【完結】政略結婚のはずですが?~極甘御曹司のマイフェアレディ計画~
第四章 素敵な結婚式の計画5
それからしばらくは、同じような日々が続いた。
零士さんのいない日はウェディングドレス作りと息抜きの服作り。
週に二回、零士さんの実家へ行く。
「今日の清華さんのお花、素敵でしたわ」
「ありがとうございます」
にっこりと笑顔を作って鞠子さんにお礼を言う。
彼女はとても仲良くしてくださり、この年になってサロンデビューした私をグループに入れてくださった。
……ただし、〝表面上は〟だ。
私を見下し、なにも知らない不調法者を指導してやっているのだという優越感に浸っているのを、端々から感じていた。
「清華さん、お疲れ様。
今日も零士はいないのでしょう?
なら、夕食を食べていきなさい」
「はい、お言葉に甘えさせていただきます」
お稽古へ行った日は高確率で、義実家で夕食をごちそうになる。
「昨日、期間限定抹茶フラッペ飲みたいから寄って、って言ったら秘書に怒られちゃったんだよ」
お義父さまの口から残念そうにため息が落ちる。
「買ってきてくれるって言うけどさ、あの呪文みたいな商品名言って注文したいじゃない?」
「そうですね。
そうだ!
今度一緒に、買いに行きません、……か?」
いい考えだと思わず胸の前で小さく手を打ったものの、これは呆れられるんじゃないかと語尾は小さくなって消えていった。
「それはいいねー」
しかしお義父さまが賛成してくれ、俯きかけていた顔を上げる。
「いつにする?
いつにする?
こんなに可愛い娘とデートだなんて、楽しみだ」
お義父さまはうきうきとスケジュールを確認しだしたが、……これってデートなんですか?
相手はお義父さまとはいえ、零士さんが許可してくれるか心配……。
「あー、あなただけズルい!
私だって清華さんとお買い物に行きたいのにー!」
なんだか軽く、お義母さまとお義父さまで私の取り合いがはじまった。
「清華さん。
今度私とお買い物に行きましょう?」
「僕とのデートが先だよ」
「え、えーっと……」
微妙な笑顔でふたりの言い合いを見守る。
こんなに義理の娘である私を可愛がってくれるのは嬉しいが……困ったな。
「清華さん、どっち!?」
とうとう仲良くハモって迫られた。
「あー、……えと。
おふたり同時に……とかはダメですよね?」
「ダメよ、女同士の話だってあるんだから」
「ダメだよ、可愛い娘とのデートなんだよ?」
言った途端にまたふたり同時に口を開いて顔を見あわせ、それに気づいて勢いよくそっぽを向く。
「じゃあ……順番、で」
「順番ね!」
とうとうふたりは、じゃんけんをはじめた。
それは微笑ましくて、憧れる。
私の両親のようなお互いを尊重しあう穏やかな関係もいいが、零士さんのご両親のような友達みたいになんでも言い合える関係もいい。
「やったー、僕の勝ちー」
じゃんけん三回勝負は、お義父さまが勝ったようだ。
「ううっ、次はオセロで勝負よ!」
喜ぶお義父さまに、お義母さまがさらなる宣戦布告をする。
これってもしかして、永遠に決まらないパターンなのでは……?
結局、私が帰るまで勝負は決まらなかった。
泊まっていけばいいというお義母さまに遠慮して、帰途に就く。
家に帰ってきてメイドさんを下がらせると、ひとりになった。
「ひとり暮らしは平気だったのにな」
家が広いからか、ひとりは淋しい。
早く零士さんに帰ってきてほしいって願ってしまう。
「でも、お仕事だから……」
ベッドに潜り込み、ぬいぐるみ代わりに零士さんの枕を抱いた。
そうだ、大きなぬいぐるみを買って置くのもいいかも。
明日、余裕があったら見に行ってみよう……。
零士さんのいない日はウェディングドレス作りと息抜きの服作り。
週に二回、零士さんの実家へ行く。
「今日の清華さんのお花、素敵でしたわ」
「ありがとうございます」
にっこりと笑顔を作って鞠子さんにお礼を言う。
彼女はとても仲良くしてくださり、この年になってサロンデビューした私をグループに入れてくださった。
……ただし、〝表面上は〟だ。
私を見下し、なにも知らない不調法者を指導してやっているのだという優越感に浸っているのを、端々から感じていた。
「清華さん、お疲れ様。
今日も零士はいないのでしょう?
なら、夕食を食べていきなさい」
「はい、お言葉に甘えさせていただきます」
お稽古へ行った日は高確率で、義実家で夕食をごちそうになる。
「昨日、期間限定抹茶フラッペ飲みたいから寄って、って言ったら秘書に怒られちゃったんだよ」
お義父さまの口から残念そうにため息が落ちる。
「買ってきてくれるって言うけどさ、あの呪文みたいな商品名言って注文したいじゃない?」
「そうですね。
そうだ!
今度一緒に、買いに行きません、……か?」
いい考えだと思わず胸の前で小さく手を打ったものの、これは呆れられるんじゃないかと語尾は小さくなって消えていった。
「それはいいねー」
しかしお義父さまが賛成してくれ、俯きかけていた顔を上げる。
「いつにする?
いつにする?
こんなに可愛い娘とデートだなんて、楽しみだ」
お義父さまはうきうきとスケジュールを確認しだしたが、……これってデートなんですか?
相手はお義父さまとはいえ、零士さんが許可してくれるか心配……。
「あー、あなただけズルい!
私だって清華さんとお買い物に行きたいのにー!」
なんだか軽く、お義母さまとお義父さまで私の取り合いがはじまった。
「清華さん。
今度私とお買い物に行きましょう?」
「僕とのデートが先だよ」
「え、えーっと……」
微妙な笑顔でふたりの言い合いを見守る。
こんなに義理の娘である私を可愛がってくれるのは嬉しいが……困ったな。
「清華さん、どっち!?」
とうとう仲良くハモって迫られた。
「あー、……えと。
おふたり同時に……とかはダメですよね?」
「ダメよ、女同士の話だってあるんだから」
「ダメだよ、可愛い娘とのデートなんだよ?」
言った途端にまたふたり同時に口を開いて顔を見あわせ、それに気づいて勢いよくそっぽを向く。
「じゃあ……順番、で」
「順番ね!」
とうとうふたりは、じゃんけんをはじめた。
それは微笑ましくて、憧れる。
私の両親のようなお互いを尊重しあう穏やかな関係もいいが、零士さんのご両親のような友達みたいになんでも言い合える関係もいい。
「やったー、僕の勝ちー」
じゃんけん三回勝負は、お義父さまが勝ったようだ。
「ううっ、次はオセロで勝負よ!」
喜ぶお義父さまに、お義母さまがさらなる宣戦布告をする。
これってもしかして、永遠に決まらないパターンなのでは……?
結局、私が帰るまで勝負は決まらなかった。
泊まっていけばいいというお義母さまに遠慮して、帰途に就く。
家に帰ってきてメイドさんを下がらせると、ひとりになった。
「ひとり暮らしは平気だったのにな」
家が広いからか、ひとりは淋しい。
早く零士さんに帰ってきてほしいって願ってしまう。
「でも、お仕事だから……」
ベッドに潜り込み、ぬいぐるみ代わりに零士さんの枕を抱いた。
そうだ、大きなぬいぐるみを買って置くのもいいかも。
明日、余裕があったら見に行ってみよう……。
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