうは言っても、鶴本くんは腰を揺らすのをやめない。
「ちょ……まっ――」
身体が火照り、このまま流されてもいいんじゃないかと思えた時、唐突に解放された。
「ごめん!」
「え?」
「調子に乗り過ぎました」と言うと、くるりと背を向けた。
「トイレ、借ります」
あのままでは食事どころではないだろう。
私はパタパタとキッチンに行き、さっきまで火にかけていた鍋に、再び点火した。
身体が熱いのは、火のそばにいるせい。鶴本くんに触れられて、興奮したからじゃない。
鍋の水がコポコポと音を立て始めた時、リビングのドアが開いた。
「ちゃんと、手、洗って」
「はい……」
無音の部屋で聞こえるのは、正確には、感じるのは、鶴本くんの鼓動だけ。
彼の髪が肌をくすぐる。
抱き締められているだけ。
それだけなのに、キスされて胸を揉まれたさっきよりも緊張する。
「麻衣さん……」
耳元で名前を囁かれ、首筋に彼の唇を押し当てられた時、恥ずかしいほど甲高い声を発してしまった。
「んっ……」
自分の声に驚き、慌てて口を塞ごうにも、両手ごと彼にホールドされて出来なかった。
「その声、ヤバい」
鶴本くんの声の方がよっぽどヤバい。
鶴本くんと付き合い始めて、わかったことがある。私はどうやら、甘えられるのが嬉しいようだ。
年下と付き合ったことがない私は、男が女に甘えるのはセックスの時限定だと思っていた。基本的に男は女の前を歩きたがり、食事にしても行き先にしても決定権は男にある。私自身がそんなもんだと思って何も言わなかったせいかもしれないけれど、これまでの恋人はそんな感じだった。
けれど、鶴本くんは違う。
まずは私の希望を聞いてくれる。
私が食べたいものや行きたい場所を言うと、大抵は叶えてくれる。でも、時々『俺は○○の気分なんだけどな』とか言って、私の顔を覗き込む。
最近では、私がその子供っぽい表情に弱いと気づかれているよう。
母性本能をくすぐられる、とはこんな感じじゃないだろうか。
それでいて、今日のように強引に求められたりしたら、拒めるわけがない。
「鶴本くん……?」
チュッ、チュッ、と音を立てて私の首や肩にキスを繰り返すけれど、手は私を抱き締めたままどこにも行かない。シたがっているのは確かなのに、ちゃんとは触れてこない。
「南事務所は、どう?」
「え!?」
「仕事、順調?」
額をぐりぐりと肩に押し付けたり、耳朶を軽く噛んだりしながら、聞かれた。
けれど、その内容は全く頭に入ってこない。
「いつ帰って来れんの」
「鶴本くん」
「南事務所の方が居心地良くなっちゃった?」
「鶴本くん!」
「なに?」
「押し付けないで……」
腰のあたりで存在感を現し、それを私に知らしめんと押し付けられ、擦りつけられ、ソコに意識が集中する。
「ごめん」
そうは言っても、鶴本くんは腰を揺らすのをやめない。
「ちょ……まっ――」
身体が火照り、このまま流されてもいいんじゃないかと思えた時、唐突に解放された。
「ごめん!」
「え?」
「調子に乗り過ぎました」と言うと、くるりと背を向けた。
「トイレ、借ります」
あのままでは食事どころではないだろう。
私はパタパタとキッチンに行き、さっきまで火にかけていた鍋に、再び点火した。
身体が熱いのは、火のそばにいるせい。鶴本くんに触れられて、興奮したからじゃない。
鍋の水がコポコポと音を立て始めた時、リビングのドアが開いた。
「ちゃんと、手、洗って」
「はい……」
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