【完結】政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
第八章 零士さんを愛してる10
「まりこさん、は、ひがいしゃ、なんです、ね……」
私の頭を膝にのせ、零士さんが髪を撫でてくれる。
それが酷く、気持ちいい。
「清華はここまでされて、鞠子を被害者だと言うのか?」
零士さんの声は厳しい。
でも零士さんも言っていたではないか、そういう人間は人の弱みにつけ込むのが上手いのと、最初は善人面して近づいてくるんだって。
きっと鞠子さんも、悪い人だなんて気づけなかったに違いない。
零士さん自身、彼女はあのときまで彼が暴力団関係者だとは知らなかったんだろうと言っていた。
「まりこさん、は、まちがっては、いたけれど、わるくはない、です」
彼女はこの狭い世界しか知らないだけ。
きっと、悪意はないはず。
「清華は優しいな。
そんな清華が俺は好きだ」
額にちゅっと口付けが落とされる。
それだけで幸せな気持ちが身体の中に広がっていった。
「今日は疲れているだろう?
ゆっくり休んだらいい」
「でも、れいじ、さん、また……」
出ていっちゃいますよね?
なら、貴重な時間を無駄にしたくない。
「清華の怪我が治るまでは傍にいる。
だから安心していい」
言葉を証明するかのようにまた、額に口付けが落とされた。
「はい……」
ゆっくりと息を吐き出して目を閉じる。
聞きたいことはたくさんあるが、まだ眠い。
起きたら、零士さんに聞いてみよう……。
翌日、念のための検査をさらに受け、退院した。
「こんなに清華の頬が腫れるほど撲つなんて、鞠子のヤツめ」
零士さんが触れる頬はまだ派手に腫れている。
それでも、痛みは軽くなっただけマシだ。
零士さんはさっきから鞠子さんへ呪詛を吐いているが、私としては彼女の手の方が心配だ。
あのときは興奮していたから気づかなかったんだろうが、あんなに私を叩いて手を痛めていないだろうか。
「でも、零士さんと思わぬ時間ができたので……」
それについては彼女に感謝だ。
「清華は本当に優しいな」
零士さんの唇が私の額に触れる。
帰ってきてからは彼のお膝の上、めいっぱい甘やかされていた。
「あの、零士さん。
どうしてあそこがわかったんですか?」
メイドさんが鞠子さんからの迎えに異常を感じ、零士さんに報告していた。
しかし、どこに連れていかれたかまでは知らないはずだ。
「携帯のGPS?」
なぜに疑問形?
もし、居場所特定用のGPSがどこかに仕掛けられていたとしても、それで助かったのでこれについては今は聞かないでおこう。
「場所を特定するのに時間がかかってしまい、本当に悪かったと思っている」
「零士さんは悪くないですよ」
昨日もだが、零士さんが詫びる必要なんてどこにもない。
私をあんな目に遭わせた超本人のキツネ男が悪いんだし、こうなる可能性がゼロではないとわかっていながら行った私も悪い。
「私がわかっているのに、行ったりしたから」
「清華はわかっていても、もし本当に鞠子が窮地に立たされているんだったらと思うと、いても立ってもいられなかったんだろ?」
零士さんの言葉に、黙って頷いた。
「そういう甘い清華が俺は好きだ」
零士さんが私の額に口付けを落とす。
「それにその可能性があるのに無視していたら、俺はがっかりしていただろう」
冗談っぽく零士さんは言ったがその目は本気だったので、決断を間違わなくてよかった。
零士さんから顔中に口付けを落とされながら、甘い時間を過ごす。
……そう言えばあのとき、零士さんがあの人に重なったんだよね。
もしかして、零士さんが……あの人?
