巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第二章 社会と現実はさほど甘くない。

バニーちゃんと一緒(6)

「おもったよりもいいわ。給仕と料理人が想定外に素晴らしい」

 真っ白の布巾で口元を拭った隣席の女王陛下……コーキさんが
傍で跪く給仕姿で接客担当するカナメ先輩に厳かな宣言をする。

「ありがたいお言葉頂戴しました。一層邁進に努めます所存で」
 カナメ先輩が恭しく頭を下げながら綺麗な仕草で応じている。

「ホント温かい。味と色どりも素晴らしい多国籍料理ばかりよ」
 姉である圭子が語る。過去に類のない食感に満足したらしい。


「コーキさんが考えた栄養満点の美味しい料理……これお土産?
英雄さんの発言『イロイロ』と考えるだけでも恐ろしいけどさ」

 苦笑するだけだ。再会して早々の伯父による一言が気になる。

 ココと永依は四脚テーブル一面に並べられた。大皿料理をお米
一粒残さないほどの意気込みで奪うようにして完食するだけだ。

「コーキが自ら考えた料理だからお土産に入らないんじゃねぇ?
それぞれが別で勝手に考えた土産だから詳しくしらねぇんだよ」

 正面に座る英雄さんだ。応じながらにやりと笑みをこぼした。
「俺の土産はすこし遅れるが……チェックが済んだら陸送する」


「あっ。前に伝えられた黒い新型CIVICついに納車ですね」
 んーとつぶやいた。額を抑えながら考える仕草の英雄さんだ。

 大切な情報だけは秘密にしながら微妙なニュアンスで濁した。

「そうだ。外見の装飾以外は黒いCIVICだ。間違いないな」
 きっと『イロイロ』隠し種があるはずで冷汗が止まらないね。

「あたしたち車のお願い。金銭以外なんにも用意しないからね。
ココに関する書類を緊急でっち上げる作業けっこう大変でさぁ」

 実姉の圭子が笑う姿に隣で苦笑する勝利さんが印象的だった。


 しばらくは歓談だった。大食い少女二人も落ちついたらしい。
緊急事態宣言下のフィッシュオンだ。一般の客も途絶えて長い。

「そういえば先輩。ここ以外のお店放っておいても平気です?」

 先輩やサクラちゃんの部屋は徒歩圏にあるらしい。ほとんどの
店員は見かけない。カナメ先輩に疑問をそのままで投げかける。

「そうね。しばらく副店長二人に堂山と三津寺はお任せ経営よ。
毎日のかんたんな報告だけでここはサクラと料理人の亮だけね。
しばらく三人よ」カウンターバーの対面。カナメ先輩が応じる。

「あら? 料理人が亮くんって名前なのね気になるわ。いまから
三人も着席してお話しましょ」コーキさんが笑いながら伝える。


 それは無理と辞退する先輩たちも交えてのコーヒータイムだ。

 幸いだったのが店内のテーブル席でも事足りる総勢が十人だ。
保護者に包囲された永依とココはソフトドリンクなら飲み放題。

 軽いツマミとデザートも用意されたのでご満喫の笑顔だった。

 大人たちはそれぞれ希望する類のアルコールが振る舞われた。
閣下に請求するから問題ない。すべて英雄さんが代理支払いだ。

「では改めまして失礼します。冴島亮子……ここで亮と呼ばれて
調理を担当しています。残念ながらデザートは別注になります」

 すらっとした細身の高身長だ。黒い短髪にメガネ姿。爽やかな
好青年と呼べる風貌でも三十路に近い。オナベさんなんだよね。


「あら皆さん素敵な自然体で佳二の先輩もカミングアウト正解。
キャリア入庁できる能力で美貌の特殊捜査官はハリウッド映画か
連続ドラマなら主演で間違いなしよ」コーキさんは全力だった。

「地味に見える偽装だけど料理人。プロ裸足の男装女性に自然な
ゴスロリ姿よ。中学生に見える成人男性も素晴らしいわよねぇ」

 誰が対象かも不明な熱い眼差しがハートマークのコーキさん。
実姉である圭子は生粋の宝塚ファンだ。亮に対する視線が熱い。

 ヘラヘラと笑う勝利さんはいつも同じだ。英雄さんの熱視線が
ココの白い右耳と巨大すぎる胸部装甲から移動する気配もない。


 おかしな状況だよなと考えながら支払いすべてが閣下になる。
マッカラン30年をロックで味わいながら思考を放棄するのだ。

 途轍もないシングルモルトウイスキーの甘い香りに誘われた。
最後かもしれないと意識しながら魅惑の美酒を味わうだけだよ。

 旨い酒と泪はおいても男と女……残念だけど中学生の姪っ子は
常識が一切ない。ウサ耳少女は生まれたばかりの赤ん坊なんだ。

 この場にいない美女二人の肢体を脳裏だけ軽く妄想してみる。
誘惑だとか魅了される意識もない現状だから仕方がないだろう。


 厳しくて哀しい現実はぐれ佳二の純情は行き先も定まらない。


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