巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第二章 社会と現実はさほど甘くない。

バニーちゃんと一緒(15)

「male! やべぇ速すぎじゃん。メーター振り切るよっ?」

 ただ本物とはちがう。1秒内100kmに加速しない。最速で
500kmも無理。だがしかし日本の道路交通法が問題なんだ。

『ケージさまもご安心ください。ジョーカー2000は自衛隊の
特殊車両で登録済みです。人身事故がなければ問題ありません』

 内装は原型通りで違和感ない。だがしかしオタクは騙せない。

「てかさぁmale。本物のナビゲーションシステムってさ……
三次元アニメキャラ勝手に画面で動いたりしゃべらないんだよ」

 いきなり運転席に座ると同時に走り出した状況は仕方がない。


 だがしかし人工知能を超越する次元に頭を抱えるだけなんだ。

 その間にホンダの倉庫を発進して一般道を走るジョーカーだ。
頭上に九条駅を臨みながら中央大通りに合流。逆走で突っこむ。

「うぉぉっ? やべぇよやべぇよぉっ。おおおおぉぉぉぉっっ」

 運転席に座るだけ。もちろんハンドルなんか触れてもいない。
アクセル踏んだりブレーキ操作していない状況が逆におかしい。

 なにもできない状態でうろたえる。前方から迫る走行車両だ。
絶妙な位置取りと紙一重の距離感で交わしつづけるジョーカー。


 頭上は阪神高速道路が走る。ゆるく右に婉曲していると正面に
迫るワンボックス。スライド扉をこじ開けながら少女が現れた。

 小柄で制服を着用する姿。ピンクブロンドの髪は永依だろう。

「エーちゃん! 助けるからちょっと待って」運転席から叫ぶと
聴こえたらしい。永依がニヤリと笑いながらタイミングを測る。

 フォローなど必要とせず助手席のドアが全開になると同時だ。
永依が跳躍すると左掌で扉をつかんだまま後部席に突っこんだ。

「うぎゃっ」人間じゃない言葉であられもない姿の永依が叫ぶ。

 蹴りで衝撃うけた黒いワンボックは横転しながらコンクリート
橋脚に特攻だった。火花を挙げて停車すると車輪まで空転した。


 確認のために一瞬だけ振りむくと双眸に赤いうす布が映える。
もちろん頭を下に転がり足を掲げる永依だ。下半身全開だった。

「うわぁ」おもわぬ叫声と同時だった。前に視線を戻した視界に
衝撃が飛びこむ。フロントガラスの先から迫りくるのは同じ黒の
ワンボックス。そのスライド扉をこじ開けようとしている少女。

 もちろん白い右耳が屹立する細い体はココ以外にありえない。
永依と同様にココもニヤリとした笑みをうかべながら跳躍する。

 路面に一瞬だけ足をつけた屈伸。無理に身体ごと反転させる。

 そこで空高くに跳ねる勢いで大ジャンプした。そこに迫りくる
ジョーカーの後席から跳ねた永依が左腕を伸ばして掌を重ねる。


 そのまま重なりあうようにして助手席からココが飛びこんだ。

「うぎゃぁ」「ぎょえっ」運転席から左腕を限界まで伸ばしたが
遅かったらしい。加速したまま後部席に突っこんでいた二人組。

 同じ人間とはおもえない絶叫だ。心配して振り返った双眸には
映える重なる肢体。見てはいけない恥ずかしさ全開の下半身だ。

 ふたたび顔をそらした。脳内は赤と青のうす布で彩られて……
「ケーちゃんさ。じっくり観たいならいつでも見せるけどさぁ」

 からかうような永依。うすく両頬を染めながら制服を整える。

 ココが勢い飛びだした黒いワンボックスはジョーカーの背後で
傾きながら横転する。スパークして半回転でそのまま制止した。


「male。右前方の立売堀交番駐車場だ。とりあえずの停車」

 すでに木津川を通過していたジョーカーだ。阿波座駅の直前で
視線をはわせると立売堀交番の狭い駐車場にジョーカーを導く。

 交番を飛びだす警察官も二人組だ。ジョーカーを見つめながら
前方で横転しているワンボックスカーを確認すると走り始めた。

 ココも永依と同様にして後部座席に落ちつけば一安心できた。

「見せる必要性ないからね。それより大丈夫そうで安心したよ。
なにがあった?」問いかけると永依の右差し指が上唇に触れる。

「んんー。ココちゃん初めて授業参加して先生の気遣いかなぁ。
午後はクラス全員の自己紹介ばっかしよ。早々におわってさぁ」


 後席で両腕を首の後ろまで伸ばしながらゆっくりと追加する。

「南門から帰ろうとしてね。阪神高速の高架下ぐらいでチャラい
男たちからナンパ? いきなり声かけられて囲まれたんだよね。
わやくちゃしていたら車内に押しこまれた。暴れたらさっき?」

 頬の赤い永依だ。こちらに目をあわせ真面目に伝えてくれる。

「飛び降りたら大ケガ。痛いかなぁって考えたらケーちゃんの声
聴こえてビックリ。かっけぇ車で正義のヒーロー登場じゃーん」

コメント

コメントを書く

「現代ドラマ」の人気作品

書籍化作品