【完結】政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
第六章 デートはホテルで5
こんな事態になるだなんて予想もしていなかったので、ポートフォリオなど準備していない。
早く言ってくれれば……とも思ったが、昨日の今日なのでもしかしたらまだあかす気ではなかったのかもしれない。
「次回、デザイン画といくつか作品をお持ちいただいてもよろしいですか?」
「はい、よろしくお願いします!」
とりあえず、即刻不採用ではなくてほっとした。
まだ決定ではないので安心できないが、ブランド立ち上げへの第一歩が踏み出せたのだ。
あとで零士さんにはお礼を言おう。
打ち合わせも終わり、零士さんがいるという社長室へ向かう。
「お待たせしました」
ドアを開けたら、応接用のソファーに座っている零士さんが見えた。
「零士さん……?」
しかし動かない彼を不審に思い、そろーっと近づくと足と腕を組んで眠っていた。
「……寝不足、ですよね」
足下にしゃがみ、その寝顔を見上げる。
一昨日もほとんど寝ていないし、昨日だって今日を無理矢理休みにしたせいで遅くまで仕事をしていた。
全部私のせいだ。
零士さんに無理をさせて心が痛い。
「ん……」
邪魔そうな眼鏡を外してあげようとしたら、ゆっくりと零士さんの目が開いた。
「話、終わったのか」
「はい」
眼鏡をかけ直し、彼が私を抱き寄せてちゅっと軽く唇を重ねる。
「どうだった?」
「次回、デザイン画と作品を見て判断だそうです」
「そうか。
清華の作るものだから売れると信じているが、不採算事業は即カットだからな」
「うっ」
ふふっとからかうように零士さんが笑い、胸にドスッと矢が刺さった。
責任重大すぎて、すでに気が重い……。
でも、やるんだけど!
「さて。
今からどこに行く?
映画か?
ショッピングか?」
零士さんはいろいろ勧めてくるけれど。
「……ホテル」
「……は?」
私の口から出た言葉を聞いた途端、零士さんが笑顔のまま固まる。
「清華、もしかしていやらしいことを考えているのか?」
「そんなことっ!
あるわけっ!」
間抜け顔でそんなことを聞かれ、反射的に食ってかかっていた。
「わるい、わるい。
でもなんでホテルなんだ?」
私の機嫌を取るように彼の手が私の頭をぽんぽんする。
それにむっとしながらも、理由を話した。
「零士さんにゆっくりしてほしいんです。
でも家だときっとお仕事しちゃうから、だからホテルがいい、……です」
じーっと零士さんが私を見つめているせいで恥ずかしくなり、最後は言葉が途切れる。
「清華は優しいなー」
眼鏡の向こうで目尻が下がり、緩いアーチを描いた。
その手はゆったりと私の髪を撫でる。
「わかった、ならホテルに行こう」
立ち上がり、零士さんは私に行こうと促した。
零士さんが私を連れてきたのは、神鷹が贔屓にしているホテルだった。
それもあってなにもしなくても、最上級スイートへと案内される。
「とりあえず昼食を食べるだろ?」
「そうですね」
時刻はそろそろ、昼になろうとしていた。
「なにが食べたい?
ここへ運んでもらおう」
ソファーに座った零士さんの隣に腰を下ろす。
少し話し合って、零士さんはこのホテル自慢だというアフタヌーンティのセットを取ってくれた。
しばらくしてアフタヌーンティが運び込まれる。
「美味しそうです!」
ひとり暮らし時代に憧れ、結局機会がなくて食べられなかった。
それが目の前にあるのだ、感動もひとしおです。
早く言ってくれれば……とも思ったが、昨日の今日なのでもしかしたらまだあかす気ではなかったのかもしれない。
「次回、デザイン画といくつか作品をお持ちいただいてもよろしいですか?」
「はい、よろしくお願いします!」
とりあえず、即刻不採用ではなくてほっとした。
まだ決定ではないので安心できないが、ブランド立ち上げへの第一歩が踏み出せたのだ。
あとで零士さんにはお礼を言おう。
打ち合わせも終わり、零士さんがいるという社長室へ向かう。
「お待たせしました」
ドアを開けたら、応接用のソファーに座っている零士さんが見えた。
「零士さん……?」
しかし動かない彼を不審に思い、そろーっと近づくと足と腕を組んで眠っていた。
「……寝不足、ですよね」
足下にしゃがみ、その寝顔を見上げる。
一昨日もほとんど寝ていないし、昨日だって今日を無理矢理休みにしたせいで遅くまで仕事をしていた。
全部私のせいだ。
零士さんに無理をさせて心が痛い。
「ん……」
邪魔そうな眼鏡を外してあげようとしたら、ゆっくりと零士さんの目が開いた。
「話、終わったのか」
「はい」
眼鏡をかけ直し、彼が私を抱き寄せてちゅっと軽く唇を重ねる。
「どうだった?」
「次回、デザイン画と作品を見て判断だそうです」
「そうか。
清華の作るものだから売れると信じているが、不採算事業は即カットだからな」
「うっ」
ふふっとからかうように零士さんが笑い、胸にドスッと矢が刺さった。
責任重大すぎて、すでに気が重い……。
でも、やるんだけど!
「さて。
今からどこに行く?
映画か?
ショッピングか?」
零士さんはいろいろ勧めてくるけれど。
「……ホテル」
「……は?」
私の口から出た言葉を聞いた途端、零士さんが笑顔のまま固まる。
「清華、もしかしていやらしいことを考えているのか?」
「そんなことっ!
あるわけっ!」
間抜け顔でそんなことを聞かれ、反射的に食ってかかっていた。
「わるい、わるい。
でもなんでホテルなんだ?」
私の機嫌を取るように彼の手が私の頭をぽんぽんする。
それにむっとしながらも、理由を話した。
「零士さんにゆっくりしてほしいんです。
でも家だときっとお仕事しちゃうから、だからホテルがいい、……です」
じーっと零士さんが私を見つめているせいで恥ずかしくなり、最後は言葉が途切れる。
「清華は優しいなー」
眼鏡の向こうで目尻が下がり、緩いアーチを描いた。
その手はゆったりと私の髪を撫でる。
「わかった、ならホテルに行こう」
立ち上がり、零士さんは私に行こうと促した。
零士さんが私を連れてきたのは、神鷹が贔屓にしているホテルだった。
それもあってなにもしなくても、最上級スイートへと案内される。
「とりあえず昼食を食べるだろ?」
「そうですね」
時刻はそろそろ、昼になろうとしていた。
「なにが食べたい?
ここへ運んでもらおう」
ソファーに座った零士さんの隣に腰を下ろす。
少し話し合って、零士さんはこのホテル自慢だというアフタヌーンティのセットを取ってくれた。
しばらくしてアフタヌーンティが運び込まれる。
「美味しそうです!」
ひとり暮らし時代に憧れ、結局機会がなくて食べられなかった。
それが目の前にあるのだ、感動もひとしおです。
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