【異能な転生者】主人公が成長していく物語

ノベルバユーザー588811

プロローグ1(前世のアルベルト編)

プロローグ1(前世のアルベルト編)

俺の名前はクリス、 今から俺の物語を話していくんだけど、俺には二人の記憶が存在している。

一人目は今の俺のクリス、そして、もう一人は、アルベルトっていうんだけど、記憶を辿ると、アルベルトが生きていた時には、結構、ひどいことが起きている。

人の寿命が70歳から、80歳だから、アルベルトは、そんな寿命なんか関係ない年齢で死んでいる。

しかも殺されて死んでいる。そして殺され方も悲惨な殺され方をした。

最後にアルベルトが、ある人を思って死んだから、たぶん、それが原因で、俺に記憶と能力が転生したと思うんだ。

そうアルベルトの記憶だけじゃなく能力も引き継いでしまったんだ。

俺、クリスに繋がる前世の話からしていこうと思う。

これから話していくことは、メンバーの中で小説を書くのが上手い人がいるから、その人が書いた勇者物語に載っている。

この本は、一つの国だけじゃなく、複数の国に出版されているくらい、大ベストセラーになった。

有名な作家になったけど、この人は、本の印税を孤児院に寄付したりする素晴らしい人なんだよ。

これからは、クリスとしてではなく、前世のアルベルトとして、話を進めていくことにする。



俺が住む国はルーファス王国。

国の名前がルーファス王国だから、王様の名前もルーファスという。

つまりルーファス一族が支配する国なんだ。

俺はルーファス王国のはずれにある小さな村で生まれたんだけど、俺が住む国の隣の隣が、非常に迷惑な国なんだ。

その国はガルシア帝国っていうんだけど、ガルシア帝国は王様が戦争ばかり仕掛けている国で、周りは本当に迷惑している。

俺が住んでいるルーファス王国があって、その隣がスタンリー王国というんだけど。

最近、ガルシア帝国がスタンリー王国に攻め込むんじゃないかって噂がながれている。

どうしてガルシア帝国がスタンリー王国に攻め込むのか知らないけど、噂では資源の問題らしいんだ。

スタンリー王国は、ガルシア帝国と違って、緑が豊かで大きな川が流れている。

そして山には鉱物資源が眠っているそうだから金属が取れるそうだ。。

そんな国だから、一番に目をつけられたのかも。

噂では、ガルシア帝国も昔は、いい国だったそうだよ、その時は今の王様とは違い、賢い王がいたみたいだけど、国を大きくすることはやっていたそうだ。
やっぱり、今の王の先祖だね。

それが今は、どうだろう? 緑は減って農作物はできなくなり、国民は飢えている。

人がいくら頑張って畑を作っても、水や土地が悪ければ育つことはない。

だから税金を納めることもできない。

だから農民は、意欲を失っていく。

だから病気も流行しやすくなるから、人の国に与える感情は最悪だけど、それを兵士の力で抑えている。

貴族からの不満や国民からの不満を、戦争をすることで補っているみたい。

戦争するためには資金と物資が必要だけど、攻め込んだ国の物資を強奪したり、お金を奪ったり、他国の人をガルシア帝国に編入させ兵士として駆り立てることをしているから、たちが悪い。

豊かな国が欲しくなるわけだ。

他人の土地は良く見えるから、それを手に入れることができれば、豊かになれるとか、お金持ちになれると思うから、攻め込むわけだし。

ガルシア帝国の国王も、自分の国を豊かにすることをしてみたのか、気になるよね。

やって見ても、ダメだったのかも知れないけど。

あと思うのは、国が悪くなると王様たちは貴族から、突き上げがあるらしいから、それを抑えるためにも戦争をするということは、必要な手段なのかも知れない。

そんなバカな国が隣のスタンリー王国を攻め込もうとしている状態なんだ。

ガルシア帝国と隣国のスタンリー王国は、もう少しで戦争になってしまうって噂があるんだ。

また、多くの人が死んでしまう。

ガルシア帝国が、隣のスタンリー王国に戦争を仕掛けて、そのあとに、こっちにも来なければいいけど、どうなんだろう?

