薔薇に棘が無いのなら

1 冷酷

チリリリリリリ.....




「ああもう、うるさいなあ!?」




乱暴な手つきで時計を止める

カーテンは閉め切っていて隙間から光が差し込んでいる

(ああ、今日も学校だ)

ベットから飛び起き、洗面所に向かう



私は、白薔薇 絵梨花。


髪の毛をくるりと巻いて

ナチュラルメイク。

髪をポニーテールに括って

完成。

「いい感じ!やったあ!」



いつだって可愛くいたい。




でもわたしには秘密がある。

誰にも言えない秘密が。




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教室に入れば、本を読んでいる海斗が見えた。


「海斗おはよー!!」

「おはよ。」


雨宮海斗。幼馴染。

ニコニコ優しく笑う姿はなんとなく癒される。


「今日テストだよ?忘れてるでしょうけど。」


げ。


「聞いてない聞いてない!」

「だろうと思ったよ。ほら教えてあげるから。」


海斗は教科書を開き、テスト範囲を教えてくれる

「ここは、こうで、これが答え。」

「ふむふむ....」







キャーーーーーーー!!!




(わっ!何?悲鳴?)


その声のする方向を見てみる。



ドキ.....



視線の先には、まるで彫刻かと思うような美青年が廊下を歩いていた。


黒髪で高身長。
耳元のピアスがきらりと光っていた。


(かっこいい...確かに...でも、住んでる世界違うんだろうな、関わること絶対無いや。)


「なあ。おい。」


指をぱちんと鳴らしながら海斗が呼んでいた


「あっごめんごめん!」


(ついつい見惚れてた、、)


「あんなの、カッコいいとか、思った?」

「えっいやまあまあかな...はは...」

「へー。じゃ、後は一人でやってね?」


そう言って海斗は背を向けた。


(え?機嫌悪い?のかな?)


そう思いながら、自分の席へと向かう

(え....?)



隣の席には

あの美青年がいた。



ドキ...ドキ...



この胸の高鳴りを抑えながら自分の席に着く

男は、机に伏せて寝ている



「はーい。授業始めまーす。」



全員で挨拶をする

隣の男は起きる気配はない



「あっそうそう始業式からずっと休んでた子が今日から来たから、仲良くしてやってくれ」


(まさかこの男が、?)


「佐々木渉くんだ。頼むぞ」


「よし、じゃあ130ページ開いてー」


(なぬ...?教科書がないだと...?)


チラッ


隣の席を見てみるが

起きる気配なし。


(よし叩き起こそう!)


トントン

少し肩を叩いてみた


「あの〜〜」

(っっ?!)


急に腕を掴まれて

「あ”?うるせえ。」

「きょっ教科書一緒に....」

「無理」

即答。


なんだろうか。
とっても、イライラする。


教科書は無かったがなんとか授業を終えて
ホッとしていた。


佐々木渉はさっさと教室から出てどこかに行ってしまった


(冷たい男だったな...)


「絵梨花っ!!」

「咲!」

ぱたぱたと駆け寄ってくる

「絵梨花いいなあ。渉くんの隣じゃん!」

「佐々木くんってそんなに有名なの?」

「有名だよ?!女遊び激しいって噂だけど。」

「イメージ通りじゃん...」

「まあまあ!どうする?渉くん狙っちゃう?」

「いや、私はいいや...」

(あんな冷たい男いやだ...)

「やーそうだよね。絵梨花には海斗がいるもんねー!知ってる知ってる。」

「はぁ?!そんなんじゃないって!笑」


「なに?俺のこと呼んだー?」


(ひっ!)


「おっ!海斗!今ね、絵梨花には海斗が.....」

「しっー!!静かに!」

「なにいいじゃん。海斗と絵梨花ラブラブなんだし」

(言いやがった....)

「そんな話してたのか?」

海斗は、はははっと明るく笑った

「いい?咲。私たちただの幼馴染で家族みたいな物なの!何回も言ってるでしょ!」

そう言っても咲には効かず、ニヤニヤしている

「俺は....絵梨花の事...いや、何でもない。邪魔して悪かった」




「行っちゃった。まあイチャイチャされても困るしね!!」

「だからしてないってば!!!」

「彼氏欲しくならないのー?」

「うーん...」




彼氏なんて、作れないだろうな。

だって私は......







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