キスの合間にそっと、零士さんの顔を見る。
「ん?」
目が合って、彼は眼鏡の影に笑い皺をのぞかせた。
その幸せそうな顔にそれでなくても熱い頬がさらに熱くなる。
……初めて会ったとき、どこかで見たことある気がしたし……。
そうだとしたら、いろいろ納得がいく。
私の頭を膝にのせ、零士さんが髪を撫でてくれる。
それが酷く、気持ちいい。
「清華はここまでされて、鞠子を被害者だと言うのか?」
零士さんの声は厳しい。
でも零士さんも言っていたではないか、そういう人間は人の弱みにつけ込むのが上手いのと、最初は善人面して近づいてくるんだって。
きっと鞠子さんも、悪い人だなんて気づけなかったに違いない。
零士さん自身、彼女はあのときまで彼が暴力団関係者だとは知らなかったんだろうと言っていた。
「まりこさん、は、まちがっては、いたけれど、わるくはない、です」
彼女はこの狭い世界しか知らないだけ。
きっと、悪意はないはず。
「清華は優しいな。
そんな清華が俺は好きだ」
額にちゅっと口付けが落とされる。
それだけで幸せな気持ちが身体の中に広がっていった。
「今日は疲れているだろう?
ゆっくり休んだらいい」
「でも、れいじ、さん、また……」
出ていっちゃいますよね?
なら、貴重な時間を無駄にしたくない。
「清華の怪我が治るまでは傍にいる。
だから安心していい」
言葉を証明するかのようにまた、額に口付けが落とされた。
「はい……」
ゆっくりと息を吐き出して目を閉じる。
聞きたいことはたくさんあるが、まだ眠い。
起きたら、零士さんに聞いてみよう……。
翌日、念のための検査をさらに受け、退院した。
「こんなに清華の頬が腫れるほど撲つなんて、鞠子のヤツめ」
零士さんが触れる頬はまだ派手に腫れている。
それでも、痛みは軽くなっただけマシだ。
零士さんはさっきから鞠子さんへ呪詛を吐いているが、私としては彼女の手の方が心配だ。
あのときは興奮していたから気づかなかったんだろうが、あんなに私を叩いて手を痛めていないだろうか。
「でも、零士さんと思わぬ時間ができたので……」
それについては彼女に感謝だ。
「清華は本当に優しいな」
零士さんの唇が私の額に触れる。
帰ってきてからは彼のお膝の上、めいっぱい甘やかされていた。
「あの、零士さん。
どうしてあそこがわかったんですか?」
メイドさんが鞠子さんからの迎えに異常を感じ、零士さんに報告していた。
しかし、どこに連れていかれたかまでは知らないはずだ。
「携帯のGPS?」
なぜに疑問形?
もし、居場所特定用のGPSがどこかに仕掛けられていたとしても、それで助かったのでこれについては今は聞かないでおこう。
「場所を特定するのに時間がかかってしまい、本当に悪かったと思っている」
「零士さんは悪くないですよ」
昨日もだが、零士さんが詫びる必要なんてどこにもない。
私をあんな目に遭わせた超本人のキツネ男が悪いんだし、こうなる可能性がゼロではないとわかっていながら行った私も悪い。
「私がわかっているのに、行ったりしたから」
「清華はわかっていても、もし本当に鞠子が窮地に立たされているんだったらと思うと、いても立ってもいられなかったんだろ?」
零士さんの言葉に、黙って頷いた。
「そういう甘い清華が俺は好きだ」
零士さんが私の額に口付けを落とす。
「それにその可能性があるのに無視していたら、俺はがっかりしていただろう」
冗談っぽく零士さんは言ったがその目は本気だったので、決断を間違わなくてよかった。
零士さんから顔中に口付けを落とされながら、甘い時間を過ごす。
……そう言えばあのとき、零士さんがあの人に重なったんだよね。
もしかして、零士さんが……あの人?
キスの合間にそっと、零士さんの顔を見る。
「ん?」
目が合って、彼は眼鏡の影に笑い皺をのぞかせた。
その幸せそうな顔にそれでなくても熱い頬がさらに熱くなる。
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