国を大きくしようと思うなら、絶対、ルーファス王国にも仕掛けてきそうな感じだよね。



俺が生まれた年にルーファス国王夫妻にも、姫が生まれて国をあげてのお祝いが行われた。

生まれた姫の上にも兄がいるみたいだから、姫と王子を授かり、王様はたいそう喜んだそうだ。

姫が生まれた時には、国をあげて祝賀が行われて、王都の街もすごい騒ぎになったらしい。

多くに市民が『ルーファス国王、バンザイ』って叫んでいたらしいけど、遠く離れた小さな村には、そんなことは関係ない。

生まれた姫の名前はライラと言う。



でも遠くの村に住んでいるから、そんなことは関係ないし、俺たちのところまで通達がくることもないから、国王夫妻に子供が生まれたなんて知らないこと。

そんな村に俺は生まれた。

俺が生まれた小さな村には住んでいる人は50人くらいで、 畑を耕したりする人がほとんどで、数件の家は鶏やヤギを飼っている。

多くの家は、作物を他の家に物々交換が主流で、猪でも狩ることができれば、村全体で分けていた。

この村では、魔物がでたことはないけど、安全のため、村の周りに塀が設置されている。

そして魔物を見張ることができる物見櫓があるけど、いつも暇そうに上で居眠りしている。

時々、物見櫓から人がいなくなることがあるそうだけど、交代の時間だったり、トイレに行っていたり、食事に戻っていたり、村の安全を脅かしていることには気がついてない。



俺の家では、父さんが畑を耕していたり、時々は村の外に出て狩りをしていることで生計を立てている。

でも、鳥の狩りに行っても、そんなに腕がいいわけじゃないから、取れない時の方が多かった。

まぁ、狩猟がうまく行っても、鳥をとることができたり、ウサギをとったり、あとは川魚が多かった。

しかし川魚でも、取れないこともあったから、腕はいいわけじゃないと思う。

そんなうちに、両親が結婚して、待望の子供が生まれた。

両親が結婚して5年たった時だった。

初めは、両親とも、すごく俺を可愛がってくれた。

「ねぇ、あなた、この子の名前は、何にする?」

「そうだな、う〜んと、あっ、そうだ、アルベルトっていうのは、どうだ」

「アルベルトね、うん、いい名前だと思うわ」

俺のことを抱き上げて「よし、今日から、お前は、父さんの子で名前はアルベルトだぞ」

「もう、あなたったら‥‥‥」と喜んでいる母親。

「うわ〜ん」と泣き出す俺。

「あらあら‥‥‥」と言いながら、俺を取り戻す母親。

「お〜、よし、よし、泣かない、泣かない、アルくん」と言いながらあやす。

「あっ、いいな、アルベルトだから、略してアルかぁ。
よし、これからはアルって呼ぼう」と父親

しかし、幸せな時は、長くは続くことはなく、俺が4歳の時から歯車が狂い出す。



4歳の時までのことを、やり直すことができるとしたら、一番に俺は望むだろう。

俺が成長していく過程で、どれだけ、今から起きることが、のちに俺の体を痛めつけることになるのか、知るよしもなかった。

俺から何から、何まで奪っていこうとしていることが始まる。

今でも後悔しているけど、当時、4歳の俺には、そんなことは分かりはしない。



俺が4歳の時に、朝食を終えて、父親は仕事に出掛けていき、母親は食事の後片付けをしていた。

母親が俺を構ってくれないので、おもちゃで遊ぼうとしたけど、見つからない。

どこにあるんだろう? と探しながらウロウロ歩く。

カーペットの下を探しても、おもちゃの木馬はない。

箱を探したんだけど、箱にも木馬は無い。

あれっ、あの時、遊んで、どこに置いたかな? と母親に聞こうかと顔を上に向けると、あった。

見つけたのは、テーブルの上だ。

多分、俺が床に置いていたから母親がテーブルの上に置いたんだろう。

