巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第二章 社会と現実はさほど甘くない。

バニーちゃんと一緒(4)

「おおきい建物……周囲は青い壁。昨日なんにもなかった……」
 窓下の公園を眺めてつぶやいたココがなんとなく微笑ましい。

 まん丸な双眸のココは愛らしくて自然と笑みもこぼれていた。


「そうだよね。基礎の工事が主体だった。昨夜のうちにコンテナ
ハウスを移設。鉄筋コンクリートの養生でビニールシートだよ」

 陸自精鋭である施設隊も無から有を生みだすことはできない。
靭公園に誕生したダンジョンの管理と監視が最優先任務だろう。

「すこし世界に触れたことでこの社会の仕組みは実感できた?」

「うん。エーから大切なことを教わりながら繰り返しの勉強中」

「時間はいくらでもある。焦らずにひとつずつ覚えればいいさ」
 正面から微笑みながら視線を併せるとココもうなずき返した。


「えらいこっちゃケーちゃん! みんながこっち来るってさ!」

 ダイニングに飛びこむ姿は絶叫と同時だった。キャミソールに
ジャージを羽織った寝起き頭だ。ぐちゃぐちゃな髪の毛の永依。

「あぁ。寝起きのメールチェックでびっくり。閣下の状況説明に
英雄さん夫妻だ。勝利さんとネーちゃんも同時に来阪するって」

 ほんの数日しか経過していない。どうにかして危険地域だけは
立ち退きが完了した。それでも現実は混乱の真っただ中なのだ。

 マスコミも煽るようにダンジョンについての報道を繰り返す。


 なぜか不思議だけど騒動の中心であるここだけは無風なんだ。

 全国民に対し通達されている。ダンジョンの周辺は危険地域に
定められたんだ。市民は原則立入禁止で完全に政府の許可制だ。

 世界が混惑する状況だった。『緊急事態宣言』勧告の特別措置
法まで導入した。社会基盤を最初に戻して経済問題が回復する。

 情報すべては閣下のメールで開示された。ダンジョンの周囲も
特措法による『迷宮都市』扱い。靱本町は第一迷宮都市になる。


 大阪市の西区に存在しながら治外法権都市……国家の直属だ。
府知事と市長まで擁する地域政党がこれに相乗りでも便乗した。

 政党が目標にした「都構想」。異なる形式で実現された状況も
国家主導で省庁支部は開設される。データセンタも設置予定だ。

 解析用爆速スーパーコンピュータも導入される事態に繋がる。

 迷宮都市の入出は関係者とされているが開発ラッシュなんだ。
ダンジョン内包で最小の都市国家……扱いに変化されるらしい。


 頭を抱えるどころか思考放棄して逃げだしたい気分になった。
ただ勢いに流されてダンジョン突入でなぜかココを預けられた。

 気がつけば美女たちに包囲される。美少女と性別不詳の連中に
守られながら現実の問題として基準にされる存在になるらしい。

 現状で「分析師」理解不能な能力ながら導かれた結論だろう。

 改めて認識するが「台風の目」中心部は無風で穏やかすぎる。

 台風である姉夫婦と義伯父夫妻がなにをもたらすのか不明だ。
退避できないから逃げるが勝ちも無理で哀しいお知らせだった。


 それほど時間を空けずに訪れた連中は地位と権力が凄まじい。
残念なことに一番重要な部分である常識だけが欠如してるんだ。

「ういっすー久しぶりケージ。いろんなお土産用意してあるぜ」
 恰幅が良い声の主。五十歳を超える年齢でもノリは若いんだ。

 だがしかし仕方ないよね。同伴した美女が三人の子持ちながら
モデル体型の年齢不詳。俗にいう美魔女扱いで超有名人なんだ。

「おぉ佳二くんじゃん。いつも通り世話になってるみたいだね」
 その背後で顔を覗かせるのが長身細身。イケメン中年だった。


「ケージは世捨て人だから丁度いいんだよ。いつもコソコソして
Gじゃないつーの。なぜか毎回のように事件の中心いるんだよ」

 隣に立つのが世界で一番苦手な人種なんだ。実姉である圭子。
「あぁっ。ホンモノのママじゃん。ぜってぇ説教されちゃうよ」

 その発言を耳にして走るように姿を現した永依は珍しい正装。
背後のココも初めて目にする清楚な薄緑のワンピース姿だった。


「あらホントね。お人形みたいで可愛らしい。あなたのママよ」

 爆弾発言だ。正面の美魔女を見つめるココが双眸を丸くした。
首を強く振る姿は否定の意味だろう。どこか助けを求めて叫ぶ。

「教えてケー! ママってなにさ? まったく意味わかんない」


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