巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第三章 世界の果てと見えない未来図。

世界の夜明けと共に(4)

 頭上の瞬きは星空。ちいさく輝いて彩を示すのが新月の夜だ。

 視線を漂わせながら勝手に車いすが進む。同時に背後の二人も
認識できた違和感。忙しく人の往来する場所は遠くないらしい。

 アスファルト舗装された橋梁は片側二車線だ。海を臨み歩道を
左に曲がった先でココが囚われる漁船も見える。目視は可能だ。

 おそらく魚市場の朝は早い。普通の漁船なら目立ちようない。
どれほど艤装してもホバークラフト船は注目の的になるだろう。

 もしかしなくても他国人は日本の慣習に詳しくない。月曜の朝
神戸中央市場に魚介を納める漁船ばかりの状況は理解できない。


 良い意味で紛れて移動できる。単純な幸運を自覚するだけだ。

 それでも海中二人が行動できる時刻には早すぎる。この騒動が
イレギュラーなら確率的にココだろう。その可能性も高くなる。

 周辺に市場の関係者はいない。femaleも他者との接触は
気にならないらしい。速度を急上昇させて追うのも大変だろう。

 最初に見えたのが堤防で争う姿。ほとんどは市場の関係者だ。
小銃を振りまわして早口で言葉の通じていない威嚇の軍人さん。


 おかしな状況でもこちらにとっての僥倖。一般人が相手だから
威嚇する程度だ。銃弾の飛び交う状況に発展していないようだ。

 車いすの周辺には他者を近づけない位置から堤防まで進んだ。
目前で突如として漁船から争う声。響くと同時に扉まで弾ける。

 船上いきなり姿を現したココが女性を腕に抱えて逃げまわる。
襲いかかる背後の敵に攻撃するのがサクラちゃんの艶姿なんだ。

 なんにも分からない状況で銃撃戦を回避できたから即応する。
こちらは車いすで状況を見守りながら観察で周囲から埋没した。


 海上から突然だった。ココを庇うようにして現れた二人組だ。
カナメ先輩と美里さんの隙をついた侵入は海中からロープ伝い。

 カナメ先輩がサクラちゃんを背中に庇いながらステゴロ格闘。
美里さんもココからは離れない位置だ。サポートの状況だった。

 地上の軍人が痺れを切らす。小銃を構えて威嚇射撃を試みた。

 背後に音も立てずに近づいて一刀両断……していない。小刀で
急所だけを打撃する鈴音の隣から拳で必殺。昏倒させる永依だ。

 その瞬間に運命が変転する。地上から撃たれた複数の銃弾だ。
ココの周囲に散乱して同時に薙刀の美里さんが吹き飛ばされた。


「ココちゃんっ! 空高くジャンプ」おおきく叫ぶ姿は永依だ。

「……?」瞬時に跳ぼうとしたジャンプ姿勢。ココが固まった。
 その場で首を横に振ると手首から火花のスパークが噴出する。

「美里さん? ココっ!」無意識だった。絶叫を挙げたらしい。

 その場にいた全員だ。理解できずに見つめるだけで静止した。
なにが起きたかも分からないココが瞬時にその場で崩れ落ちた。

 この期に及んで無事な軍人と漁船の乗組員が同時に驚愕する。
最重要人物になるココ。上官の命令で確保しなければならない。


 火花を発しながら昏倒するココを死んだと判断したのだろう。
目標の確保は失敗して任務遂行できない。ただ呆然としている。

 その場で走るのが永依だけだ。順番に敵に容赦しない一撃だ。
軍人たちと漁船員を昏倒させた。すべての危機が去った瞬間……

「ココちゃんお終いだよー。お芝居の必要ないから起きていい」

「わかったよ。お疲れエー」笑顔で叫んだ永依に美声が応じる。
 もちろん呆然として見つめるなかでココが普通に起き上がる。

 最初理解できなかった。なぜか記憶が戻ると同時に笑ったよ。
壮大なネタ振りにも見えるオチなんだ。苦笑するしかできない。

 偶然だったのか必然か。奴隷の契約と電撃腕輪の効果だろう。


 カナメ先輩が駆けよったら笑顔の美里さんも首を振るだけだ。
「演技じゃないよ。たぶん風圧を感じた瞬間に跳ばされたんだ」

 自動小銃からの銃弾も直撃していないようで身体に傷もない。
こんな終了で正しい大団円だ。嘘じゃないのと誰かに尋ねたい。

「詐欺じゃないかよって叫びたくなるよね。それも仕方ないさ」
 天下無双の流離人。水戸ご老公の主題歌を迷いなく口ずさむ。

 人生すべて謎だらけさ。終わり良ければすべてよし……かな?

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