なんてことは4歳の俺は考えもしない。

俺はテーブルの上に乗っている木馬を取りたくて手を伸ばしてみた。

手を伸ばすと目で木馬を見ることができなくなるので、必死につま先立ちして手で探るけど、木馬は手にかすりもしない。

「あれっ、木馬が‥‥‥」と言いながらジタバタする。

それをみた母親が「頑張って、自分で取りなさい ほら、頑張って、もう少しよ」

母親は食器を洗っているから、手が濡れていることもあり、取ってくれなかった。

俺は母親に言われて奮起したけど、手には木馬の感触はない。

でも、取れないのに母親は木馬を取ってくれない。

洗い物をしている母親が、後ろを振り向いて「ほら、もう少しだから、がんばって」と言い笑っている。

俺はテーブルには自分で座れるので、近くにある椅子を見つけて、テーブルへ近づけた。

普段なら椅子には自分で登って座れるんだけど、どうしてか、登れない。

3回目に椅子に登ろうとしていた時に、手が滑って落ちてしまった。

ゴトッと大きな音がして頭は打たなかったけど、俺は、転げ落ちたことに驚いて泣き出してしまった。

「!、うっ、うわ〜〜〜ん」俺の鳴き声にびっくりした母親が「あらあら、痛かったの?」と母親がやっと俺のところにきて抱っこしてくれた。

母親に抱っこされたまま、泣いていた俺は、テーブルに乗っている木馬が目に入った。

俺は、声を出さずに、『馬で遊びたい‥‥‥』と思った。

その時、どうしてか、わからないけど、母親の肩越しに木馬に向けて手を伸ばした。

でも手を伸ばしても取れる位置にはおいていないので、取れることはないけど、どうしても木馬と遊びたかった。

手を木馬に向けて伸ばした俺は『お馬さんで遊ぶ〜』と強く思った。

手を伸ばしても木馬がくることはないはずが、木馬は空中にふわりと浮かび、フワフア浮きながら、ゆっくり空中を漂って近づいてきている。

まるでスローモンションのように木馬は、フワフワ漂いながら、近づいている。

それを母親も気がついて目が大きく見開かれるだけで、ただ見ているだけしかできない。

木馬は漂いながら、徐々に近づいてきている。

木馬は漂いながら、俺の手に収まった。

『やった〜、お馬さんと遊べる』

俺は木馬で遊べることばかり考えていたけど、母親は違った。



母親は、しばらく動くことができず、目の前で起きた光景をボーッとした感じで見ていた。

目の前で起きたことが信じられない‥‥‥様子で。

「えっ、今、何が起きたの?」

母親は目の前で起きたことを、まだ、夢を見ているような感じで、頭が働かなかった。

木馬が乗っていたテーブルと、息子が手にして遊んでいる木馬を交互に見ているだけ‥‥‥

「えっ、今のなに?」

「え〜〜〜っ」母親は大きな声をあげて驚いている。

「なに、どういうこと?」母親はパニックを起こしそうな感じになっている。

この世界には魔法が存在するが、母親は結婚する前も、田舎の村で育ったため、魔法なんか見たこともないから、初めてみる魔法だった。

この世界には魔法があることは知っていたが、魔法とは、なんなのかということまで知識がなかった。

母親は、自分の息子が木馬を欲しさに魔法を使ったとは思っていなかったけど、息子の手には木馬あるわけだから、何かをしたと思い込んだ。

母親が育った村でも、結婚した後でも魔法に出会う機会がなく、自分の息子が何をしたのか、理解するには時間が必要だった。

しばらくは母親は、俺が木馬で遊んでいるのを、ただじっと見ている。

「あっ、もしかして、アルが使ったのは魔法?」と誰も聞いていないのに口に出して、やっと気がついたみたいだ。

「そういえば、夫のお父さんが魔法使いだと言っていたわ‥‥‥」

これが魔法なのかしら?

