【コミカライズ】私の身体を濡らせたら

深冬 芽以

2.OLC-3

 


 マジで……?



 背筋がゾッとする。

 飲まずにはいられない。



 その子は制服を着せられたのだろうか……。



 私はジョッキ半分のビールを、半分口に入れた。

「うわ、最低!」と、さなえが嫌悪を込めて言った。

「麻衣、ダメだよ。二人きりになっちゃ」と、千尋。

「うん……」

 もう、泣きたい。

「なんで……私には変な男ばっか……」

 私は右手にジョッキ、左手は拳を握った。

「整形する! 顔を変えて、胸を小さくする!」

 それから、ビールを飲み干した。

 タイミングよく店員が追加のビールを運んできて、私はすかさず空のジョッキと交換した。

「変態じゃない男に好かれたい……」

 毎回、言っている気がする。

 冷えたビールを一口飲むと、身体がポカポカしてきた。

「結婚相談所……でも登録しようかな」

「結婚したいの?」と、千尋。

「したい。結婚して子供を産めば、変態も寄って来ないでしょ」

「まぁ……、確かに?」

「けど、変態じゃない恋人より、変態じゃない結婚相手の方が、ハードル高くない?」と、、あきらが言った。

「だから! そこはプロにお任せするの」

「相談所に提出するプロフィールに、性癖まで書く奴はいないだろ」と、大和がエイヒレを銜えて言った。

「それに、変態じゃなきゃ誰でもいいわけでもないだろ」

「麻衣さんの後輩は?」

 黙って聞いていた龍也が言った。



 ん? 鶴本くん!?



「若くて、何年も一緒に働いてるけど、変態じゃないんでしょ?」

「やめてよ! 七歳も年下だよ? 軽いし!」

 必死で拒絶している自分に、驚いた。それを誤魔化すように、ビールを飲む。

「その子に挑発されたって、具体的に何を言われたの?」と、千尋が鶏串を銜えながら言った。

 私はポテトを一本摘まみ、口に入れた。

「……私なんか、モテる高井さんが本気で相手するはずない……って」

「随分失礼な後輩ね」と言って、あきらがチーズを口に入れた。  

「でしょ!? いつも『可愛い』とか『エロい』とかスケベっぽいことばっかり言ってるのに、高井さんに誘われた途端に『身持ち堅そうなのに、実は遊び慣れてるのか』とか言うし!」

 少しふわふわした感じがする。

 お酒を飲むのは好きだけれど、弱いのは自覚している。だから、このメンバーと飲む以外では、あまり飲まないようにしている。

「麻衣。その後輩は麻衣のこといやらしい目で見るのか?」と、大和が聞いた。

「ううん?」

「彼女はいる?」と、さなえが聞く。

「どうだろ」



 そういえば、いるようなこと聞いたことないな……。



「高井って奴と食事に行くって聞いて、なんて言った?」と、陸。

「ホテルなんて行くな、って」

「その子、ちゃんと麻衣の目を見て話す?」と、あきら。

「うん」

 鶴本くんはよく『ホント、でかいですね』とか胸のことをからかうけれど、まじまじと見るようなことはしない。

 むしろ、照れ隠しでわざと言っているように見える時もある。

「仕事振りは?」と千尋が聞いた。




 仕事振り……。



「真面目だよ? ふざけたことを言っていても、仕事に関しては私の言葉をちゃんと聞くし、覚えも早いし、ミスも素直に反省するし」

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