巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第一章 始まりが雨でなく運命?

始まりの迷宮で邂逅(10)

「なんでいきなり互いに声かける前から闘い始まるよ! なんか
おかしくねぇ?」中心で立ちはだかる。両拳を握って力説した。


「『出会って五秒でバトル』とかさ。いきなりマジかよ。漫画を
リアルで実体験だ」頭を抱えながらネタも交じえた愚痴だけだ。

 絶叫で闘いも止まった。言葉は間違いなく通じているらしい。
本気で残念だよ。理解できるはずもない現実に泣きたくなった。

 だがしかし昔から無類のケンカ好きな格闘家でもある永依だ。
神妙に感じられる様子を前にすると哀れみから厳しくできない。

 同じバトルマニアで考え方がちがう。納得できるはずもない。


「最初の前提条件だよ。人間は『話しあいの解決』目標にしても
綺麗に収束しない」苦笑しながら伝えても理解されないらしい。

「同じ言葉を話せる相手だからね。平和にいきたくないかな?」
 真っ向から正論をぶちかました。同時に声を失くしたらしい。

 感情を抑えながらもお怒りの表情だ。永依も持論を展開する。
「でもケーちゃん。いきなり攻撃されたからの倍返しだっしょ」


「思考が同じだ。なんで話しあう前から敵対行動するんだろう。
そもそも闘いからなにか生まれない。生産性もないんだからさ」

 一見すると神妙にみえるだけ。その本質が残念すぎる両者だ。
永依は細かい部分を考えない。意味を理解できないウサ耳少女。

 前提として外見以外に共通点もない。三人寄れば文殊の知恵は
有名なことわざ。三んいても解決できない状況はどこか哀しい。

 生活の環境も異なる三人だ。揃ってもそれだけで意味がない。


「闘ったあとから友情が芽生える。少年漫画じゃ定番なんだよ」
 残念ながら共通点はない。意思疎通の難しさに泣きたくなる。

「まぁいいや。なにが欲しいの? オレからで良ければ買うよ」
 状況をまとめる適任者もいない。無理やりにでも収束させる。

「いやいやいや金銭で買ってもダセェじゃん。意味ねぇっしょ」
「じゃあどうすんの?」ふざけた永依の言葉に怒り心頭だった。


「うーん。期間は限定するけどさ。負けたら奴隷なんじゃね?」
「相手奴隷にしてなにをさせたいの?」永依の思惑が理解不能。

「勝ったら一定の期間かなぁ。負けたヤツに命令できんじゃん」
「ふむ。構わない」思いつきの言葉に軽く応じたウサ耳少女だ。

「へぇ。OKするんだ」怪しい笑みだった。永依の挑発だろう。


「負けるはずもないからな。ダンジョンの攻略を手伝わせよう」
 負ける理由はないだろう。ウサ耳少女が躊躇わずに同意した。

「はぁマジすか。じゃあ勝ったら奴隷にできる権利で決定ね!」
 格闘家でもある永依は秘策があるのか負ける気がないらしい。

 双方ともに自分が勝利する。それしか考えてもいない状況だ。
意見をまとめられず頭を抱えた。解決策もなく流されるだけだ。


【迷宮デ個人対戦ヲ確認ダ】プラス【対決ト戦闘行為ヲ容認ダ】
――また音声だ。なんて思考だよ。なぜ対決として認めるんだ。

 そもそも人間の脳に直接の音声指示だ。言葉を判断して伝える
相手だから思考? 状況すべて完全に理解している存在だろう。

 入口の応答も不可解だ。どこかで映像を俯瞰してリアルタイム
認識での対応かな。正しく理解してから音声として伝えている。

 円陣の対照位置から静かに向かいあう二人が正面で対峙した。

 圧倒的な強者だろうウサ耳少女だ。敵対者は実力の劣る永依。

 自信満々に見える態度も秘策だろうか。なにかの目的がある。


「ふーっふっふっふ。さぁどっからでもかかってきなさいよっ」

 誰が聴いても昔のチンピラにしか感じられない。永依の挑発を
ウサ耳少女がどう理解しているのだろう。表情では分からない。

「まったく気にならない。完全に悪役のセリフじゃないのか?」

「デカ胸ウサギ女。あーしは悪役令嬢じゃないよ。失礼っしょ」
 そもそも脈絡のない挑発が始まりだ。理不尽の固まりが永依。


【金属ノ武具ハ使用禁止ダ】――また音声は永依に直接の指示。

「なるほどね。革グラブの内部でも金属ナックルはダメなんだ」

 黙って革グラブを外す永依だ。ポケット内を両手で探しながら
確認している。右掌に金属の棒を握るがここでは制限されない。

 うつむいてニヤリと笑う。直接じゃないから大丈夫と確信だ。
思案してジャージの後ポケットから長財布まで引っぱりだした。

 永依が長財布のポケットから小袋をとりだすと左掌に握った。
「ケーちゃんが預かってよ」言葉と同時にこちらに放り投げた。


【急所ノ直接攻撃ガ禁止ダ】プラス【命ノ奪取ガ絶対ニ禁止ダ】
――また音声だけど禁止事項の厳守だ。脳内に直接伝えられた。

 納得できる内容だ。それぞれ考える部分もあり神妙に応じた。

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