でもアルの手元には、テーブルの上にあった木馬があるから、間違いないみたいね。

『じゃ、アルが本当に魔法を使ったんだわ』嬉しくて、嬉しくて‥‥‥顔がつい、綻んでしまうわ。

俺が床で木馬と遊びながら上の母親の顔を見たら、変な笑いをしていたから、怖かったから、目を逸らして、木馬と遊ぶ真似をした。

ちらっと母親の顔を見るけど、怖い‥‥‥俺はできるだけ、母親の方を見ないようにして、木馬を走らせて遊んだけど。



家庭で起きた木馬浮遊事件で、俺の人生が狂い始めていく‥‥‥



「ねぇ、なにをしたのよ‥‥‥」と母親

「‥‥‥」 俺は、母親の顔が怖かったから何も答えない。

あまりの嬉しさから、母親は外で働いている父親を呼びに出て行った。

扉が開けたままになって風が外から入ってきている。

俺は、木馬で遊ぶのをやめて、扉が開いたままの外を見ている。

母親は見えないが、声だけがしている。

「あなた〜」
「どこにいるの?」

しばらくすると母親が父親を呼ぶ声もしなくなり、俺は、まだ、扉が開いた外を見ている。

俺が外に興味を持ち、歩き出そうとすると二人が入ってきて、扉は閉められてしまった。

二人は話をしながら、部屋の中に入ってきて、俺の近くで立ち止まった。

母親の声が嬉しそうに聞こえる。

母親「あなた、あなた、驚かないでよ、さっきね、アル(アルベルトの呼び名)がテーブルの上に置いてあった木馬を取ろうとして魔法を使ったのよ」

「えっ」父親

「本当なのよ、木馬がふわりと浮かんでアルのところまで飛んできたのよ」

なんだか母親が嬉しさの あまりハイテンションになっている。

「本当なのかい?、アルが、そんなことをしたなんて、まだ、4歳だよ」

「本当よ、あなた、今まで魔法ってみたこともなかったけど、あれは魔法に間違いないわ」

「っ、君、俺が以前、父親の話をしたときには、魔法って見たことがないって言っていたよね」

「うん、私、魔法を見るなんて、アルが始めてよ」

「えっ、それでアルが魔法を使ったって思うのは、どうかと‥‥‥」

「信じてよ、本当にアルが魔法で、木馬を飛ばして手に取ったのよ」

「いや〜、なんだか信じられないけど、本当なの?」

「嘘言って、どうするのよ」

「じゃ、本当なんだね」

「もう、さっきから本当だって言っているじゃない」

父親の顔つきが変わった。

「俺の息子のアルが、魔法を使ったなんて‥‥‥」

「そうよ、私たちの息子のアルが、魔法を使ったのよ」

「そうかぁ、じゃ、俺の親父と同じ道を歩むのかぁ』

「そうね、お義父さんは王国にいたそうだけど、私、あったことがないから、知らないけど、魔法がすごかったって、あなた、言っていたわよね」

「うん、そうなんだ、俺のオヤジは、ほとんど、家に帰ってこないほど、多忙で、俺が小さい頃に病気で死んでしまったんだ。
それからは母親が俺を育ててくれたんだけど、大変だったと思うよ」

「でもアルが有名な魔法師になってくれれば、私たち裕福になれるかもね」

「そうだな。でもアルが使ったっていう魔法をもう一度、俺に説明してくれないか?」

「うん、わかったわ
今、アルが 遊んでいる木馬はテーブルの上にあったの。
私が食器を洗って手が濡れているから、アルに自分で木馬を取りなさいって言ったの」

「うん、うん、それで‥‥‥」

「そうしたらテーブルの上に乗っている木馬を取ろうと椅子の上に登ることをしたみたいなの、そしたら滑って落ちてしまったみたい。
私は音でアルが床に寝ていたから気がついたんだけど。
アルが泣き出したから私が抱っこしてあげたの。
アルがすぐに泣き止んで私が、たまたまテーブルの方を見たら木馬が空中に浮かんでいたの」

「へ〜、そんなことが切っ掛けか?
話を聞いていても、俺もいまだに信じることができないよ」

「ええ、 自分で見たのに私も夢を見ているようだわ」

「じゃ、俺も見たいから、もう一度、やってみようよ」

「えっ、そんなことができるの?」


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