巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド

ノベルバユーザー587413

第一章 始まりが雨でなく運命?

始まりの迷宮で邂逅(4)

――その数瞬後だ。すこし異なる機械音が脳内で後追いされた。
【始マリノ迷宮デ討伐確認】プラス【討伐者ニ初回特典ノ付与】


「始まりの迷宮はここだよね。機械音の伝える内容もおかしい」
 取っ手を握りながらつぶやいた。同時に傍から永依の叫びだ。

「ねぇねぇケーちゃん。さっきの声ってさ。あーしらよりも先に
モンスターを倒したヤツじゃん。あーしらんことなめてんよ!」

「そだね。いまオレたちは入口で誰かが先に行った形跡もない。
やっぱオレたちよりも前から迷宮いたんだね。特典は謎だけど」

 すぐにモンスターを倒した相手だから仕方ないと納得できる。


「マジもんにムカつくっしょ。ダンジョン特典とられちった!」
 拳を震わせて怒り表現するギャルは可愛く見えても怖いよね。

「試練の時は全スルーじゃん」炎が宿る双眸を見つめて考える。

「ん。それもいいね。じゃあ一緒に入場しようかな。よろしく」
 永依の勢いにはめられたかな。ダンジョン入りも成り行きだ。


【入口デ正規ノ入場ヲ確認】プラス【許可証ヲ全自動デ作成ダ】
――音声と同時。まばゆい輝きの球体が突如として前に現れる。

「…………?」声を失う。音もせずに光球が破裂すると同時だ。

 メタリックに輝いた免許証のサイズ。空中にカードが現れると
白いきらめき。残照にしながら重力に導かれるように落下した。

「このカードはなんだ?」つぶやきながら落ちたカードを拾う。

「えっとさー鍵じゃね? たぶん扉から出入りに必要なんだよ」
 拾ったカードを満遍なく確認しながら永依の言葉にうなずく。

「タッチパネル?」扉の左下かな。輝く場所を見つけて驚いた。


「すごいよね。きっと最新型だね。入退室の自動識別装置かな」

 白い輝きの金属は見当つかないね。およそ1mm厚のカード。
免許証と同サイズなんだよ。その理由はJIS規格の完全準拠?

 地下迷宮を創造した誰かさんに忖度でもされたかなと考える。

 「番号が00000000021だって!? ちょっと待って」
 拾い上げたカード。一番上に並ぶ数字を一目しながら叫んだ。


「えっ? ちょっと待ってちょと待ってオニーサン♪ ラッスン
ゴレライってなんですのん! 懐かしいねーお笑いネタじゃん」

「2014年ごろのネタだよ! 完全一発屋の芸人さんだから。
悪意の噂に消えたコンビ。エーちゃん当時はおこちゃまだろ?」

「ちげぇし! ガッコのおバカさわぐネタきーただけ。ママ専用
図書室あっからさ。お宝DVDいっぱいみたしょ。マンガと紙本
読んだからー。めっちゃおもろいのばっかで泣いたんだよねー」

「そりゃぁネーちゃん。昔から変わんないレベルのオタクだよ」
 もともと両親とも初期オタクだ。世代だから汗も止まらない。


「なんで十一桁か考えた。携帯番号意識してないか勘ぐったよ。
関係ないね。いちじゅうひゃくせん……100億だよ。最大でも
999億ってことだよね。なんの数字かな。つーか21ってさ」

「ふーん。あーしは31だー」カードを拾う永依のつぶやきだ。

「へっ? 十一桁目が1ってことはアレか。最大99億じゃん。
地球の人口だいたい70億ぐらい。きっとそこからきてんだよ。
じゃあ十桁目オレ2。エーちゃん3。だから討伐者が1だよね」


 カード番号00000000011。一番の入場者は誰だよ?
おそらくは迷宮で邂逅する相手。敵か味方かわかんないけどね。

 検証するため二人で動く。迷宮での情報を集めようと考えた。
『始まりの迷宮』名前の理由もおそらくは同時多発の誕生だよ。

 どんな思惑から次元の異なる地下迷宮を地球で創造したかな。

 たぶん人間は理解できないね。神のみぞ知る領域なんだろう。


 片足のため走ったり闘ったりはできない。それも仕方がないと
納得してるよ。世界は障がい者にとって優しくできてはいない。

 みんなで助けあおうは言葉の綺麗な解釈だ。現実は厳しいね。

 それぞれが生まれた環境もちがう。可能な範囲の問題だろう。

「巨乳バニーガールと最強空手ギャルが弱虫オタクと同棲中~検証ダンジョン必勝ガイド」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代ドラマ」の人気作品

コメント

コメントを書く