天壌無窮の戦人

兎月あぎ

神鳴轟き纏う捕食者

代理戦争用兵器第1次戦争時代
オーストラリア戦場にて

捕食者プレデターが出たぞ!避けろおおおおおおお!」
敵兵がそう叫ぶ、次の瞬間失明するかと思うほどのマズルフラッシュと轟音が鳴り響き、大地が直線状に抉り取られ射線上にいた人間や大量の兵器は一瞬にて蒸発していった。容赦の無い攻撃の元にいたそれが前線を上げる。
迷彩を解いた兵器はまるでワニの様な体躯をしており遠目から見れば小さな要塞が動いているようにも見える。重々しい金属の体と尻尾を揺らしながら歩くそのワニ型兵器の口は特徴的でありその口はレールガンとなっていた、現在は大量の煙を上げ放熱を行っている。
捕食者の背中の上では多くの兵士たちが歓声を上げている。
『はぁ…』
しかし喜んでいない人物、いや兵器が一体いた。先ほど攻撃した張本人である捕食者である、いくら兵器として作られたとはいえこうしてAIまで積まれると様々なことを考えてしまう。最近の悩みは放熱時に口を開けるのだがその際顎付近の締めが弱くなってきており口を開けるのが億劫になってきているらしい。
『ワシがこうして戦果を挙げるのはいいが…いつになったら終わるんだ?口が痛いんじゃが…』
そう愚痴りながらのしのしと歩く捕食者、その巨体は目撃した敵軍の戦意を喪失させるのには充分だった。
後日、再び戦闘が繰り広げられたが敵のほとんどは戦意喪失しており制圧は難なく進み捕食者の出番は無かった。

基地へと帰ってきた直後、本体であるAI端末が引き抜かれ軍議会場に移される。
『まーだこき使われるんか…AIでも疲れるもんは疲れるんじゃぞ!』
担当者は苦笑しながら端末の方に顔を向ける。最近の捕食者の楽しみはこの担当者と談笑することである。一通り世間話をしているとお偉方が入り席に着く、そこからは眠くなるような話し合いを聞きながら今回の情報を提供していくのであった。

次なる戦地は南アメリカに決まった、捕食者には無い重い腰を上げながらも次なる戦地へとまた向かうのであった。次世代の兵器たちが待ち受けるとも知らずに。




レールガン 異名「捕食者プレデター
オーストラリア国家に属する口の部分に巨大なレールガンを一門装備しているワニ型の移動要塞。体を守る装甲は曲線を描いている鱗の様な形をしており、これは足が遅いために被弾前提で設計されており曲線を描く装甲で弾などの軌道を逸らし被害を最小限に抑える。
電磁砲を発射するために体内には大量の発電機関を積んでおりそのため鈍重であるもののその威力は言わずもがな強力である。しかし一度撃つと放熱のためにしばらく撃てなくなりただの巨大な的となる、その際はその鋼鉄の巨体を振り回し応戦する。そのような状態に陥ってもそうそう陥落することは無いのだが。本人曰くライバルはサジタリウスらしい。

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