巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第二章 社会と現実はさほど甘くない。

バニーちゃんと一緒(16)

 永依のヒーロー呼ばわりに驚きしかない。一瞬で硬直したよ。
いつもそうでなんもしてないのに気づけば巻きこまれたあとだ。

「いやいやいや。こっちも流されたから。成り行き任せでさ……
とにかく永依とココ無事で良かった。まずはAIの紹介かな?」

 胸ポケットのスマホを抜きとった。女性型のfemaleだ。

「みんなのプレゼント。この車が……英雄さん曰くジョーカー。
信じらんないけど車を操縦する人工知能。男性型のmaleだ。
足代わり車いすは女性型female。誘拐も教えてくれたよ」

 普通に説明するとほぼ同時だ。ナビ画面の液晶パネルにアニメ
絵が登場した。二次元男女が投影されると自ずから自己紹介だ。


『ケージさまの相棒になるジョーカー号。AIのmaleです』

『車いす用の女性型AIです。femaleと呼んでください』
 アニメ映像の執事とメイド。綺麗な所作で厳かに頭を下げる。

「迷宮で生まれた元ウサギの宇佐美ココだ。ココと呼べばいい」
 助手席の背後からあっさりとした口調。端的な紹介のココだ。

「ふーん。二人が助けてくれたんだぁ。ありがとねーケーちゃん
姉の子供になるの? 全中女子の空手チャンピオンで永依だよ。
マルくんとヒメちゃんが足代わりかぁ。これからよろしくねー」

 感謝の言葉は納得だけど謎すぎる名づけ。いつも問題だよね。
ニックネームで呼ばれた画面。執事とメイドが驚きの顔になる。


 一瞬固まる表情。悪くもないと判断したのか笑顔に変化した。

 車内で互いの紹介が終わる。同時にサイレン音が鳴り響いた。
視線をあわせたフロントガラスに迫りくるのは複数のパトカー。

 その背後に見える大型車の所属は陸自。装甲車の団体さんだ。

 目前に急停止したパトカーから焦り顔の美里さんが飛びだす。
その背後に装甲車が止まり助手席から白衣の鈴音さんの走る姿。

「学校帰りに誘拐された速報は驚かされたけど無事で良かった。
近くの佳二くんが車で追いかけたと聴いて余計に心配でね……」

 駆けよる美里が息を切らして伝えると背後の鈴音も追随した。
「ケージくんらしいけどさぁ。映画みたいな活躍に驚いたのよ」


「誘拐犯? 相手ってどこの何者ですか。チャラい男たちの集団
ナンパじゃない。組織絡みですね」真面目な表情で問いかける。

 二人も黙っていられないと考えたのかな。暗い表情で応じる。
「大陸の覇権国家が黒幕らしいのよ。ちょうど今晩からよね?」

 仕方ないとつぶやく美里さんだ。視線をあわせながら伝える。

「冬季オリンピックが首都の開催なんだ……かなり前なんだけど
同じ地域なのよ。夏のオリンピック会場公園にできたんだよね」

 綺麗な鈴音さん。悔しげに顔をしかめながら説明してくれた。


「できちゃった? あぁ。もしかしなくてもダンジョンです?」
 一瞬だけ顔をしかめながら悩む。すぐ正解までたどりつけた。

「そうそう。そのものずばりでオリンピック公園ダンジョンね。
国家の威信をかけた陸軍精鋭部隊。即投入で……全滅したのよ」

「それは悲惨な状況だけど……ココに繋がる理由が分からない」
 日本は離れ小島なんだ。敵対国家でも直接は関係しないよね。

「うん。ダンジョンから届けられた機械音よね。あれが直接的な
要因ね。階層主を討伐した情報。関係者もほとんどしらないの」

 どこからココの存在がもれたんだ。誘拐の理由すら不可解だ。


 黙想していろいろと思考を巡らせる。ココが必要になる理由?

 ダンジョンの攻略に関することだろう。この周辺にいる誰かが
ココの個人情報を敵国に売り渡した。可能性が高いのはそれだ。

 だがしかし中学に通い始めたのは今日。拉致も帰り道なんだ。
なにか見落とした事情があるか。どこかに落ち度があるのかな。

 とにかく中学に通わせるのも当面の危機が去ってからだよね。
普通に生活したくても相手は国家の威信までかけた勝負なんだ。

「ケーちゃんどした? ケーちゃんっ!」最後は永依の焦り声。
急激な頭痛だ。崩れるように倒れて身体も運転席のコンソールに
もたれこんだらしい。衝撃がそのまま周囲に伝播したみたいだ。


 まだ闘いは始まってもいない状況だ。なぜか崩れ落ちている。
なにが起こるのか誰も分からない。ただ静かに魔の手が伸びる。

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