巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第二章 社会と現実はさほど甘くない。

バニーちゃんと一緒(1)

「皆さんお疲れ様でしたっ!!」敬礼で見送る姿は美里さんだ。
 いかつい男性自衛官が両隣で手を振る姿に驚きしかないよね。

「では佳二さん。のちほど状況がわかり次第ご連絡しますので」
 このあと合同庁舎らしい。警察庁として方針対策の会議とか。


 靭公園は大阪でも中心に近い。すこし離れると高層ビル街だ。
しかし現在は一般車両の通行止め。周囲にほとんど人影もない。

 この現実は昨夜から変容した。それを改めて実感させられる。
「ケーちゃん。やっとお家だね」両腕を振って永依が微笑んだ。

「おはようございます」丁寧に挨拶されたのは少女に見える人。
ホウキとチリ取りを細腕に抱えてビルの周囲くまなく清掃中だ。

「サーちゃんだ。おはよー」永依がお気楽な挨拶を交わす程度に
顔見知りらしい。引っ越して間もない少女のコミュ力に驚きだ。


「ついでにフィッシュでモーニングしよう。ココも紹介できる」
 いろいろな付きあいも発生するカフェだから素通りできない。

「ガッコ臨時休校みたいだから嬉しいな」永依がスマホでSNS
メッセージ確認。在校生を対象につい先ほど通知されたらしい。

 閣下がダンジョンを立ち去った瞬間だ。鈴音さんに捕まった。
もちろん対象者はココである。身体と健康の簡易な確認だった。

 バイタルを手始めに鈴音の健康診断だ。迷宮の外で問題ないと
判断されるまで永依が付き添い。完全に放置されて仮眠できた。

 鈴音に解放されるとなぜか美里に捕まる。互いの連絡先交換と
軽く今後の予定を伝える。その時点ですでに時刻は早朝だった。


 アルコールが抜けて空腹状態だ。美味しいコーヒーも恋しい。
かなり大喰らいの二人を同伴する。軽い食事も悪くないだろう。

「おはようございます。皆さん」カランとベル音につづく美声。
声の主は一見すると長身の女性だ。スレンダー体型の短髪美人。

「きょう世界が変わっても平常通り。さすがのカナメ先輩です」

 カウンターで綺麗に会釈する姿は痩身美女だ。オーナー店長の
大喜多要さんは陸上部時代三年生。いまでも先輩と呼ぶ間柄だ。


 もちろん居住している八階建てのFOXビル。一階玄関口だ。
無駄のない仕切り。外階段を利用して男女別トイレも設置する。

 水場と調理を繋げることで奥に控室まで設けている。木製バー
カウンターで区切る客席とは別空間だ。北欧風の雰囲気をかもす
開閉窓を全面使用。明るい色味の壁はヴィンテージ加工済みだ。

 もちろん夜間は長いカウンター。回転スツール椅子メインだ。
お洒落でも重厚な木製テーブル椅子。女性がメイン客層になる。

 最後に入店したココだ。無人の客席に驚きの表情をうかべた。

 何度か永依と来店したからカウンター席に直行する。左の隅が
専用に近い状況。ご承知のようでココを挟んだ形の着席だった。


「先輩いつも通りですよね」レジ横のスタンド。背中を預けると
同時につぶやく。公園がダンジョンでも変わらない不思議さだ。

「ケーちゃんちょい待ち。前から疑問だけど先輩ってなにさ?」
 今更だけど少女の直感は鋭い。だがしかし微妙に分からない。

「高校陸上部の二年先輩なんだよ。当時の副部長が大喜多さん」

「へぇ。かなり古いしりあいだよね。えっ? おかしいっしょ」
 なんとなくは理解した。店のコンセプトに直結する問題だね。


「なにがおかしいの?」右の差し指を唇にあてて真顔で応じる。

「ケーちゃんのガッコは天王寺のあそこ。確か有名男子高……」

「そだね。てかオレって二年中退だからさ。昔は接点なかった」

「いやいやそーじゃないよ。ケーちゃんのガッコ男子校じゃん」

「そそ仏教系だよ。オレ内部進学だったけど偏差値も高いよね」
 通えずに中退した。『徳・健・財』三拍子揃えたルール遵守。

 社会に尽くして努力する理想的な人物育成だ。そんな学園魂を
掲げて社会の安心と尊敬。信頼される目標がスローガンだった。


「だからちげぇ。カナメさん綺麗でモデルさんみたいな女だよ。
同じガッコのはずがねーじゃん」永依の絶叫に全員ビックリだ。

「アッハッハそれか。みんなしってるから誰も説明しないよね」

「ええぇっ?」大笑いしながらうつむいた途端に永依が叫んだ。


「うふふふふ。永依ちゃんしらなかったんだ。この店の従業員。
全員TSなの」左の人差し指は上の唇。妖艶に微笑む要さんだ。

「トランスジェンダーって言葉だよ。意味を理解できるかな?」

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